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救世ちゅっ! ~Break a Spell~  作者: 大野はやと
第一章:『救世ちゅ、降臨す』

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第15話、バレなら大丈夫だなんて、きっと間違いなく気のせいだから



SIDE:サーロ



なんて言い表せばいいのか。

後悔ってのは、ほんとに手遅れになってから悔やむ事を言うんだな。


って言うかさ、最初は出来心というか、ほんの軽い気持ちだったんだよ。

俺が気に食わない『些細な理由』を聞き出してさ、気をつけますってすぐにネタばらしをするつもりだったんだ。



ぶっちゃけ、こっちの事情を全く知らないだなんて予想もしてなかったからテンパっちゃったのかもしれない。

それ以前に、救世主さまって言われるくらいすごい娘なんだから、魔法具のチカラで変身しちゃってる俺の事なんて、すぐに気づくと言うか、バレると思ってたんだけど、全然そんなこともなくて。



イゼリちゃんには、一応姿を借りるかもしれないことを頼んでおいたからまだよかったけど。

あんな滅茶苦茶重そうな俺を避けていた理由を聞いてしまって、引っ込みがつかなくなってしまったのだ。


見た目の幼さから考えると大分聡い所のあるアイちゃんには。

それとなく事情と言うか、予めネタばらししていた事もあって、気づいてくれてるみたいなんだけど。


そのままネタバレできる空気でもなくて。

そのまま一緒に街を出て旅路についてしまって、戻るタイミングを失ってしまったのだ。

いきなりいなくなるわけにもいかないし、生憎分裂もできないわけでして……。



正直、どうしようもないまま現在。

一見少女三人パーティの俺達は、アイちゃんの故郷、『ブラシュ』……その途中まで行くと言う辻馬車を拾って商人の皆さん達と、行動を共にさせてもらっていた。


当初は護衛としてついていくつもりだったのだが。

見た目で遠慮されてしまい、結局お金を払っての荷物上等で楽をさせてもらっている。



ほんの出来心というか血迷っていたというか、最近手に入れたマジックアイテム、『変質のロッド』を使ってみたかった、なんて事もあって。

未だイゼリちゃんの姿を借りてしまっているが。


ただ馬車に乗ってるだけの移動は、正直ラッキーだったな、なんて思う。

このまま馬車で一泊、なんてことになれば。

色々と面倒と言うか、大変だろう事は数多くあるのだろうが、その辺りのことはとりあえず直面するまで考えないようにしていた。


人はそれを現実逃避と言うのだろうが、正直イゼリちゃんを演じているのに忙しくて、他の事を考えている余裕もなかったと言えるかもしれない。




「イゼリさんの故郷はどんな所なのですか? 何か美味しいものとか、名物があったら教えて欲しいんですけれど」

「あ、それはわたしも知りたいです」



ただいま、馬車内にて真向かいの狭い席にお互い顔を突き合わせて膝が当たりそうな距離で座っている状況です。

アイちゃんとラルちゃんは最早、初めから当たり前に一緒だったかのように寄り添っています。

本当は、お姉さんぶってアイちゃんを抱えるように座りたかったようなのですが、どう見ても同い年くらい小さいので、結局仲良く並んで座ることにしたようです。



そんな至近距離で、仮面越しながら随分と気さくな様子、興味津々で言葉をかけてくるラルちゃん。

わかっていてアイちゃんがそれに続くものだから、それこそ心中も変な緊張感と言うか、敬語になろうというもので。



「そうだねぇ。やっぱり特産って言えばゴインダの身を使った料理かな。ジュースにパイ、そのまま食べてもいいし、鶏肉にもあうんだ」


これでも、生まれてこの方根無し草の冒険者なのだ、今までの旅の経験を総動員しつつ。

イゼリちゃんの故郷、『フーデ』の話を絞り出す。


ちなみに、ゴインダの実は名前違えど、ラルちゃんやオレの本来の故郷にもあるものだ。

赤くて甘い蜜があって、酸味があって美味しいし、話題を逸らすようにしてそんな事を口にしていると。案の定ラルちゃんはくいついてくれた。



「ゴインダ……と言うのですね。ここに来て最初に口にした実は。とてもとても大きな樹が、異邦人である私に、めぐんでくれたんです」



見た目の小ささにそぐわない、敢えて低くしているような、だけど芝居がかったラルちゃんのセリフ。

とりあえず、仮面の向こうとともに、彼女の素を見たいな、なんて思いつつ言葉を返す。



「ゴインダを恵んでくれる大樹かぁ。ピクチァ山にある、【ピアドリーム】の根源樹かな」

「あ、わたしもその樹、知ってるよ。とってもやさしいおじいさんの樹なんだよね」



それが、この世界にやってきた彼女に対しての最初の餞だったのならば。

寝物語の範疇だが、意思疎通できる大樹と言うと、それくらいしか思いつかない。

かと思ったら、いかにも会って話した事があるかのようなアイちゃんのセリフ。



「やはりそう……でしたか。今度会ったらお礼したいですね」


うん。アイちゃんやラルちゃんならそう言った神聖なものと普通にやり取りして交流を深めそうだな。

なんていうか、いかにもなそのシーン、この目で拝見したいもんだ。



そんな事を考えつつ、仮面あっても絵になる二人を眺めていると。

そんな俺が気になったのか、単純に気遣いが出来る子なのか、再びラルちゃんが話をふってきて……。




      (第16話につづく)









次回は、12月1日更新予定です。


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