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救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』

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第67話、世界一的外れな決め台詞なのに、存外似合っている




SIDE:ローサ(inサーロ)


 

いずれ迎えるかもしれない救世主様のためにと。

いつどこで何があってもいいようにと、冒険者稼業の傍ら、この【カントール】と呼ばれる世界を数年かけて行脚していた俺。


当然、今いる学園都市【ヴァレンティア】に訪れた事だってあったのだけれど。

どうやら俺が案内されたのは、漢の中の漢、剣をもって無骨に戦う戦士たちを養成する【ヴァレン】と呼ばれる学園の方だったらしい。


あれだな、新進気鋭の冒険者としてブイブイいわせていた俺なんて、いかにも軟派な感じだったから、今いるこの場所に足を踏み入れる事すらご遠慮いただきたいというか、忌避されていたのだろう。



そんなわけで、こんな桃源郷……じゃなかった、【ティア】と呼ばれる学園が、ほとんど女性ばかりの学園だっただなんて知る由もなくて。

その流れでそんな敷地に足を踏み入れ【ブラシュ】へ向かうためには女の子の魔法使いっぽい制服を着なくてはならないなんて理屈が、どうにも納得できなかったけれど。

それじゃあ俺はここまでです、だなんて殊勝なこと、言えるわけもなく。


今のこの姿、ローサに変わってからというもの、こっちが恐縮してしまうくらいラルちゃんの距離が近いというか、仮面越しでも心を許してもらっているのがよく分かるから、これはこれで俺にとっては悪くないし、こうして今まで縁の無かった……入れなかった場所に、表面上は誰に咎められる事もなく入れるのだから。

ちょっと女装するぐらい余裕っつーか、現在進行形で今更過ぎてあれだけど、風の歌姫? らしい衣装を纏っちゃってるわけだし今更だよね、なんて自分を納得させつつ。

ラルちゃんとグレアムさんの威光というかお力により、実にスムーズに学園内へ進み行く事ができて。

 



それでもみんながみんな揃って相当目立つものだから、これは相当注目されること請け合いで。

案の定、目的地である『職員室』なる場所に辿り着いたら、一斉に視線が突き刺さるのが分かる。

いつもなら、そんなキャラ似合わないにもほどがあるはずなのに、それが何だかむず痒くてメンバーの中で比較的背が高いリーヴァさんの背に隠れるように縮こまっていると。


やっぱりそんな視線もなんのそのなラルちゃんが前面に出て、それにノアレさんが続くことで相手側が気づいてくれたらしく。

俺から見ても、明らかに世界が違う……という表現が適切かどうかは分からないけれど、

栗色の髪を、耳元で揃えた、娘がいるお母さんだとは到底思えないくらいには若い女性が、手招きしているのが分かって。

何だか恥ずかしそうにしているノアレさんに新鮮なものを覚えつつみんなでそちらへ向かうと。

 


どうやら、ある程度はグレアムさんから話を聞いていたようで。

ノアレさんによぉくきたわね、なんて笑って見せた後。

迷うことなくこのメンバーの中心的存在、ラルちゃんの方へと歩み寄っていって。




「どうも~。ダーリンから話は聞いているわ。私はエイミ・エクゼリオ。よろしくね。ええと、もう一人の娘ちゃんが、生涯仕えたいって思うご主人様のこと見つけたってダーリンが言うものだから今すぐ見極めてやろうじゃないのって思ったのだけど。仮面のあなたがそうなのよね? やんごとなき身分のお方だから粗相のないようにとは言われてるしアレなんだけど……女の子、よね?」

「いや、オレはおと……じゃなかった。ええと、はい。こんな格好ですみません。一応そうですが、確認が必要ならば取りましょうか?」

「ふふ、何だか属性てんこ盛りで暴走しちゃってる感じ? せっかくだからお願いしましょうか」

 


実に快活に名乗って見せた後、まるで娘のカレシを見定めるお母さんのように、ラルちゃんに詰め寄ったまではよかったものの。

近くで改めて目の当たりにすることで、どう見ても聞いていたのと違うと言うか、ラルちゃんの完全無欠な美少女っぷりを感じ取ったらしい。

疑問符は一応ついていたけれど、エイミさんはきっと確信を持っていただろう。



対するラルちゃんは、そんな確信めいた決めつけに反発したかったわけでもないのだろうが。

そう聞かれたら反射的に『オレは、男だぁ!』と答えるのがお約束だと言わんばかりな態度を取るも、ここでそれを口にするほど自身の事を理解していないわけじゃなかったらしい。


と言うか、故郷での記憶に頻繁にそんな世界一的外れな決め台詞を放つラルちゃんがいたけれど。

それに気づかないふりをするというか、流してくれていた周りの人達は、本当になんて言えばいいのか、ラルちゃんに『やられて』しまっていたんだろうなって、つくづく思って。

 


案の定エイミさんも、そんなラルちゃんと少し会話を交わしただけではまってしまったようで。

特に抵抗することもなく、あっさりそんなエイミさんの言葉に従って仮面を取るラルちゃんに。



またひとり、心を奪われるという意味で『やられて』しまう人物が増えるだろうことは。


もはや、揺るぎのない事実であると言えて……。



 

      (第68話につづく)









次回は、5月4日更新予定です。

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