【第一章】第十四部分
幼女首領が10畳ほどの窓のない室内からモニターを見ている。モニターは街の監視カメラを使っているのか、千紗季の動きを的確にフォローしている。
「しめしめ、ソコドル、それも新人素人っぽいヤツが抱き枕を売ってくれるぞ。しかも行き先はこの街の市長宅だ。うまく行けば街を大混乱させることができるぞ。」
「屁リオス陛下、うるさいです。」
「レベッカ!なんだ、その呼び方は!妾は薜・里緒朱じゃ。」
「難しい文字はダメですよ。それな私は今昼寝中です。起こさないでくださいよ。」
レベッカはリオスのそばにソファーを置いてそこに横たわっている。
「これのどこがメイドなんだ。」
「いいじゃないですか。別に何かするわけじゃないんですから。陛下がオン枕にしたものを、運んでもらうだけなんですから。後はこのオン枕連動の魔法監視カメラを見るだけですよ。」
「それはそうなんだが。」
「陛下がかけた魔法なんですから、自分で責任取ってくださいよ。」
「ムムム。アタマに来たぞ。ここから出ていってやる!」
カッカッカッと靴を鳴らしながら、ドアの方に行ったリオス。ドアノブに手をかけたが、動かない。
「どうしたことだ。ドアが開かないではないか。レベッカ、何とかしろ!」
「陛下、ダメですよ。オン枕状態の時は、この王宮から出ては行けませんよ。オン枕は陛下が操作しないと行けないんですから。陛下がいなきゃ、タダの安物枕なんですよ。」
「なんて不便な枕と魔法なんだ!それにこの殺風景な事務所から出られないし。」
「事務所じゃないです、いちおう王宮ですよ。たしかに今は雑居ビルのような場所ですけど、陛下がいらっしゃる場所の定義が王宮なんですから。積年の人間に対する屈辱をリベンジするために、私たちは存在してることをお忘れですか。オン枕を夢枕モンスターに変えて、人間界の要人を倒して、混乱を招き、やがて人類にカタストロフィーをもたらすんですよ。」
「そんなことはわかっとる!事務所、いや王宮ももっと大きく豪勢な所に移転してやるぞ。ここでも前より少し広くはなったしな。」
「その息ですよ。ぐうぐうぐう。」
「レベッカの寝息のことじゃないぞ。意気だぞ、意気!」




