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救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』

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第53話、意外と勘違いしぃで、熱くなると我を忘れてしまう




SIDE:ラル


その後、外敵を自動的に排除する仕組みであったらしく。

倒しても倒してもキリがなく湧き出してきたので。


真夜中の町ならよくよく考えたらここまでで人の姿がないのもそりゃそうだと気づかされるとともに。

リルは顕現していると常にランタンのごとく赤く明滅しているので、城から見てもよくよく目立つだろうと。


そう言った意味合いで言えば、うまく囮というか目を引く役目を負って、風の魔精霊の少女の潜入に一役かっていただろうことは確かで。

かと言ってここで現れる闇の魔物をちぎっては投げ、ちぎっては投げの繰り返しをしていてもしょうがないというか、ラル自身も城の中でみんなが集まって今一体何が行われているのか、知りたくなったからこそ、リルに指示してそのまま強行突破を開始することにして。



(うーん。そうだな。ぱっと見た感じ、上の方どっか空いてそうなとこないかな。ほら、あの真ん中の尖塔のあたりとか)

「……りかっ」



リルの火力で、正面の城門などを燃やしぶち抜くことは当然可能ではあるが。

今更ながら目立ちたくないというよりも。

長年『夜を駆けるもの』として、夜に家を抜け出しては高い所から人の家や城に遊びに行くのが常であったため、人の家を壊したりして侵入するのは美しくないというか、ラルからしてみれば考えもしなかったというのが、そんなラルの指示を受けてリルが鬼灯のようにふわふわと浮かんでいくこととなった理由である。



その際の返事は、ごくごく単純な鳴き声。

その声色だけは未だサーロのものであったが、急にここにきて多くは語らなくなったリル。

それも、その場にいつも耳にしているラルしかいなくて、聞いてくれる人が他にいなかったからなのだろう。


リルは、どうやらその声にあの風の少女が面白いくらいにリアクションしてくれたのが楽しかったらしい。

確かに、ラルから見てもその声を耳にした途端、それまで人ならざる魔精霊にありがちな動かない美しさがあっと言う間に解けて。

ラルだけでなく、きっと彼女もその声がお気に入りなんだろうなっていうのがよくわかって。


それ以前に、きっと間違いなく彼と関わりがあるのだろうと確信は持っていたが。

その声色で大声で騒ぐなと、あわあわしていたその様を見て、もしかしなくても仲良くなれるんじゃなかろうか、なんて思っていたラル。


リルを急かしたのは、そんな彼女が心配であったからに他ならない。

何色にも染まることがない、あるいは何色にも染まり得る風の魔精霊である彼女であるからして。

魔力感知に長けたラルでなければ、彼女を見とがめることは難しいだろうと判断して二手に分かれたわけだが。


向かった城、その先でラルが予想したような……何者かが魔力を集め、何かしらに利用せんと考えているのだとすると、ある意味火の中に向かって飛んでいくようであるとも言える。


何せ、対面した時間はまださほどではないが、彼女の魔力の質はラルから見ても極上なのである。

見えなくとも、その美味しい魔力を感じ取れる者はいるかもしれない。



一度その事に気づいてしまったら。

心配で心配でしょうがなくなってしまって。

ラルは、急ぎたい割に矛盾した行動を取ってしまっていることに気づけないままで。


それでも運良く空いていた、王城の中央にある尖塔……風通しのためか僅かながら空いていた窓に向かってにゅるりとその見た目よろしく身体をくねらせて、見事にリルが城内に侵入したのを見守っていると。




「……りかばっ!」

(やっぱり、【エクゼリオ】の魔力! この感じは召喚……所謂生贄召喚じゃないか! 一体何を召喚するつもりだよっ)



何かしらの危機察知が働いたのか、気をつけろとでも言わんばかりにリルが鋭い声を上げる。

気をつけなくてはならないのは、ラルではなくそこにいるリル自身であるからして自分に言い聞かせたかったのかもしれないが。

完全にそこにいるものとして入り込んでしまっていたラルは、最早一刻の猶予もないとばかりに更にリルを急かす。


心内で指示しなくとも、そんな内心もばっちり伝わっていたからこそ、ラルは正しく自分が移動しているかのように闇の魔力が立ち昇ってくるその先へと飛んでいって。




(……っ!)


辿り着いたその場所は、王城に相応しい広さを持った玄関口……エントランスホール。

ちょうど今のリルのように、上空から仰ぎ見ればよくよく分かる、そんなホールを埋め尽くすほどの魔法陣が目に入った。


目もくらむほどの闇色の明滅は、その魔法陣が術式発動のための準備を整え終え、召喚を始めるその寸前であることを意味していて。

心なしか、その中心から余りにも巨大なナニモノかの頭……角のようなものを見えていたのだが。



(【ヴァーレスト】の彼女は……いないっ? どこにも魔力を感じないじゃないかっ。まさかもうっ……!?)

 


彼女自体が、ラルからしてみればとっても目立っていて。

感知に長けたラルだからこそ、そんな彼女がもうここにいないことが分かってしまったから。


思わず最悪の想像をしてしまって。


ラルは目の前が真っ暗になるような。

そんな感覚を陥ってしまっていて……。




      (第54話につづく)









次回は、3月20日更新予定です。

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