表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/68

【第一章】第四十一部分

「まだつま先だけだ!って、そんなことはどうでもいい。」

「じゃあ、現場マジドルのセンターはどうやって決まるのよ?」

「センターはノンキャリアがバトルを繰り返してようやく勝ち取るものだ。」

「すごく大変そうね。」

「話には続きがある。キャリアが現場に来ることを魔法少女省では、天下りという。ノンキャリアからマジドルのセンターになっていた者は、有無を言わさず、センターポジションを譲らなければならない。」

「なにそれ?じゃあ、ノンキャリアが散々苦労してゲットしたセンターをあっさり明け渡すっていうこと?」

「そうだ。だから、キャリアとノンキャリアの間には、職制上の差異だけでなく、感情的な対立が激しいんだ。千紗季は、そんな雲の上の争いとは無縁だろう。そもそも地上アイドル、つまりマジドルになるためには、人数の決まっているマジドルを破っていかなければならない。」

「それって、マジドルとバトルして、勝たないといけないっていうこと?」

「そうなるな。さっき見たステージ上で輝くマジドルに勝つなんて、何百年かかっても難しいぞ。棺桶を何万個作る必要があるかな?」


つかさは自分の部屋で、スマホ画像を見ていた。

そこにはひとりのオタク男子が映っていた。男子はマジドルのセンターをステージのかぶりつきでハチマキ付けて応援していた。

「やっぱり朋樹くんはこんなことをしてるね。でも、本当の気持ちはわかってるよ。ほら、ここにその証拠があるものね。」

朋樹のズボンのポケットにスマホが突っ込まれていて、ヲタ芸の激しい動きの最中に、落としていた。そこに映っていたのは地下ドルの千紗季の映像だった。横から撮影されたもので、明らかに盗撮画像であった。

「こんなもの、どうやって撮ったのかな。それはどうでもいいけど、・・いや全然よくない!それがすべての原因につながることだから。朋樹くんがそんな思いなら、あたしも最大やれることをやるしかないよ。これはもう決定事項だから。」


朋樹はいつものように、マジドルセンターの握手会の列に並んでいた。つかさはマジドル側の一番端っこにいた。並び方のランクは、大相撲の番付のように、真ん中が最上位で、そこから左右に広がるに連れて下がっていく。それはファンの列の長さにも比例している。天井から見下ろすと、センターが圧倒的に長く、富士山のように広がっている。

つかさの列は短いがそれなりにファンはいる。しかし、つかさの視線は真ん中列の一点に集中している。

恒例の館内放送が流れた。

『握手会にご来場頂きましてありがとうございます。お客様にお願い申し上げます。整理券の順番をお守り頂き、列を乱さぬようお願いいたします。』

いつもの何の変哲もない場内アナウンスであるが、全員がなんとなく聞き入っていた。

「チャンス!」

つかさは他人に聞こえないような小さな声を出し、瞬間的に朋樹のところに走り寄った。

『バコッ!』

前後に並ぶ人間には聞き取れないような衝撃音が朋樹の腹部を襲った。

『うわぁ!』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ