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【第一章】第四十部分

山田はエレベーターを使って、2つ上のフロアに上っていった。

「あれ?ひとつ階を飛ばしたわね。」

「そのフロアもすべて個室だ。つまり1、2階はすべてアイドル専用フロアだ。3階からはイベントフロアになる。なお、1、2階にはファンなど外部の人間は立ち入り禁止になっている。さあ、ここのステージはちょっとだけなら見学が許されるからな。」

エレベーターから出ると、正面に観音開きの巨大なドアが見えた。

「このドアの高さだと、天井を超えてるわよ!」

「そりゃそうさ。マジドルのパフォーマンスには高さ、広さが必要なのさ。ほら、ちょっとだけ、中を覗いてみな。」

「うわっ!これって、ステージって言われるものではないわよ。高さ、広さも野外ステージみたいじゃない。いや、それよりももっと広いんじゃないの!これって、ワンフロアを全部使う、いやツーフロア、いやスリーフロア分で足りるかしら?高さなんて全然足りない感じだわ。それにステージが観客席から遠過ぎてよく見えないぐらいだわ。」

「魔法で空間が作られてるからな。さあ、ライブが始まるぞ。」

真っ暗な空間の中でスポットライトが照らした。マジドルたち14人がブルーのミニスカートワンピースで並んでいた。それぞれのマジドルが腕を振ると、火や水がイルミネーションのように現れて生き物のように宙を舞っている。それだけでなく、空間に浮く植物が花火のように花を咲かせている。

「まるで宇宙空間だわ。」

千紗季はその後の言葉を失って、ただただ魔法を見ているだけ。

「これで驚くのは早いぞ。」

星座のような大きさの動物や竜が光輝きながら踊っている。

「ここまでだな。」

山田はフリーズ状態の千紗季を引っ張るようにして、イベントホールから連れ出して、エレベーターに乗り込んだ。

ようやく落ち着いてきた千紗季は下を向いたまま山田に尋ねた。

「どうしたら、あそこに上がれるの?」

「それは魔力を磨くしかない。さらにマジドルのポストは決まっている。今いるマジドルと入れ替わるしかない。」

「入れ替わるって、まさか、魔法を使ってのバトルするんじゃ?」

「正解だな。しかし、バトルするには地下ドルにはほとんど魔力がない。ゆえに、ここに地下から上がれるものはほとんどいない。今はゼロだ。」

「じゃあ、あそこにいた連中はどこから来たのよ。」

「彼女たち全員が魔法少女省の官僚だ。」

「ええっ?でも官僚って、みんなスゴいエリートじゃないの?」

「官僚とは正式には国家公務員、その中に総合職と一般職がある。通俗的な言い方では、総合職はキャリア組、それ以外のノンキャリアに分けられる。マジドルは魔法少女省からみれば、出先機関。いわば現場だ。」

「現場にやってくるって言ったら、手足みたいな役割みたいね。パシリ的な?」

「それに近いかもな。しかし、本省からも、現場経験を積むためという目的で、出先機関に出向するのが通例だ。違う官庁で例を上げると、財務省では、30才ぐらいで地方の税務署長になるし、警察庁でも若くして地方の警察署長になっている。」

「へ~。ならば豊島区マネージャーも税務署長なんだ?」

「バカ!まだ若いんだぞ!私はそこまで逝ってない!」

「その文字を使うだけで、棺桶に両足を突っ込んでるわね。」


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