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ホワイトスネーク団の謎

子供向けアニメ映画というと、アンパンマン、ドラえもん、クレヨンしんちゃん、ポケットモンスターあたりが長寿作品である。


その中で今回話題にしたいのはクレヨンしんちゃんなのだが、その前にドラえもんについて少し語りたい。

長編作品において王道を貫くドラえもんの場合、藤子F先生のスタンスなのか非常に大規模な組織が出てきても基本的に大きく物語りで舵取りをする事は無い。


登場する巨大組織は大体主役側に近いが中立的立場におり、主人公の活躍によって何らかの影響を受けるといった程度だ。


一例を出すと銀河特急なんかがわかりやすい。

舞台の中心となるドリーマーズランドはあくまで「ただの遊園地」である。


元は鉱山で栄えていた資源豊富な星系だったが、掘り尽くされて荒廃した状況の中、星系全体をテーマパークにするという実にSFらしい設定によって地域振興を星系単位でやろうという国家レベル以上の公共事業を行って完成したソレはあくまで「舞台装置」でしかない。


海底鬼岩城においてもムー大陸の者達は一部主役に感化されたキャラクターしか参入せず、国家単位で主役に何かするという事はない。


短編集を見ても藤子先生は「国家が個人に特別に何かする事は無い」と考えているようで、逆に「個人の活動が国家に影響を与えることがある」というのは徹底的な「王道描写の1つ」として大長編と称される作品にて示されている。


そのため、ドラえもんにおいては大規模な組織は登場するがそれらと敵対するというのは本当に稀であり、数えるほどしかない。

一方で国家という存在は度々出てきて「異文化」という存在に少年たちが相対し、そしてどう結論に結びつくかといった描写がなされる事が多い。


明確に国家自体を助けようとした展開といえば「ブリキの迷宮」ぐらいだろうか?

アレの映画版は筆者にとってはトラウマである。

というか余談だが、アレは尺が足りてないらしくラストの締めが少々強引過ぎるね。


さて、ここまでに800字を使ってドラえもんを説明したが、なぜそれを事前に説明したかというとクレヨンしんちゃんと対比できるからである。


以下クレシンと呼称するが、これらの長編作品は基本的に「大規模な組織がめったに登場しない」というスタンスを貫く。


原作者がそういうイメージを強く持っているらしく、クレシンの映画というと「中小企業のような存在がなんかものすごい力を手に入れそうでそれを悪用しようとしている」というイメージが強い。


とにかく、大規模すぎる国家的な組織が出てこない。

ドラえもんとはある意味で相対するのだが、これがまた背伸びをしていない描写でシックリくる。


なんというか、世界を救ったという感じがあまりしないのだ。

例えば1作目のハイグレ魔王は名前こそ魔王だが裏設定は「とりあえず文明レベルの低い地域を侵略してみようと考えていただけの宇宙人の小規模集団」よって、中小企業レベルというイメージからは乖離しない。


3作目は「ヒストリートレンドクリエーター&文化人」と呼称し、名刺には「世界四次元アートディレクター協会会員」と記載されている。


「会長」ですらないただの勘違い未来人でしかない。(ちなみに幹部は又旅猫ノマタタビネコノシン以外は未来人とただのアンドロイドであり、実質2名の組織)


4作目のオカマ魔女は「異世界全部支配したらつまらなくなったので地球の次元に着てみました」という能力は最強クラスだが、実際には2名しかいない。


「地球にヘンダーランドごと転移し、その状態を維持しようとしたことで致命的な弱点が生まれた」というサイアーク並の笑える設定があるが、劇中登場する者は転移前の世界の住民を魔法で変貌させたものか、魔法によって生み出した存在のみ。


それ以降も、ものすごいコンピューターウィルスにもなるAIプログラムだの、よくわからない老舗メーカーのおばちゃんとそれが集めたラスボス以外大したことない集団だの、そんなのばかりである。


新しい方の作品を見ても「大企業」と自称する組織は出てきたが敵は父親と独身女連中だけみたいな扱いだった。


そんな中で唯一というか非常に違和感を感じるのが第2作目の敵集団「ホワイトスネーク団」だ。

恐らく、組織規模だけでいえば現実世界最強クラスだったと思われる。


何しろ彼らの設定はおかしい。

太平洋の真ん中にある小島の小規模国家とはいえ、そこを「武力」でもって内戦状態にし、王子を誘拐した上、巨大な潜水艦やその他すさまじいまでに武装を取り揃えている。

(見た目が全身白タイツの癖に誘拐時の武装が本格的すぎる上、王宮の護衛部隊を退けている)



おまけにコイツらが何が凄いかって「日本に正攻法を用いて入国してきた」事。

入国する描写がちゃんとある。


信じられないだろうが、不法入国描写が1つか2つあったことを除けば、「日本に正規で入国して幼児誘拐しようとした」なんて事が出来た存在はこいつらだけだ。(正確に言うと日本での誘拐は避けたというのがまた深読みできて面白い)

謎の組織とはいうけども、クレシン史上最も凶悪な組織であるといえる。


「元々日本人の集団だった」という連中が度々妹を誘拐することがあるのだが、「外国人」と明確に設定されていたのは彼らだけ。


彼らは劇中、野原一家を架空の福引に当選させ、その上で海外旅行と称して旅客機に乗せる。

(しかもチャーター機ですらない)


その上でスタッフの配慮が細かいなと思うのは、劇中登場するアテンダントが「日本語が喋れること」

まさに「全てにおいて算段を取り揃えた状態」というのが一目でわかる。

(まぁ幹部以外も「福引」とかで日本語で客寄せやってたわけだけど、ここまで手が込んでいる組織も珍しい。)


つまり野原一家は出国手続きをきちんと済ませているわけだし、成田に向かっているので成田が平然と受け入れるようなぐらいまで根回しが済んでいたわけである。


20作以上ある中でこんな描写が1つもなく、とにかく違和感を感じるが、最終的に黒幕というかラスボスとして登場するアナコンダ伯爵は「舞台となるブリブリ王国にて爵位を得ている上、石油関係で大規模に出資して大成功した上で、この世に魔法のような存在があり、それが自国に眠っていることを知ったためにこんな大規模な組織まで作って日本の埼玉の五歳児を誘拐したという」、これまた特異な出自を持つ。


設定資料集を見ると表の顔はあくまで伯爵であり、市民から慕われる人物であったというが、その裏では暗殺その他どんな手段も講じて資産を得てきたという男で、その上であんな武力を保持してるわけだからたまったものではない。


この映画こそ「SML」が必要になる案件だとは思うのだが、冷静に考えて「日本国に怪しい人間を平然と出入りさせられる」ような人物なので「SMLですら気づかなかったかな?」と思うぐらいの「なんで2作目で終わってしまったんだ!」ってぐらい惜しい敵の親玉である。


石油関連だというから、仮面ライダーのゴルゴム程ではないにしろ日本ではそれなりの人脈がありそうだなとは思う。


しかしこのアナコンダ伯爵、あれだけ大量に部下を持ちながら大失態を犯している。

それは土壇場の秘宝のある場所に少数で乗り込んだことだ。


彼が負けた原因はほぼここに起因しており、舐めプもいいところである。

実はこれはちゃんとした設定があって「部下は金で雇った人間なので信用していなかったために秘宝のある遺跡には幹部3名と少数の部下のみ連れて行った」ということだが、


おかげで途中で幹部以外の部下は死亡ないし行方不明に。

幹部3名には当然のように裏切られるという状況から実質的に孤立無援の状態となってしまう。


それでも願いを叶える事には成功したが、強引な方法すぎてやはり失敗。

せっかく「クレシン内でNo.1の財力と権力と武力を持つ悪役」という美味しすぎるポジションを劇場版の2作目だけで消失させてしまった。


以降登場する者たちはギャグ要因が大半で、極稀にガチな悪役が出ても結局小規模な組織ないしは本人が優秀なだけなのを考えると、本人はあくまで権力者と経営者としての立場でのみ才能を発揮し、それ以外は何1つ特色が無いアナコンダ伯爵は本当に惜しいキャラだったと思う。


しかしなんでこんなに2作目だけやたらと壮大な話になったのだろうか。

海外で展開する話というのは無くは無いのだが、敵の組織規模も、敵がやってる事も、何もかもがクレシンらしくないのが2作目だ。


そういうとアッパレ戦国も相当規模が大きかったという人もいるが、アナコンダ伯爵はガチで中東の小規模な国家なら制圧できうる武力をもっているという設定なのを考えると、どう考えても「秘宝にさえ拘らなかったらクレシンらしくない恐ろしい事をやれそうな力をもった人物」なのである。


今後劇場版でどのような悪役が出るかはさておき、恐らくこれまでのスタイルを貫く場合は「中小企業的」な組織が悪役になるパターンは続くと思われるので、2作目だけは輝くを放つのだろう。


最期に余談なのだが、ガールズ&パンツァーなどの監督として有名な水島監督はクレヨンしんちゃんの映画で始めてアニメの製作に直接関わったといわれている。


しかし、手元の資料で見ると「3作目のラストの一連の両者の攻撃やオタスケ機能の演出」を考案した人物であり、それが一番最初の仕事だったといわれている。


本人に聞いたことは無いが、1990年代のアニメ関係の雑誌に名指しされた上で「面白い人材がいる」と紹介されているが、それが「3作目」なのだが……


エンディングテロップでは「2作目」から確認できるのですが。

なのでちょっとどのあたりを考案したのか予想してみた。


魔人の設定は原作者が考えたので、一連の演出は違う。

ホワイトスネーク団の制服も原作と同じである。

この頃はまだ原作者が割と映画自体の製作に関わっていた。


では逆に水島監督がよくやる演出というと何かというと「突然登場する正面カットによるダンス」「あまりにもギャグすぎる唐突なシーン」の2つ。


2作目にそんなシーンは……


あったわ。


魔人を呼び出す唐突な謎ダンスは彼が考えたモノの可能性がある。

特段これについて言及する資料が手元に無い。


後は、壁が迫ってきてポーズを取らされるトラップとか、それともう1つ、ラストで唐突に登場する「ルルというブリブリ王国側のヒロインが繰り出すというか着ぐるみのようなアヒルボート」あたりが怪しいかな。


確か4作目のダンスシーンなどを演出補助したというから、2作目のあの謎すぎる召喚の儀式がそうだといわれても違和感がない。


気になった方は本編とエンディングテロップを見ていただきたい。

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