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救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』

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第50話、意外と二人は、ウマがあってお似合いなのかも



SIDE:サーロ


狙ったわけではなかったけれど。

何ぶん初めての魔法行使……魂の分裂による偵察であったから。


扉や壁などを、気を抜いていると際限なく突き抜けていってしまうことにも慣れないままに、何とか玄関先でこらえていたら、目の前にうぞうぞと蠢く触手を生やした赤色のスライム……見た目に反して【カムラル】の魔力をたたえた彼、あるいは彼女がいて。



話をよくよく聞いたところによると、どうやら目的が同じ、『ブラシュ』の今が気になっていたらしく偵察へ向かうところであったようで。

その身に纏う魔力の雰囲気を見ていると、十中八九ラルちゃんの差金というか、彼女の眷属、あるいは使い魔であるのだろう。

リカバースライム、などと呼ばれる魔物……火の魔精霊である彼、彼女は、リルと言うらしい。



何故か俺自身にすら見えない俺の分身……恐らくは、【ヴァーレスト】の魔精霊の如き存在であるので透明なのだと思うのだけど。

リルさんにはバッチリその姿が捉えられるらしい。

多分、魔力を視ることに滅茶苦茶長けたラルちゃんの能力をある程度引き継いでいるのかもしれない。


リルさんが言うには、現在の見た目は音に聞く可愛らしい子らしいけれど。

鏡にも映らないからどうしようもないというか、そんな見た目でサーロですと名乗るのも微妙だなぁ、なんて思っていたら。

名乗る機会を逸したというか、何故かよりにもよって、そのどこを見ているかも分からないまんまるの瞳で、俺がそこにいることが分かっているんだぞ、とでも言いたげに。

俺の声で夜更けにも関わらず潜めることもなくナンパしだしたからたまらない。



要らぬ心配をかけることもないと、よい子のみんなが寝静まっているだろう時分を選んでの偵察であるのに。

こりゃたまらんというか、俺ってそんなくっさいセリフを日常的に発しちゃうような野郎だと思われているのかと思ったら小っ恥ずかしくていただけなくて。


何げに口を塞ぐようにしてその透けた赤色の身体に触れたら、死ぬほどやわっこくて癖になりそうだったけれど。

どうやら夜が明ける前に偵察に出ると言いつつも、結構離れているはずの『ブラシュ』に、その見た目よろしくふわふわ飛んでいく予定だったらしく。

それじゃあ到底間に合わないからと、そのまま胸元にかき抱く感じで俺はグレアム邸を後にする。




「ふっかふっかですな。至福でございます」

「って、口を開いたかと思ったらいきなりなんなのさ。そりゃこっちのセリフっ」

「りゅふかっ」


って、やめぃっ。後頭部ぐりぐりすなっ。

くすぐったいだろうっ。自分のやわっこさのスペック無自覚かっ。


落っことさないように意識して抱えているから、しっかりお互いの感触がある。

そんな中、間違いなく俺も思っていたことを、よりにもよって俺の声でのたまいやがるから参っちゃうよ。


正直者な口は、これかとぐにむに引っ張りながら。

しばらく夜の町を歩いて、人気のない町の敷地の外までやってくる。




「ここから、どっちの方向? 夜が明ける前にすましたいから、迅速に頼むよ」

「方向としたらええと、こっちだけど……まさかこのまま向かうわけじゃないからな。魔法で移動するから」

「ほほぅ、あれですか。【ヴァーレスト】と【リヴァ】の高等な合成魔法ってやつですな」



……どうでもいいけれど、全然キャラ定まってない感じなのね。

いちいち俺の声なのが気になってしょうがないというか、勘弁して欲しいところではあるのだけど。

言っても直してくれそうになかったので、俺はさっさとそんなリルさんも詳しい瞬間移動の魔法を発動することにする。



「……ええと、『ブラシュ』へ。【リィリ・スローディン】っ!!」

「りかっ」



『リィリ』と頭につく風と時の合成魔法には。

実は結構種類がある。

とにもかくにも、その場から離れたい時。

指定した誰かのところに行きたい時。

目に見える範囲に、どこまでも飛んでいきたい時。

ダンジョンなどのような、四方八方塞がれている場所から脱出したい時など、様々あるが。


ラルちゃんが俺と初めて会った時にも使っていたようだったけれど。

今口にした魔名は、本当はそれの中でも最上級……一度行ったことのある場所へ向かいたい時に使うものだったりする。


そうであるならば『ブラシュ』へ一度行った事がなければ条件に合わないわけだけど。

俺自身、この世界に来て3年間の間に、こんなこともあろうかと、何があってもいいように大抵の国々には足を運んでいて。

その中には、当然『ブラシュ』もあった。


確か、二年くらい前だと思う。

その時は、【ウルガヴ】の一族って、【ピアドリーム】や【ガイアット】の一族と同じかそれ以上には排他的というか、他種族に厳しいって聞かされてはいたけれど。


これといって問題はなかった……アイちゃんくらいの小さな子が、その身一つで逃げ出さなくちゃいけないような理由は感じられなかったんだけど。



あくまで冒険者としての依頼のついでだったから。

見方を変えれば、改めて分かることもあるのかなぁ、なんて思っていて……。



      (第51話につづく)









次回は3月11日更新予定です。

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