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【第一章】第三十九部分

千紗季は地下ドルに戻ったあと、何かに吹っ切れたのか、破竹の勢いで、ステージ、握手会をこなすようになった。文字通り、地下のセンターをこなして、周りからも認められるようになっていた。


楽屋で千紗季は立ったままで山田に向かい合っている。山田は膝を組んでタバコを手に持っている。そこにはふたりだけしかいない。

「アタシ、地上に上がるわ、マジドルになりたいの!」

「ふーっ。」

山田はタバコをひと息吸って、火を消してから、視線を千紗季に向けた。

「ついにそう来たか。地下でセンターになった者はたいてい物欲にまみれて、そう願うものだけどな。」

「何言ってるのよ。アタシは物欲には興味ないわ、あるのはイセイヨクだけよ!」

「おいおい、異性欲か。性欲を全面に出すアイドルがどこにいる。」

「セイヨク?ち、違うわよ。異星人欲よ。異星人ヒーローのように大活躍するまっとうな欲望よ!」

「なんか、ワケがわからんが。まあいい。私について来い。地上と地下の違いをわからせてやるよ。千紗季がどれだけ無謀なバトルフィールドに飛び込もうとしてるのか、よくわかるだろう。」


ふたりはエレベーターで地上階に上がっていった。

山田は、受付嬢に話をすると、二階への階段を上ることができた。

「ここは魔法少女省受験の時に上がりそこねた場所ね。ついに天国への階段を踏みしめることができるんだわ。人類の進歩を感じるわ。」

「今回はただの見学会だぞ。進化論発見前なんだからな。心しておけ。」

「わかってるわよ。でも美少女の夢は叶えるために存在してるんだから。」

「何でもいいから静かにしておけ。」

階段を上り詰めると、山田は左右を見回した。

「ここからは中を見ることはできないから、廊下から説明するぞ。ここからずっと左右の奥に向かっては、すべて楽屋と寝室など生活空間の個室だ。ドアに名前が書かれているのがわかるだろう。」

「そうね。個室と言ってもかなり広い感じね。グループ内のチーム毎に使ってるのね。」

「それは違うぞ。楽屋はアイドル一人に一部屋。付き人ではなくマネージャーが付いている。それに寝室は全室キングサイズのベッド付き、かつバスルームも完備されており、アメニティはホテル並みだ。さらに日常的にくつろげるプライベートルームや、個人レッスン設備もある。」

「何それ。政治家でも住んでるような待遇じゃない。」

「まあそうだな。枕営業の対象もセレブになるから、接待できるように、ベッドもキングサイズになってるぞ。」

「キングサイズ?どういう用途なのか、まったくわからないわ。」

「イセイヨク十分な割には遠慮がちなセリフだな。」

「ほおっておいてよ!」

「まあいい。これはすべて税金で運営されている。」

「そんな個人的に税金を使うのって、許されるの?」

「税金と言っても消費税だ。枕営業で超高額の消費税を稼いでいるんだ。マジドルは自分たちで稼いだカネで生活しているに等しいから問題ない。しかし、そんなことを実現できるだけのモノがマジドルにはある。それはステージを見れば一目瞭然だ。」



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