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【第二章】第二十一部分

『ガッ。』

モンスター朋樹の動きが止まった。綾野がまったくの無抵抗だからである。野獣の闘争本能は相手の戦う意志に反応するものである。戦意を感じなければ、逆に怯んでしまう。


 首領の筋肉が急にこわばった。

「ありゃ?止まってしまったぞ。仕方ない。締めはこちらでやるか。」


モンスター朋樹は再び動き出して、綾野を頭からガブリとやった。不思議と流血もなく、溶けるように綾野とモンスター朋樹は一体化した。


その様子を見て、首領はすっかりご満悦である。

「よしよし、やったぞ。このマジドルだと普通は操作不可能じゃが、千紗季がマジドルセンターの近くにいたからマジドルを操れたのじゃ。モンスターにこのマジドルを食わせたから、これはスゴいことになるぞ。史上最大級のモンスターになれるはずじゃ!」


『ガァガァガァ~!』

モンスター朋樹は喉を引っ掻いて苦しみもがき、床に倒れた。すると体が光って、蝶のサナギのように蠢き、やがて静かになった。


一方、千紗季たちは、それまでの、モンスター朋樹が暴れる音で、部屋に入ってきた。

「お局様!スゴい音がしましたけど、何か異変がありましたか?」

つかさは必死の形相で綾野に問いかけた。すでに綾野はモンスター朋樹に食われておりそこにはいないはずである。

「お局様!大丈夫ですか?えっ?その顔はいったいどうされたのですか。」

綾野はたしかにいた。しかし、千紗季が激しく反応した。

「朋樹、こんなところで何やってるの?」

つかさと千紗季が声をかけた人物は同一であった。

「「ちょっと、これはいったい。いや、ひとつの体に頭はひとつ。だけど、顔がふたつある!」」

千紗季とつかさは同時に叫んだ。

「「化け物!!」」

綾野は超美少女であり、朋樹も顔立ちは決して悪くはない。しかし、同じ頭部に顔がふたつある以上、化け物カテゴリーのかなりの上位にランクされるのは仕方ない。

「朋樹!いやお局様!いったいどうしたの?いつものクールなエロさを置き忘れてるわよ!」

クールとエロは同居できないワードである。

『ガァガァガァ!』

「市長はちゃんと会話ができたのに、どうしてこのふたり合体モンスターはダメなの?ほらアタシだよ、これを見たらわからない?」

千紗季は胸を突き出した。

合体モンスターは一瞬胸元を見たが、すぐに暴れ出した。

「どうしてわからないのよっ?」

千紗季は眉間にシワを寄せながら、合体モンスターの攻撃をよけた。

「その部位にインパクトはないよ!どうやらアタシたちのことがわからないだけじゃなく、脳自体がモンスター化したみたいだね。モンスターの強さと、知覚の在り方は反比例してるからね。これはスゴく強いモンスターだね。」

つかさは顎に手を当てて冷静に分析していた。

合体モンスターは千紗季の方に向かっていった。

千紗季は魔法水枕を使おうとするが、相手が相手だけに、攻撃ができない。水を固めた盾を出して、ガードする態勢を取るしかなかった。

合体モンスターは呪文を唱えることはないが、体の強さが半端ない。すでに魔法で全身を強化しているらしい。

モンスターは腕を振り回して、千紗季に迫り、メイド服の胸元を破った。

「きゃああ!」

千紗季は悲鳴を上げて白く覗いた下着を隠した。すると、合体モンスターはその仕草を見て涎を流した。


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