【第二章】第二部分
メガネを外したつかさ。その赤い瞳は眩いほどに輝き、それは全身を包んでいった。
「目の輝きですべてが光って見えるわ!これが間近で見るマジドルオーラ!
うおおお~!」
千紗季だけでなく、山田も見惚れていた。
「おっと、やり過ぎちゃったね。」
「さっきのひとつだけって、いったい何なのよ?」
「千紗季はあたしの大切なものを奪ってるんだよ!」
「大切なもの?女の子にとっていちばん大切なものっていうこと?アタシがつかさに注入したアレルギーのこと?」
「全然意味わからないし。もういいよ。千紗季は朋樹くんを奪ったんだよ!」
「えっ?今なんて言ったの。いや聞こえたけど、まさかつかさって、朋樹のこと、好きだったの?」
「そ、そうだよ。何か悪い?」
「いや全然悪くないわけないわね。そういうこと。・・・。ちょっと、いやかなり、すごく悲しいけど、仕方ないわね。でもつかさって、マジドルだったんだ。びっくりだわ。あれ、でもフツーの高校に通ってるんじゃ?」
「そうだよ。あたしも千紗季と一緒に魔法少女省を受験したんだよ。ただし、一般職、つまりノンキャリアだけどね。だから、マジドルと言ってもセンターには遠く及ばないみそっかすポジションだよ。そんなことより、朋樹くん、だよ。」
「つかさ、それ、本気じゃないよね?」
「それは魔法に聞いてみな!」
つかさは頭に付けていた枕を手に取った。それは茶色の角材のような形になった。長さは1メートルぐらいである。つかさはそれを振り回した。
「うわぁ!つかさ、やめてよ!それって、線路にある枕木?」
「もう賽は投げられたよ!」
二人の様子を見て、山田は右手を上げた。
「これはマジドルからの正式なポジション盗りとみなす。それでいいか?」
「構わないさ。」
即座に回答したつかさ。
「そんなぁ!」
まだ信じない千紗季。
「正式なバトルになったんだよ。千紗季があたしに勝てばマジドルになれるんだから、こんなおいしい話はないよ。」
「じゃあ、アタシが負けたらどうなるのよ?」
「朋樹くんから手を引いてもらう。」
「手を引くって、まだ手もつないでもいないのに変だよ。」
「千紗季が手を引けば、あたしに見えなかった未来に光が差すんだよ。今はそれだけで十分なんだよ。えいっ!」
つかさは枕木を振り回している。千紗季は水をまとめて剣のようにして、枕木を斬った。




