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ロマンチストの独占欲  作者: ray.
第一章
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過去




人を操る力を持つ人間"人操(じんそう)"。

国内で確認された数は、(わず)か7人。


発祥経路も、人操共通の特徴だってない。

けど、確かにその能力を持つ人間は存在していて

俺の幼なじみであり、俺の飼い主であり、俺の生きる理由でもある

相楽恭矢(さがらきょうや)もそのひとり。




恭「静、来て、今すぐ」



いつも気紛れで呼ばれる。


呼ばれて、恭ちゃんの部屋に入ると必ずと言っていい程

いきなり唇が重なってきて、段々それが深くなっていって、



静「‥‥っん、ふ‥‥///」


恭「えっろ、何感じてんだよ」



感じてる訳じゃない。


ただ恭ちゃんみたいに女慣れしているどころか

恭ちゃん以外の人とキスしたことのない俺にとっては

この日がくる度、受け止めるのにただただ必死で。



恭「‥‥あーなんか萎えるわ、その反応」


静「‥‥、え、?」


恭「昔みたいに嫌がれよ。レイプみたいで興奮したのに」


静「‥‥だ、って‥‥恭ちゃんに逆らえる訳、「ねーよな」


静「! 分かってるなら、なんで‥‥」


恭「お前つまんね、飽きた」



そんなこと言われたら、俺の生きてる意味って‥‥


絶望にも似たその言葉を言われた俺は

自分が生まれた時のことを思い出していた。




.

.

.


.


.






あれは7月の暑い日。

母は俺を自宅で出産した。


(しずか)そう名付けられたのは母が本当は女の子が欲しかったからで

俺が生まれて、母は毎日泣いて過ごしたらしい。



"女の子が良かった"


"男の子なんていらない"



父は言った、

"女の子でも男の子でもどっちも俺達の子供だろ"と。


今思えばすごい正論だし、良い父親だったんだなと思う。



けど、母は違った。

"女の子じゃなければいらない、静なんかいらない"と

父が仕事へ行った隙を見て俺を捨てた。

父も、母さえも知らない土地に。




それからは正直よく覚えてない。

まだ生後まもなかったし、

‥‥てか、ガキの頃の記憶なんて出来ればいらない。



いつ相楽家に拾われたのかも分からない。


物心ついた頃には、俺の中心は相楽家の一人息子である

"恭ちゃん"になってて、相楽家の旦那様は俺の実の父親じゃないと知って

それで、自分の可哀想な過去を旦那様に教えてもらって

動揺して、虚無感に駆られて、けど重いなんてないからすぐに忘れて


俺の生きる意味は"恭ちゃんに必要とされること"になった。




.

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