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【第一章】第二十部分

マジドルは千紗季に深いキスをしたのだ。

「ええっ!?マジドルがアタシにキス!アタシ、エロサドバトル世界に突入したの?」

「もう喋るな。お前に酸素供給した。これで少しは持つだろう。マジドルは歌手である以上、肺活量は常人をはるかに超えるからな。」

「そんなヤツ助けてどうする。将来の年金支給がもったいないような人間は、口減らしすべきなんだよ。」

夢枕モンスターは酸素ボンベを担いでいた。

「区長は何でもアリのようだな。こんな所に酸素ボンベは、普通いらないだろう。」

「これだからモブ市民は浅はかなんだよ。危機はいつどこで起こるかわからないんだよ。危機管理能力は行政機関の基本だ。」

「なるほど。でも貴様のような市長に税金を使わせることこそ、無駄な行政というものだな。マジドル魔法、枕草子!」

マジドルは頭に付いていた小さな枕を振り回した。すると、応接室の中にたくさんの草が現れた。

それから10秒経過した。

「あら。呼吸ができるわ。いったいどうしたのかしら。」

「草に二酸化炭素を吸わせて酸素供給したのさ。これでこの部屋の酸素濃度は高まった。」

「ぐっ、く、苦しい!ぐわぁ~!」

「モンスターは倒れて痙攣している。これでライブは終わりだな。」

「区長はいったいどうなったの?」

「酸素ボンベで酸素を摂取していたところに、空気中の酸素濃度が著しく高まって、過剰に酸素を取り入れてしまったんだよ。呼吸は全身で行っているものだからな。結局、過酸化で動脈硬化したのさ。まだ若そうなのに、血管は一気に衰えたんだな。」

「助けてくれてありがとう、とか思わないでもないんだからねっ。・・・って、いないし!」

すでにマジドルはいなかったが、代わりに警察がやってきたので、千紗季は慌ててその場から脱出した。

「そう言えば、枕はどうなったのかしら。区長は買う気マンマンだったはず。それはアタシの魅力がビンビンだったせいなんだから、枕を買ったということでいいわよね?」

千紗季はスマホを取り出した。

「売上は百十万ってなってるわ!やっぱり高額品だわね。枕営業って、儲かるわ。あれ?これってどういうこと?」

スマホ画面に追記があった。

『入金額は百万。消費税一割を頂いた。』

「あのマジドル、消費税を持っていったわ!でもマジドルは魔法少女省の官僚だとすると、税金徴収って、当たり前かな。」

顎に手を当てて思考を進める千紗季は突然立ち止まった。

「よく考えると、アタシ、唇を奪われたのよね。それも朋樹のために、大事に取って置いたものなんだけど。相手は女子なんだからノーカウントってことでいいわよね?」

千紗季は、ファーストキスの定義で思考を巡らすうちに、ソコドル事務所に到着した。

ドアを開けると、山田がパイプ椅子に腰掛けて、タバコの煙をくゆらせていた。

「枕売れたんだな?」

千紗季の背中を見て、山田はそう言った。

「そうよ、あっさり売れたんだから。アタシの能力、すごいわよね。」

「ああ、そうだな。」

山田はテレビのスイッチを入れた。区長が辞任したとのニュースが流れていた。


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