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【第一章】第七部分

こうして、千紗季と山田は魔法少女省十階の春日綾野の個室を訪れた。

部屋はフロアのいちばん奥にあった。両開きのガラスドアが自動で開いた。その先も両開きドア。こちらは眩いばかりの黄金色に輝いている。

「これは純金性なのかしら、触るのも憚られるような感じだわ。」

「その通りさ。ここに入れるのは、ごく一握りの人間だけさ。」

「つかさ!?どうしてこんなところにいるの?マジドルやめたんじゃなかったっけ?それにその格好はなによ?すごく似合ってるけど。」

メガネをかけた赤メイド服を着たつかさがドアの前に立っていた。ヘッドドレスは枕カバーに似ている。

「誉めて頂いてありがとう。マジドルをやめて、今はこの姿だから何をやってるかは想像つくだろう。そこにいる付き人と同じだよ。」

「付き人言うな!」

山田は眉間に深々とシワを寄せた。

「あんまり深く刻むと、元にもどらなくなるよ、って、もう手遅れかな。」

「こらぁ~!」

「まあまあ。」

腕まくりする山田を抑える千紗季。

「つかさ、アタシたちの用件はわかってるわよね?そこを通してほしいんだけど。」

「鈍いねえ。あたしがここにいるということは、ここから先には進めないということだからね。綾野様に拝謁するなど、百年早いということだよ。あたしはノンキャリアで魔法少女省では綾野様の部下なんだよ。つまり付き人兼任アイドルだったんだけど、そのポストを千紗季に譲ったから、部下専任になったんだよ。」

「部下ねえ。アタシの部下の方がよくない?」

「くだらないこと言うんじゃないよ。ここはあたしに任せるんだよ。悪いようにはしない。今のままでは同じステージには絶対無理。ためしに、こんなことができる?魔法を忘れてるわけじゃないよ。魔法枕木!」

ヘッドドレスのフリルからたくさんの枕木が出てきた。枕木は環状に並び空中で回転し始めた。さらに枕木は細かく分かれて、竜の形を作り、蛇踊りのように舞った。

「すごい!アタシのパフォーマンスとどっこいどっこいね。」

「千紗季様、明らかに負けてますよ。」

「う、うるさいわね!しかし、ここのスペースって、こんなに広かったかしら?」

「まさにこの狭い空間にスペース、つまり宇宙を再現してるんだけど。」

「そ、そんなことができるの?」

「あたしの魔法を少しは見直してくれたかな。じゃあ、もうちょっと見せてあげようかな。枕木スプラッシュ!」

竜の形をした枕木はさらに細かく分かれて、周辺に広がった。その数があまりに多く、真っ暗になった。

「いったいどうしちゃったのよ。何も見えないわ。」

「それは困ったものだね。ならばこうしよう。」

暗かった空間に、キラキラしたものが見えてきた。

「ほ、星が輝いてるわ!」

「まだまだできるけど、あんまり力の差を見せつけてもモチベーションに影響するだろうから、ここまでにしておくよ。千紗季が挨拶に来たことは綾野様に伝えておくから、もう帰りなよ。」

「ありがたくないけど、ありがとう。で、センター綾野に会うにはどうしたらいいの?」

「さあ?とにかく魔力を上げることだね。愚直にそうするしかないだろうね。」

「わかったわ。吠え面かがせてやるわ!」

「それは実にかぐわしいね。」



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