【第一章】第八部分
地下の自室に戻った千紗季と山田。
「このままじゃ、センターに会うどころか、マジドルを続けるのも難しいわ。豊島区メイド、なんとかしてよ。」
「私の本業はマネージャーです。メイドならできるけど、魔力向上の特訓とか、到底無理ですよ。」
「う~困ったわ。どうしよう。」
「ならばここで特訓しよう。」
千紗季の部屋が真っ暗になった。さっきのセンターの入口と同じような状態である。千紗季は宇宙空間に浮遊している状態である。
「これって、まさか、つかさの魔法?」
「そういうこと。あたしが千紗季のインストラクターになってやるよ。」
「つかさ!アタシの部屋にどうしているのよ?つかさはセンターのメイドじゃないの?」
「さっき、こちらの山田さんと入れ替わったよ。もちろんセンターの許可も取ってある。」
「ええっ?でも豊島区メイドにそんな魔力ないんじゃないの?」
「そうでもないさ。彼女も元はマジドルだったんだから。本当は魔法が使えるはずなんだけど。」
「なんですって?さらにビックリだわ!」
「さあ、驚いてるヒマはないよ。まずはバンジージャンプから。」
真っ暗な空間は真っ白になった。
千紗季は目を白黒させるしかなかった。
「何これ?すごく高いところ、それも崖にいるみたいだわ!」
「いや、崖そのものなんだけど。下には大きな川が流れてるみたいよ。それに背中にロープが結ばれてるじゃない。つ、つまり、これって、バンジージャンプ?」
「ブブー。違うよ。これはノンバンジージャンプだよ。」
そのフレーズを聞いて、千紗季の顔から血の気が一瞬で引いた。
「さあ、ここから一キロあるからゆったり楽しんで飛び降りるんだよ。」
「ちょっと待ってよ。さっき、さらりと爆弾発言したわよね。バンジージャンプに、否定語が付いてたようだし、このロープの先はそこらでしおらしくしおれてるんだけど。」
「キレイな表現をしなくても、自由奔放に育ってるよ。」
「こんな自由ならいらないわ!」
「ごちゃごちゃ言っても仕方ないよ。どーん♪」
「うわわわ~!落ちる~!」
ロープは脆弱性を存分に発揮して、千紗季に追随して転落していった。強烈な風圧を受けながら、落下する千紗季。
「いったいどうすればいいのよ~?」
「魔法で自分をガードするしかないよ。」
「つかさ?いったいどこから声を出してるのよ?」
「ここだよ。」
落下しているつかさは千紗季の背中に乗っていた。
「ちょっとそんなところで何してるのよ。」
「付き合ってやってるんだから、死のランデブーに。早くなんとかしてよ。このままじゃ、連れ死ヨンになっちゃうよ。あと十メートルしかないよ。」
「そんなの、汚いし、イヤだわ~!」
落下寸前に、川の水がふたりを覆って、岸辺に運んだ。




