【第二章】第十二部分
「はあ?付き人、それも2号?1号はつかさだわね。って、そういう問題ないじゃないでしょ!」
「千紗季、そこまでにしておくんだ。」
「つかさ、もう大丈夫なの?」
「ああ。千紗季、センターであるお局様の付き人になれるのは本来官僚だけだ。特別な待遇を得たことを喜ぶべきだ。」
「千紗季くんは、好きな人がいるらしいな、いやいるからこそ、アイドルをやってるんだよな。」
「ど、どうしてそんなこと、知ってるのよ?まさか、つかさから聞いたってこと?」
「そんなことはない。つかさくんからは君の情報はまったく収集してないぞ。たいていの個人情報は手に入る。72、55、80。」
「えっ?・・・。ちょっと、待ちなさいよ!どこのダヴィンチコードよ!?」
「さあな。数字の羅列に大きな意味はない、こともないか。」
「ムムム!」
顔を真っ赤にして唇を噛み締める千紗季。
「これがマジドルセンターというものだ。でも邪な理由でマジドルになるとはいい度胸だ。私も似たような物だから。」
「お局様にも好きな人がいるの?」
「ああ、国家と国民が大好きだからな。」
「バッカじゃないの?って、マジドルは国家公務員なんだから、そんなもの?」
妙に納得しておとなしくなった千紗季。
こうして突然センター綾野の付き人2号になった千紗季。場所は引き続きトレーニングルームである。
千紗季はわずかに眉間にシワを寄せて、つかさに質問した。
「付き人って言ったら、身の回りのお世話をするメイドのようなものなのかしら?」
「違うよ。マジドルなんだから、魔法少女省が生活面はすべてサポートしてくれる。付き人と言ってもパートナーのようなものだ。」
「そう言ってる割にはこの衣装はなんなのよ?」
つかさは青のメイド服、千紗季はバーニングレッドのメイド服である。ヘッドドレスやフリルなどはお揃いである。やはりヘッドドレスは枕カバーフリルである。
「こ、これはお局様のしゅ、趣味かな。それにこれは普通のメイド服とは違うぞ。」
「そうかしら?」
振り返って背中を見ようとする千紗季。紫の大きなリボンがかわいい。
「それはすぐにわかるさ。」
「「お局様!?」」
「じゃあ、最初は軽いランニングだな。千紗季くんに言っておくが、ランニングと言えば全力疾走だよ。」
「そんなの楽勝だわ。百メートル、五秒とか言ってたわね。アタシもかなり鍛えたからそれぐらいはイケるわよ。」
「そうか、ならば良かった。ここはちょっと狭いから広くするかな。魔法枕草子、春は開けぼの!」
綾野が頭の枕に触れた途端、白い壁が透明になった。




