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救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』

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32/116

第32話、もう一度くらい、とんでもなくひどい目にあうべきじゃなかろうか



SIDE:サーロ



上のフロアに近い、天井付近で浮いていたからだろうか。

先程まで眠っていて分かりにくかった魔導人形の少女の顔がよく見える。


グレアムさんがヴァンパイアっぽさ欠片もなくドヤ顔で誉めそやし自慢していただけあって、なるほど目が覚める程の美人さんである。

魔導人形らしく表情にも乏しい感じだけど、それすらも美しさを際立てていたのは確かで。


っていうか、かちこちに凍りついたがごとくだったから、実際動いているのを見るのは何だか驚きだな。

ぶっちゃけ普通の人族と何が違うのかわからないぞ。


つまるところ何が言いたいかというと。

ちょうど正対して垣間見える、彼女が身につけているスケスケな夜着は、裸なんぞよりもよっぽどエロスで。

目のやり場に困るというか、魔精霊化しているっぽいこちらに気づかれなければ、無遠慮に見放題じゃね、なんて思ったわけだけど。



「とても綺麗な、まばゆいくらいの魂の色。やはりワタシの主さまに相応しいお方……」


無表情ながらもたどたどしく幼く聞こえる、正に生まれたて覚えたてのような呟き。

丁寧な言い回しとは裏腹に、庇護せねばならないと決意させるような危うさがそこにある。


「え? あ、主? ……ってか、もしかしなくても見えてます?」


そんな彼女の視線はしっかり俺を捉えているような気がした。

やはり物事はそう都合よくうまくいかないというか、これは夢でもなんでもないらしい。


どうやら、今寝っ転がっている大仰な魔法機械は、魔精霊化……彼女が言うように、魂の色、普段は見えない人の本質すら見ることができるようだ。


どんな属性を持ち、向いている……相性がいいのか。

それによりどのような成長スキルやギフトなどが見込めるのか、そこまで検査できるのだろう。



いやはやまったく、異世界の『健康診断』はすごいなぁ、なんて思わずにはいられなかったけれど。

そんな風に思考が逸れていっているのは、目の前の魔導人形の少女から発せられた言葉に、身に覚えのないいいんだか悪いんだか分からないものが含まれていたからだろう。


一体どういう意味なのかと、咄嗟に聞き返すも。

しかしどうやらこちらが幽体的なものが見えている……というわけではないようで。

ついて出た俺の言葉は聞こえていないようだったけれど。


それでもこちらを(きっと魂の色がオーラのように見えているだけなのかもしれない)ほぅとあつぼったい、勘違いしてしまいそうな吐息を吐きつつ見つめたのち、棺桶的なものの中で眠りこけている……というか、魂が今そこにないため、死んだように微動だにしない我が肉体へと近づいていくではありませんか。



「……それでは、契約を。ワタシをこの世にとどめおくくさびとなって欲しい」

「ちょっ、なになにっ!? ナニする気っ!!」



何だか意味深長なことを言われたから。

思わず焦り、声を上げたけど。

当然のようにその声が届かない。


だったら、さっさと自分の肉体に戻ってしまえばすむわけだけど。

ホムンクルス……あるいは魔導人形がその存在を留めるための契約について心当たりがあったため、下世話も甚だしい期待感に負けて動けないというか、そもそもどううやって幽体離脱、魔精霊化したかも分からないんだから、戻る方法なんてわかりゃしない、だなんて棒読みのいいわけを内心でしていた。



魔導人形、その内に魂を秘める本物の魔導人形の存在は、ラルちゃんの故郷にもあったため、そのことについてはそれほどの衝撃はなかったわけだけど。

魂をとどめ、意思を持つようになるためには、マスター(主)となる人物と所謂魂を繋げるための契約が必要なわけで。

グレアムさんはが、そんな完全なる魔導人形の最後のピースとなりうる契約について知り得ていたかどうかはまだ確認していないが。

その辺りのことは本人がわかってたらしい。



ご多分に漏れず、スムーズな主従契約を行うためには体と体を触れさせるのが効果的である。

一番手っ取り早く、物語的なのはやっぱりキスであろう。

こちらから行動に出ようものならば、一にも二にも憲兵さん的存在を呼ばれかねない事案だが。

相手がしたいというならば吝かではないと思いたいよね、うん。


期待……ではなく、仕方がないじゃないか、とばかりに。

そんなわけでただただ見守ることに決めたわけだけど。



「……ええと、これは」


どうやら自我の持ちたて生まれたてで、まだまだ結構右も左も分からない状態らしい。

それでも契約を迫ろうとするのは、本能的なものなのかもしれない。

棺桶っぽいやつの蓋の開け方がわからなくて、あたふたしているのもなんだか見た目の印象と違って、とってもギャップがあって可愛らしくて。


よくよく考えたら、内側から開けるべき……せっかく美少女の初キッスをちょうだいするのだから。

こうやって手をこまねいてただ見ている場合じゃないじゃないかと。

すぐさま前言撤回の意思を見せたからなのか。



気づけば俺はすぐさま光のごとき速さで。

今までさんざんばら戻り方はわかりませんなんて言っていた割に。


あっさりと、自身の身体へと戻ることに成功していて……。



    (第33話につづく)







次回は、1月13日更新予定です。

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