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【第二章】第十三部分

「あれあれ!すごく広くなったわ。つかさの魔法?」

「いや、あれとはまったく違う。物理的にやるなら壁を破ってしまう。それに風が吹いてくるハズだが、そんなこともない。あたしたちの感覚が空間と一体化してるようだ。」

「つかさくん、それは違うよ。人間の感覚を空間と同調させたのではない。空間の感覚を君たちに渡しただけだ。」

「それが本当なら、今アタシたちは空間そのものになっているということ?」

「それも違うな。空間は生き物ではない。だから空間は感覚を保有しない。しかし、空間は厳然として存在する。では存在とは何か。我思うゆえに我あり、という一言、つまり認識があればそれだけで存在を証明できるほど軽いものではない。空間とは無数の意識、無意識を受け入れているもの。その容量キャパは人間の想像力をはるかに超越している。到底理解できないと自覚すること、それが空間というものなんだ。」

「さっぱりわからないわ。」

「そう、そういうことだ。」

「はあ?さらに深みにはまっていくわ。」

「そうそう。それでいいんだ。じゃあ、徒競走だ。百メートル走るぞ。」

「百メートル?大したことないわね。」

「よし、スタート!」

三人が一斉に走り出した。スタート時から綾野が抜け出して先頭を疾走する。

千紗季はすぐに疑問にぶつかった。

「ゴールが見えないわ。どこまで走るのよ。」

「そうだった。言い忘れたけど、百メートルの間にKが入ってるから。」

「ええっ?ということは百キロ全力疾走?あり得ないわ!」

百キロは遠い。メイド服で走っているものの、スカートが短いので大変ではない。しかし千紗季は苦しそうである。

「はあはあはあ、いったいゴールはどこなのよ?」

「今、51.5キロ地点だね。」

「はあはあはあ、つかさ、スゴいね。その認識能力は魔法、じゃないわね。」

「その通り。感性、感覚が磨かればこんなことはわけない。というよりそれぐらいが普通にならないとダメだ。まだ半分近く残ってるぞ。それに後ろを見るんだよ。」

「あれ?お局様が来てるわね。アタシより遅いとか笑える~。」

「おめでたいヤツだな。私は四週目だ。」

「ひえ~!いつの間に~。あり得ないわ!」

「千紗季、それがセンターの実力だよ。それも全然本気じゃないし。」

ふたりの会話の最中に、綾野は千紗季の横に並んで、その姿を睨みつけるようにしている。

「お局様、何よ。遅いアタシを叱りつけるつもりなのね。」

「しまった、これではダメだ!」

目をつり上げて、落胆する綾野。

「こんな時にダメ出し!?アタシのモチベーション下げまくるわよ。」

「これでは汗でも透けない!」

綾野は千紗季の胸元をガン見していた。エプロンドレスがその下の部位を覆い尽くしていた。

「バカ!」


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