【第二章】第二十二部分
千紗季のピンチを見て首領は、もろ手をあげて大喜びである。
「いいぞ、いいぞ、その調子だ。どうやらコイツは千紗季を凌辱しようとしているようだ。うむ、これは面白い。男子ではなく、マジドルの意思だな。つまりゆりゆりか。まさにこれ以上ない邪悪さだ。ガハハハ。」
「ちょっと、陛下。下品な邪悪は止めてくださいよ。」
「邪悪に品格などあるか!」
つかさは千紗季を助けようとするが、動きを読まれて、思うようにいかない。
「まるで顔の後ろに目があるみたいだ。って、二面獣だから当然か。」
つかさはひとりごちた。
「それにしてもつかさの動きはいつもより鈍い。あの合体モンスターが千紗季に好色的な感じだよね。つまりモンスターの脳内は朋樹くんに支配されてるんだよな。」
つかさはそう考えて、千紗季への嫉妬が頭をもたげて、スキができた。
『ガァガァ!』
「ぐわぁ!」
心にスキができたつかさは頭を激しく殴られて倒れた。
「つかさ!」
千紗季は仰向けに倒れたつかさを見たが、自分の防御に精一杯の状態。
『ガァガァガァ。』
合体モンスターは口から泡を吹いている。相当に興奮しているのが見て取れる。
「このモンスターが朋樹なのか、お局様なのか、わからないけど、今なら何を言ってもわからないだろうから、言ってやるわ!」
千紗季はありったけの力で部屋中の空気を吸い込んで、一気に吐いた!
「朋樹!アタシ、朋樹のことが好き。ずっと前から好きだったの!だから元に戻ってアタシと付き合って!同じ道を並んで歩いて、きれいな夕日を見たいの!」
『ガァ。・・・。』
突然の告白に合体モンスターの朋樹、綾野の顔が驚愕し、固まった。
『シュウウウ。』
合体モンスターはへなへなと膝から崩れ落ちた。そして朋樹と綾野の体に分かれた。




