表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/27

結果的に格闘技になったガンダムの原案は間違っていたか?

コンテンツ事業における世代交代の重要性はもっと認知されるべきだ。

世代交代に成功したコンテンツの代表例として最近最も有名なのがドラゴンボールである。


そもそも、ドラゴンボールが復活した理由は実写版の後に鳥山先生が「いやドラゴンボールってこういうものだから」と、毎年のように企画を持ってきていた東映と組んで新しく1作作ったのが始まり。


その時、あまりの子供の多さに驚きモチベーションが一気に回復して超というシリーズが開始されるきっかけとなった。


その時の鳥山先生の境遇や心情をそのまま描いたのが「武天老師」だったりする。

神と神の後の復活のフリーザにて武天老師はかなり戦闘力が高いような描写となっているが、

VジャンプやDVDのコメント、そしてDB超での悟空の台詞や彼の描写がある通り、


「武道に限界などない」という事を再び思い出して密かに厳しい修行をしたため、全盛期よりさらに強くなっているという隠れ設定がある。(超ではさらに性欲も克服し、しかもその性欲が無駄な気の発散に繋がっていたので気が発散されなくなってさらに強くなったとかもうお前なんでピッコロ大魔王倒せなかったんだよって言いたくなるレベルの強化)


まぁこの隠れ設定自体は割と有名な方なので隠れていないが、どちらかといえば隠れ設定的なのは「今のシリーズの17号がセルより強い」とかいう設定ぐらいか。


これはドラゴンボールGTのスーパー17号の時に設定された時の名残であり、「本来は戦闘力がセルより高く、さらに戦闘力が成長するよう作られていたが、力を使いこなせなかった」というものが「今では使いこなせるようになった」ということで、ヘタすると初期のブウより強い可能性もある。


あの世で神tubeを見ていたらドクターゲロは大喜びだったかもしれない。


そんなドラゴンボールは今回話題にするバンダイを中心として今では「ジャンプ系作品にて遊戯王すら超える各種売り上げ」を誇る化け物作品。


しかも、「0~10代の比率が極めて高い」という、20年も塩漬けだったのに世代交代に成功した化け物だ。


毎年、バンダイを含めたホビー関係の売り上げはワンピースの2倍強と、不動の国民的人気作品といって過言ではなく、今回話題にしたい作品に対してバンダイが「ガンダムでもこうやりたいな」と密かに様々な場所で吐露していたりする。


さて、話をガンダムに戻そう。


まず1つ重要なこととして、「そもそもガンダムはバンダイに3回救われている」ということはあまり知られていない方だ。


1回目はプラモデルの展開と劇場版の展開でガンプラブームをつくり、第一次ムーブメントを作ったこと。

実はこの劇場版として平行した再放送にてガンダムは火がついたので、実際にはホビーメーカーあってのガンダムなのだ。


また余談だが、1stガンダムファンといっても、TVからのファンと劇場版のファンがいて、1980年代前半頃はこの両者のハードなマニア達がぶつかり合う姿があった。

今では混同されるが、劇場版とTV版では年齢層が異なるし、そもそも劇場版とTV版では内容に差異もある。


そんなガンダムだが、ZZ~逆襲のシャアあたりで一旦ブームは落ち着いてしまう。

F91がTVアニメ化できなかったりしたのもそれらが原因である。


よく巷では「Vが悪い」といわれるが、正直な話Vが悪いのではなくZZ以降、コンテンツ関係はどれも一旦暗黒期に入っている。


仮面ライダーもブラックRXで一旦休眠したように、1980年代後半からウルトラマンなどを含め、様々な名シリーズがマンネリなどを理由として一気に萎んでシリーズ休止などが相次いだのだ。


実はその間に影で生まれた作品群は殆ど話題にならないが、平成仮面ライダーシリーズにはブラックRX以外に真、ZO、Jの3名がいて、これらのうち少なくともZOとJは普通に名作。


真は大人向けすぎて、アメコミヒーロー映画を大人向けに作る今の時代なら受け入れられたであろうが、この時代だと「いい大人が仮面ライダー見るのかよ?」と思われていたようで、確かに良作以上ではあるがこの時代の状況を見ると「序章で終わって当然」といえるような内容である。


平成ライダーと昭和ライダー大集合でも上記3名は殆ど出ることが無いのを嘆き続けていたのは筆者だけではないが少数派である。


特にZOとJはOVA的な作品でもネタ扱いされ、「ブラックRXは襲撃すると不思議なことが起こって4人に増えたりするので、ZOとJなら大丈夫、倒せる」とかあろうことかシャドウムーンに言われて怪人をけしかけられた事がある。(冗談抜きでRXより弱いと言われた)


酷い扱いは20年以上先まで続くが、最近になってようやく出てくるようになって存在が肯定されてきたレベルのレアキャラなのが悲しい。


そんなこの暗黒期の隙を狙ってゴジラなどが一旦復活するわけだが、それらのスポンサーを担うおもちゃメーカーではこの状況打破に四苦八苦し、とにかくこの時期の苦労エピソードは多い。


後にバンダイ含めたホビーメーカーは「アニメや特撮ありきの展開はやめよう」と1990年代にやや方針転換するが、一方で「ホビーあってこその作品展開」という方向性を打ち出す。


これが2度目のガンダムの救出である。


2度目の復活は、「ホビーあってこその作品展開」を目指したバンダイがそれまでそこそこ人気があり、何気にTVアニメシリーズもあった「SDガンダムシリーズ」をプラモデルなどを中心に展開し、ブームにまで昇華させたことである。


全盛期のボンボンが「4作品」ぐらいSDガンダム関連の漫画を出してたぐらいにそれなりのブームだった。


世間ではミニ四駆とSDガンダムは双璧と言える位だが、ガンダムファンはSDガンダムを認めたがらないせいでどうも影に隠れがちで、正直言って「これが成功しなかったらSEEDまでにガンダムは死んでいた」とバンダイが言い切るぐらいガンダムという存在を牽引したものだ。


特にバンダイがSDガンダムシリーズを誇るのは「1stガンダム世代とは別の新しい世代を大量に生むキッカケとなった」ことにある。


とっつきやすく、かつある程度自由に展開できるので王道を重視したシリーズ展開をカードやプラモデルなどで展開した結果、多くの子供の心を惹きつけた。


そこでバンダイはVガンダムが終わった後に「宇宙世紀はもう駄目だ。Vガンダムは世代交代に失敗したので、次に出す作品はSDガンダムとは別に新たな世代を獲得できるガンダムにしよう」と考えるようになったのだ。


途中で富野監督が降板したアレである。


そんな新作ガンダムだが、ここ最近、様々な方向から当時の原案が判明するようになってきている。

元々富野監督は「ヒーローアニメにされそうだった」と主張していたが、どうやら実際に生まれた存在はかなりの面で原案を拾っていたことがわかってくる。


まずここで言いたいのは「格闘ゲーム的要素」=「格闘技」ではない。

「いっそプロレスにすっか」と提案したのは富野監督であり、それを受けて今川監督が考えたのがアレだ。


その「プロレス」という存在になる1つ前の段階にバンダイが提案したものが下記のもの。


バンダイが目指したVの後の新展開の原案は

1.ガンダム=ヒーローが乗る乗り物、東映版スパイダーマンみたいな何か(つまり当初から中の人も戦えるということが考えられていた)

2.ヒーローは仮面ライダーとかそういう感じ必殺技で戦う何か(格闘ゲームを意識している)

3.世界各地にヒーローがいるが、黒幕によってヒーローがみんな悪に落ちた

4.黒幕が持つガンダムはヒーローを何らかの能力でのっとり、ガンダムも侵食する

5.生き残ったヒーローは5人、その中のリーダー格が日本人で主要な先進国で生き残ったヒーローを集め、5人で戦う

6.主人公側のガンダムが5体合体する

7.物語の展開は王道


ちなみに上記のイメージにあるガンダムのスーパー戦隊化ともいうべきものはガンダムZZの頃から試みられていた。

結果的にZZでは失敗したものの、Vガンダムで再び挑戦、これも失敗。

そのため、今回の新展開においてはさらにスーパー戦隊的要素を突き詰めようとしたのだ。


後に展開されたGガンダムと比較すると

1.ヒーローではなくファイターだが、実際にはヒーロー的面も描かれた

2.仮面ライダーではないが、それっぽい設定のキャラ自体はいなくもない……

  必殺技は各キャラクターに1つは最低限用意されている

3.みんな悪に落ちたわけではないが、劇中主役含めて敵側に寝返る描写がある

4.ガンダムが侵食される描写もあり、それによって形が変わったとされる機体もある

5.5人だけ生き残ったわけではないが、5人全員共に所属は先進国で、他にもドイツやイギリスなども登場した

6.敵側が5体合体した

7.今川監督はギャグか熱血王道物しか出来ないので路線変更は不可能


結果的に、格闘技といわれつつも、上記のバンダイ初期提案の設定部分は劇中多いに活用されたわけである。


このGガンダムは商業的には大成功し、勇者シリーズの背後でGガンダムのホビーはプラモデル以外も展開していたがクリスマス商戦で売り切れが相次ぐような状態となっていた。

(また、この5人組という試みは後のガンダムに大きく影響を与えるようになってしまった)


当時まだガキんちょの筆者は「DXゴッドガンダムが欲しい!」と願ったのにサンタクロースは何を血迷ったか、「トリコロールだしガンダムだから」と「DX ガンダムZZ」と「DX Zガンダム」の2つをこさえてきた。


そんなのが届けられた筆者は大きく落ち込んだ。

一方で「自分の知らないガンダムがいる」とガンダム沼にハマる原因になった忌わしき2機の主人公機であった。


いや、実は最終話にZは出ていたけどZZは出ていないから!

宇宙世紀系は1stとZとGP03とF91とV2だけだから!

ZZは羽の生えたガンダムの影響なのかスパロボよろしく除外されたから!


あの頃は今の時代みたいに映像で見せることが出来ず、またネットで簡単に調べられないので「DX」「ガンダム」という文言だけでその時点でも10年以上古いシリーズを送り届けられたのだった。


それぐらいこの手の商品がバカ売れして手に入らないぐらい子供に人気があったのである。

バンダイはこの成功を噛み締めたが、Gガンダム自体は当時の子供から受け入れられても既存のファンからは大顰蹙を買い、両者を両立させて惹きつけるような作品を模索する。


しかし結果的に女子も取り込もうとしたガンダムWはダグオンと同じく大爆発し、その煽りをモロに受けたXは打ち切りとなる。


この結果再びガンダムシリーズ継続のために検討した結果、バンダイが到達した結論は。


「あ、Gガンダムの世代ってそろそろ本家ガンダムが好きになるんじゃないかな? リメイクしてみたらどうだろうか」という話だった。


世代の成長が次のムーブメントを掘り起こすことをバンダイはよく知っていた。

ヨーヨーが20年に1度ぐらいのペースでブームになるのも「かつて親がハマり、親が子供に買い与えやすい環境だから」ということだが、世代が成長したのに合わせて商品展開するとソレも売れることを知っている。


だからこそ、このあたりの世代に焦点を絞り、1stガンダムのリメイク的な何かを作ろうとして生まれたSEEDは賛否両論ながら再びヒットした。


しかもSEEDは良い意味の誤算でGガンダム世代以外にも引っかかって商業的な売り上げがすさまじく、今でも「関連商品を出したら売れる」ような存在だ。

(だから後述する作品が生まれたわけだが)


これが3度目の救出である。

正直言って、SEEDが失敗したらガンダムはやめようと本気で考えられた頃である。

何しろこの頃のバンダイは仮面ライダーなどによって「大人も子供も囲い込み、売れるおもちゃが生まれる作品」を抱えており、別段「ガンダム」がこの立場になれなくても困らなかった。


だがバンダイとしてはどうしても捨てられない存在であったので新しく展開しようと考えたわけだ。

結果的に3度の復活によってやってきたバンダイだが、やはりまたここにきて減速しつつあることに頭を抱えているようだ。


売り上げだけを見ればガンダムは十分に市場を展開している。

だが、年齢層を見るとみんな30代以上になりつつあり、10代の子供世代に響く作品が無い。


実は今回最期に締めくくる話はそんな中で生まれた作品の話である。

近年の角川系ガンダムの台頭などにより、影が薄くなっていたバンダイ。

一時期かなり揉めたりして、ガンダムエースに出てきたGP01がマスク姿になったりしたわけだが、(実は版権問題で揉めたせいでGP01が出せなくなりそうになってあんな状態に)


とりあえず「バンダイとして一押しの作品を1つこさえてTVで出そう」ということで社内でまとまってたりする。


そのため、後述する作品が出る前の段階で「バンダイらしいガンダムをTVアニメ化します」とは主張していた。


そんなバンダイにある集団がガンダムの新作の企画を持ち込む。

それは「とにかく主人公機含めてガンダムが木っ端微塵に破壊されるようなモノを作りたい」と言わんばかりのもので、「どう見ても主人公が死ななきゃおかしいだろ」なんてレベルに毎回破壊されるような展開を描こうとしていた。


その企画を見たバンダイの偉い人はこう考えた。

「ならいっそプラモデルにしてしまえ。それなら自由に出したい機体を出しても全てはガンプラの一言で片付く」と言って若干の路線変更をさせてGOサインを出した。


それこそが「ガンダムビルドファイターズ」である。


このガンプラ系シリーズ自体はそれよりも前の段階で展開していたが、TVアニメとして新たに企画されたコイツは元々ガンダムの割と普通なTVシリーズを目指して考えられていて、


企画したスタッフは「最近のガンダムは全然壊れないから駄目だ。もっと壊してそれを修理しつつ強化するような作品に!」とガンダム愛を生かしたモノを作ろうとしていた。


そこで「ならガンプラにしろ」となったわけであるが、この試みは見事に成功。

あんまり知られていないがコレは世界的に配信されたがそこらのワケノワカラナイ鉄血とかいう謎の作品より人気である。


特に欧州ではWやSEEDが初めて放映された国々もあり、そちらでは主要キャラの機体がそれらの主人公機をベースとしていたことでそこそこの人気となった。


その後のシリーズはあまりにも急造すぎた企画のせいでずっこけたが、少なくともこのシリーズは低年齢の新たなガンダムファンの獲得に繋がったとバンダイが主張しており、プラモデルの売れ行きも他シリーズと比較すると10代以下が非常に多く、バンダイがやろうと試みているのは一定の評価が出来る。


特にビルドファイターズシリーズについてはSDガンダムからの世代を取り込もうとしたという話なので、やっぱり「バンダイにとって新規層獲得のための基点はSDなのか」と思わざるを得ない。


SDシリーズの作品が出る間隔は間違いなくそれを意識しているとは言える。


今回はやや筆者の関係する版権関係の話がまざってしまったが、Gガンダムの原案、今見ても間違ってなかったと思うなあ。


ヘタにテロリスト賛美とか気持ち悪いことせずにもう一度この路線でやったら案外上手く行くんじゃないかな?


最期に余談だが、Gガンダムの裏でネタが被ってホビーごとアニメも大爆発した作品がある。

レッドバロンである。

レッドバロンは鉄人28号FXの流れから「この路線は売れる」と企画されていたものだが、ガンダムが路線変更したことでバッティング、しかも笑えないことに同じ時間帯に放送という悲しき状況により全てをガンダムに奪われてしまった。


内容としては普通に良作だが、展開的にはオイルが沸騰しそうなほどに熱い王道である。

また、このレッドバロンには隠れエピソードがあり、レッドバロンの主人公の声優は当時Gガンダムの主人公の声優と若干のライバル関係のようなものがあり「悪いけど主人公声優の座は譲らないから!」と張り合っていたが、この失速以降、主人公キャラが少なくなり、スパロボの作品の収録の差異に「悪いけど今日の主人公は俺だから!」と言い返したことがあるという。


確か10年前ぐらいのGガンダム側の主人公のラジオで本人同士が暴露してた。


まぁ片方は両方の作品で主役キャラをやっているわけですが、レッドバロンが悪いんじゃなくGが名作過ぎただけだと言っておく。


レッドバロンも今見ても悪くないけどね。

スパロボで共闘すると思ってたのに何時までたっても出やしない。


それともう1つ余談だが、ガンダムにはSEEDの2作目と00の間にもう1つ幻の作品があった。

以前より版権関係の業界の人なら知ってたが、ここ最近になってようやく各企業が認め始めたが、その間に一体何があったのかについてはまだ詳しく語られていない。


この空白の3年間の間に生まれる予定だったもの、筆者は「コードギアス」だと聞いているけどね。

まーアレはガンダムには出来んでしょう。


谷口監督自体はガンダムの30周年記念イベントの記念色紙にて「ガンダム絶対殺す」的なこと書いていて「何だコイツ」と思ったが、憎くなった原因はガンダムじゃなくなったから?なんて邪推している。


当時富野監督が「若すぎるクリエイターにガンダムは任せられないと言った」という話もあるが、この空白の3年の間の中に入る予定のガンダムは「若手クリエイターが作る予定だった」というのもここ最近暴露された。


せめてデザイン画とか出てこないものだろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ