【第一章】第二十九部分
ゲリラの首領は宮殿で怒っていた。
「こうなったら、人間関係を破壊してやる。これまでにない主従関係を作って、世界を混乱させてやるんじゃ!」
「陛下、勝手にやってください。お好きにどうぞ。」
「やってやるぞ!」
「う、う、う。」
ほどなくタミフルが意識を回復した。まだ床に横たわったままである。そばには千紗季がいた。
「あっ、さっきのモンスターは?も、もしかして、千紗季が倒してくれたんだ~?」
「うっ。いや、それはどうかな?」
「遠慮してる~。なんて慎ましやかなんだ~。タミフルの命の恩人だね~。うん、決めた~。今からタミフルは千紗季公方様の側用人として登用される~。」
「ええ~っ!?そんなこと、急に言われても!」
と言いながら、頭をひとひねりした千紗季。
(でもこれって、かなりオイシイかもしれないわ。)
こうして、ちょっと前までソコドルだった千紗季は、センターポジションを超越したセンターの公方様となった。
その日から、楽屋に千紗季専用のコーナーができた。タミフルのいたスペースのさらに奥にパーテーションで仕切られた空間を作り、そこに高級ドレッサーや、ソファーを置いてくつろげるようになっている。
寝室も別の部屋にベッドが用意されて、争奪戦が不要になった。食事もそれは同じであった。
「センター公方様、タミフルが身の回りをお世話するよ~。」
千紗季はセンター公方様と呼ばれるようになっていた。
「そうなの。うれしいわ。じゃあ、ジュースとアイス、買ってきて。」
「かしこまりましたよ~。」
他にも千紗季の雑用主体の命令をことごとく受け入れるタミフルであった。
「これは便利だわ。でも、いいことあり過ぎだわ。もしかしたら、タミフルはゆりゆりで、夜のお誘いがあるんじゃないかしら。オイシイ話にはたいていウラがあるし。ぶるぶる。」




