【第二章】第四部分
『ギュルル~』という空気との摩擦音を立てながらボールは千紗季のお腹を襲った。
『ドテッ。』
鈍い音がした後、ドボドボという濃い血液が夥しい量で流れ出た。
「ぐうぅ。」
千紗季は思わず口を押さえて膝をついた。
「よし、少しは効いたようだね。じゃあノックを続けるよ。あっ、別に守備力を上げるためじゃないからね。タダのお楽しみ会だからね。」
「つかさ、全然容赦ないんだね。」
「そうだよ、それが真友だと言ってくれたことに対するあたしのお返しだからね。」
つかさは連続でノックし、千紗季の体はボロボロになった。
「ハアハアハア。」
千紗季は四つん這いになり、荒い息を地面にぶつけるだけ。
「つかさがアタシにこれだけ本気でぶつかってくれるなんて、うれしいよ。バタン。」
千紗季は床に突っ伏した。かろうじて呼吸をしているのはわかる。
「千紗季、誉めてくれてありがとう。こんな形での心のぶつかり合いは初めてだね。すごくスッキリしてるよ。ボロ。」
「おや?頬に水滴がついてるよ。バットをかなり振ったから、顔に汗をかいたみたいだね。ポロポロ。」
「あれ?水滴が増えて来てるよ。」
「つ、つかさ。勝って泣くなんて、勝負師としては、ずいぶんヤワだね。真友としては、残念だわ。やっぱり、アタシたちにはこんな形は、似合わないかもね。」
千紗季は目を閉じて気を失った。
「あたし、やっぱり千紗季には勝てないよ。真友って、いい言葉だね。マネージャーさん。マジドルの席がひとつ空いたって、千紗季に伝えといてください。」
「ああ。病院に連れて行った後で、本人に言っておくよ。」
つかさはマネージャーの返事を聞く前に姿を消していた。




