【第二章】第十五部分
二人が着いたのは政令指定都市の市役所だった。
「ここねえ。嫌な思い出しかないわ。」
「今日はあたしが千紗季の付き人だから、モンスターは千紗季が倒すんだよ。」
受付嬢を通じて千紗季は再び市長に面会となった。
「初めからメイド服だと、枕営業って直球で判断されるから、怪しまれなくて楽だわ。」
「千紗季、それは大正解だよ。」
市役所の中では、かなり目立っていて、館内の人たちからは奇異な目で見られていると思わないふたりは、市長室に行くとすでに美少年が待っていた。
ショート金髪、ブルー半ズボン、蒼い瞳は以前と変わらず。
「今日はふたりでやってきたんだね。こちらのお姉さんの方もなかなかだね。」
「か、かわいい!」
つかさは美少年に萌えていた。
「騙されちゃダメだよ。こいつは憎たらしいブツの保有者なんだからね。」
「ブツって、小さいのに、大きいってこと?」
思わず顔を赤らめたつかさ。
「ははは。それは違うな。いきなりネタバレするなんて、興ざめなんだけど。でも仕方ないから、変身しちゃうよ。」
黒い水着になり、ナイスバディになった市長。
「忌々しい、実に忌々しいわ。アタシだって鍛えたんだから!こうなったら、水着勝負よ、ドドーン!ボン、キュ、ボン!」
赤いビキニになった千紗季は声高らかに宣言したが、ノンナイスバディだった。
「千紗季、残念ながら、細胞レベルは強化されたが、エステじゃない。」
「もうしょうがないわね。やっぱりメイド服に戻すわ。」
「なあんだ。前と変わりないねえ。じゃあ、さっさと面会終了させちゃうね、市長としての公務があるからね。じゃあ、とっとと片付けちゃうね。」
市長は枕のソバカスをバラまいた。千紗季は瞬時に火だるまになり、燃えながら倒れてしまった。
つかさは見守っているまま。
「あははは。燃え尽きてしまったね。」
「もうカンタンにはやられないわよ。」
千紗季は赤のメイド服を着たままである。
「あれれ?じゃあ、燃えたのはメイド服なのかな?じゃあ、燃えたのは何だろう。」
「そんなの、ソバカスだけに決まってるじゃない。魔法水枕で、火を乱反射させたから、燃焼量が多く見えただけよ。物の見方なんて座ってる椅子の形でいくらでも変わるのよ。あんたの椅子は背中が曲がってるんだから、さぞかし湾曲した画像が映ってるんでしょうね。」
「ずいぶんタフになったみたいだね。じゃあ、これならどうかな。」
市長は天井を見上げると、スプリンクラーが発動した。




