表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』
18/116

第18話、そうして下手な正義感を持ち出して巻き込まれに行く



初めは、変化した俺にどこか違和感があるのでは、なんて思っていたんだけど。

奇妙で、刺すような訝しげな視線を向けてくるものに共通点があるのを発見した。


世界に蔓延する12の魔精霊。

それらは人にもくっついて、アイデンティティを示すが如く人を様々な色に染めるわけだが。

視線を向けてくる連中は、何と言えばいいのかひとまとめのグループみたいに同じ色の組み合わせを全身覆うようにして身に纏っていたのだ。



多いのは闇色、そして銀色か。

闇の精霊エクゼリオ、月の精霊アーヴァインを表すそれ。

組み合わせとしては、それほど珍しいものではないが、その集まり方が不自然なのは確かで。



(何かに操られている……あるいは誰かの従魔、眷属……か)


前者にしろ後者にしろ、どうもきな臭い。

ラルちゃんやアイちゃんに興味を示している様子はなかったので最悪放置しても問題ないかとも思ったが。

彼らが視線向ける理由が俺ではなく、イゼリちゃんであるなら話は変わってくる。

一端の冒険者なのに、アイちゃんと一緒に山賊達に捕まっちゃってた、どこか不運と言うかドジっ娘属性のありそうな彼女の身を案じるのはもちろんの事、故郷に帰ったはずのイゼリちゃんがこの町にいて、ラルちゃんたちと鉢合わせしてしまったら参った事になりかねないからだ。


……そんなわけで。

追いかけて捕まえんとする勢いの視線たちを蒔くようにして裏路地に入り込むと、さっさと『変質のロッド』の効果を解除する事にした。



「……」


すると、やはりイゼリちゃんの姿に問題があったのか、実際追いかけるようにやってきた人々は、俺を見る事もなく何かを探すゾンビのごとくどこへともなく去っていってしまうではないか。



(っとに、今度は何をやらかしたんだイゼリちゃんてば)


不運ハードラック体質の彼女の事だ、やっぱりこの村で起こってる何かに巻き込まれているんだろう。

俺は敢えてやれやれ、なんて一息ついて。

逆にその随分特徴的な統一された魔力の衣纏う彼らを追いかける事にした。


特に潜む事もなく、さりげなく堂々と付けていってわかった事は、そんな彼らがこの村に一定数いる事と、使用人的な服装……メイド服や、執事服、使用人っぽい作業着の人が多い、という事だった。



(ふむ。この様子だと代表の館あたりがベタで怪しいかな)


それまでは、あまり栄えた村とは言えなかったウエンピの村。

しかし、新しい代表が来た事で、急に活気に溢れ栄えだし、町と見まごうばかりの栄えようという事で、かなり優秀な人物がやってきたのだとは話に聞いていたが。


何か知りたくもない裏でもあるのだろうか。

活気がよく、景気もよく回っているのなら、下手に触れない方がいい気もするが。

あからさまな事件っぽい匂いに今更足を突っ込まないわけにもいかないでしょう。



そんな事を考えていると、案の定導かれるようにしてやってきたのは。

きっと間違いなくこの町で一番大きいであろう、古風な雰囲気の割に実際は建った……建て変えたばかりだという元村長の家、現代表の館であった。


綺麗に少しだけずれて積まれ配置された赤レンガの建物にまとわりつくのは、いかにもな蔦ばかりでなく、年季の入っていそうな闇と月の魔精霊たち。

何気に索敵と言うか、生体反応をいつぞやの魔法でチェックすると、無数の人の気配を地下に感じるともに、ちょうど屋敷の真ん中あたりにこの前捕まえたヴォトケンを軽く凌駕するであろう力強さを持った生体反応をキャッチした。



(代表サマかな。善悪はともかく、ちょっとばかし厄介そうだ)


正面からドンパチやって、いたずらに騒ぎを起こすのはナンセンスだろう。

ここはラルちゃんにならって再び変化の魔法の出番かな。


あるいは、気配を消しての屋敷への侵入。

それでも強者なら気づくひとは気づくだろうが。

要は見つかっても捕まらなければいいのだ。


俺は、大きな真ん中の魔力の気配に注視しつつ。

再び『変質のロッド』を使い、イゼリちゃんに変化する。



「あ、そうだ。一応アイちゃんとラルちゃんに連絡しとかないと」


あまり時間をかけるつもりはなかったんだけどさ。

何があるかわからないし。


俺は、そう自分に自分で言い訳して。

かつては一番の盟友であったというヴァーレストの精霊に、アイちゃんたちへとお事付けを頼み、屋敷の裏手へと回るのだった。


それは単純に、使用人が出入りする扉は裏手にあるだろうと考えたからで……。



       (第19話につづく)









次回は、12月7日更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ