【第二章】第三部分
「そんな棒切れじゃ、アタシには通用しないわよ。」
「へぇ~。千紗季、強くなったんだね。ならばちょっとギアを入れようかな。魔法枕木、コングロマリット!」
つかさは、枕木を数本まとめて持つと、それは集合して、先の太いバットのようになった。
「つかさ、そんな大きなもの、持てるの?」
「心配ご無用だよ。こちらはマジドル何だから、地下ドルとはパワーが違うよ。」
つかさはバットを軽々と持ち上げて振った。
「ちょっと、約束が違うわよ。さっきのはすごく弱かったのに。それはスゴく強そうだわ。」
「一本、一本は脆くても集めれば強くなるんだよ。あっ、三本の矢はすぐ折れるからね。三十本ぐらいは集めないとダメだよ。でも地下ドルを束にしてもマジドルには遠く及ばないから誤解しないでね。じゃあ、軽く行くよ。」
つかさは揺るぎなくバットを振ると、スゴい風圧が千紗季を襲った。千紗季はそれだけで5メートル飛ばされて、壁に激突した。
「いたたた!」
腰を激しく打った千紗季。
「あれれ。これで終わったら面白くないよ。せめて一撃くらいはバット本体に当たってくれないとね。」
「そ、そうね。たしかにせっかく作ったバットに失礼だわね。って、当たったら死ぬわよ!」
「そうかな。地下ドルのセンターを張るんなら、これぐらいは真正面から受け止めないと、周りの地下ドルの気持ちを束ねることなんてできないよ。」
「それはそうかもね。じゃあ、一発喰らってやるわ!」
「ほい来た!ドカーン!ホームランかな?」
千紗季は天井に激突して、めり込んだ。
「ぐっ!」
千紗季に重力に逆らうほどの破壊力を示して天井から落ちなかった千紗季。
十秒後、ポロリと落ちた千紗季。胸のポロリはなかった。
「こ、こんなんじゃ、死んだ元センターに申し訳ないわね。」
「へぇ。さすがに地下ドルセンターの根性見せてきたね。そうこなくちゃ。てか、反撃してくれても構わないよ、その体でできるならばね。」
「これぐらいなんともあるわ!でも朋樹のことを諦めろっていうなら、何度でも立ち上がるわよ。」
口の端から流れる血を拭いながら喋る千紗季。
「そうこなくちゃね。それでこそ親友だよ。」
「そうだわね。親友って定義は、相手のすべてを受け入れするっていうことだわね。ならばアタシたちは真の親友、真友だわ。」
「その通りだよ。だからあたしはそれにしっかり応えないとね。」
つかさは新たに枕木を一本取り出して、バットでそれを空中で何度かトスバッティングした。するとボールが一個できた。
「すごく硬そうな木のボールだわ。」
「よくわかったね。そう、これはダイヤモンドよりも硬いよ。そらっ!」
つかさはノックの要領でボールを強く打った。




