ホワイトベース?ああ、建造されて1年で落ちたっていう戦艦でもないよくわからない何かだろ?
ガンダム世界においては主人公の所属する部隊の戦艦以外、殆ど活躍シーンがない。
いや、無いことはないがやられ役だ。
そんな中で本来はやられ役のはずが、「武勲艦」として唯一無二の裏設定を持つ汎用型戦艦が1隻存在する。
「サラミス改級戦艦」である。
まずサラミスについて少し説明したい。
本編ではほぼやられ役で一貫しており、対した活躍はない。
ただし、ア・バオアクー攻防戦やソロモン攻略戦などでは弾幕を展開してジオンを苦しめている。
こういった細かい演出では他の追随を許さない圧倒的演出力を持つのが富野監督で、
例えばF91の戦闘シーンを見てみると、連邦軍の戦艦の射撃したビームの弾幕を掻い潜りながらヘビーガンとデナン・ゾンが戦うようなシーンがある。
こういった一連のシーンは「量産機で戦うエース同士もいるんですよ」という富野監督のメッセージであり、「リアルロボット」というガンダムのイメージを引き立てるものだ。
新訳Zガンダムのハイザックの神回避など、年を経てもそういった描写が衰えないのが素晴らしいものである。
一方、1年戦争においても劇場版ではジムがものすごい回避行動しながらザクを撃破するシーンがあって、その逆にザクがジムを簡単に叩き落すシーンがあるなど、それぞれの無名パイロットにもきちんと配慮した演出がなされている。
だからこそ一連の富野作品は名作であり、リアルロボットたりえるわけだ。
そんな中でたった1隻輝く汎用型の戦艦はVガンダムに出てくる。
ムバラク・スターン率いる当時の連邦軍史上最強の艦隊である「ジャンヌ・ダルク艦隊」所属の、劇中では唯一「建造当時からの色をまとったサラミス改」である。
いや、言い直した方がいいか。
「当時の連邦軍最強の艦隊直属で唯一のサラミス改」である。(リガ・ミリティアに合流した部隊は第一艦隊ではないので、唯一である)
実はコイツ、「武勲艦」だったりする。
武勲艦だからこそジャンヌ・ダルク艦隊に所属している。
劇中ではムバラク・スターンの登場以降、ポツポツと登場し、最終決戦でも見事生き残っている猛者である。
というか、劇中沈んだサラミス改は1隻しか存在しないので、逆を言えば「この時代のサラミス改は恐らく歴戦の戦いを切り抜けた猛者だらけ」と考えることもできる。
その中でも特にコイツは装備が充実している。
他のサラミス改と比較した場合、ビームシールドなどを装備している所が一番の特徴だが、ビームシールドを装備したサラミス改はコイツだけなのだ。
しかしとても残念なことに「艦名が設定されていない」という「無名のサラミス改」なのであった。
そんなサラミス改だが、実はちゃんとどういう歴史を歩んできたかということが裏設定で存在する。
この無名のサラミス改が産声をあげたのは0079。
ルウム戦役の頃である。
ルウム戦役自体には参加しておらず、ルウム戦記前後で連邦軍が新造艦を建造した際に生まれた模様である。
生まれたと同時に時代遅れの産物になり、本来は他と同じくやられ役になる予定だった。
しかしこのサラミスは1年戦争中にMSを搭載可能なようにした小規模の改良を受け、1年戦争を生き残るのだ。
MSを搭載可能になるまではほとんどがザクに轢き殺される状況だった中、コイツは見事に生き残り、情勢が変わるとジムかボールなどを引き連れて前線にでていったと思われる。
イグルーや1stガンダムの1シーンで宇宙に上がっていくサラミスの中に間違いなくコイツがいる。
恐らくこの後、ソロモンとア・バオアクー攻略には参加しているだろう。
武勲艦と呼ばれるわけだしね。
そこで見事生き残った。
続く0083。
なんとコイツはあの観艦式に参加している。
当時の連邦軍の艦隊は8割が沈んだといわれる中で、コイツは生き残ったわけだ。
もしかしたらガトーを迎撃しようとしたMSを発進させたりした可能性がある。
少なくとも、この観艦式の時点で「武勲艦」という状態になっていたという裏設定がある。
一体どんな部隊所属でどういう奴らが艦隊を率いていたのだろう。
少なくともこのサラミスを支えたMS部隊もかなりのやり手だったはずだ。
どこまで行ってもサラミスはサラミス。
そこまでものすごい性能を秘めているわけではない。
よってマンパワーによって奮闘した姿が想像できるが、すでに運の良さがカンスト状態になっているのだろう。
その後続く0087、グリプス戦役。
コイツは地球連邦軍本部所属として活躍。
どこで活躍したかは不明。
ただ、コイツは運がよかった。
ティターンズに接収されなかったのだ。
されてたら悲惨な運命を辿っていたことだろう。
同時期にこのサラミスは数少ない「近代改修措置」を受け、「サラミス改級」となる。
サラミス改にはグリプス戦役で新造されたものと、改修されたものがあるが、0083の星の屑作戦成功によって殆どが消滅したため殆ど事例がない。
だが、ムック本などでは大昔から「小規模が近代改修された」とあり、コイツも例外ではないようだ。
もしかしたら連邦軍ではゴップなんかが重用してたりするんではないかなと考えるとワクワクする。
ジョニーライデンの帰還あたりで出してほしいものだ。
だが、実はその後の去就が不明なのだ。
武勲艦ではあるが、どうも「第一次ネオジオン戦争」と「第二次ネオジオン戦争」には参加していない。
理由としては前者はエゥーゴの戦争であり、彼ないし彼女は連邦軍本隊所属であるので参戦はしていない。
第二次ネオジオン戦争は主にロンドベルが戦い、地球連邦軍の本隊は地球圏周辺でしか活動できていない。
精々何かあったとしてもアクシズが落ちる直前で出てきたジム3を出撃させた可能性があるかもしれない程度。
その後のラプラス関係の抗争でも登場せず、不思議なことにゼネラルレビルの艦隊にも所属していない。(ただ、一応言うと劇中登場したゼネラルレビルはなぜか単独の状態になっていたので、何らかの理由によって引き離された可能性はある)
もしくは武勲艦とはいえ、この頃は不遇の時代だったか、逆に「あまりの名誉に簡単に落とさせるわけにはいかず、生半可な艦隊には所属させられなかった」と考えるのが妥当かもしれない。
どこかで活躍していればいいのだが。
その後のコスモ・バビロニア建国戦争でも登場機会がなく、このあたりで何をやっているかは不明だ。
ただ、このあたりの戦争は「地球圏外」というイメージであり、地球圏内でしか活動しなくなったらしいのでこの最強のサラミス改が出なくても不思議ではない。
ちなみにサラミス改にビームシールドが装備させたのはこのコスモ・バビロニア建国戦争の後あたりである。
問題はいつの時点でサラミス改にミノフスキークラフトが搭載されたかだが、時期的にはF91よりもっと前あの段階でと思われる。
連邦軍はこの頃から新造艦を作るのをやめてしまうので普通に継続的運用がなされ、サラミス改はMSが小型化したことでMS運用能力が上昇、このような魔改造を受けてまともに戦えるようになった連中がいるわけだ。
そんなサラミス改が0087以来、実に四半世紀を経て再び活躍するのがVガンダムであった。
リガ・ミリティアと地球連邦との政治交渉により、見事戦場に復帰する。
ちなみにコイツは前述するとおり、ビームシールドによって大気圏突入能力と離脱能力が付与されており、すでに性能だけでいえばアルビオンなんて目じゃない。
劇中では大気圏突入をふつうに成功させてたりする。(ちゃんとそういうカットがある)
突入なんて簡単にさせられないアーガマとかネェルアーガマとかと比較すると圧倒的である。
すでに万能戦艦である。
それだけではなく戦艦の主砲も強化されているらしく、劇中何度かサラミス改がベスパのMSを落とす姿があるが、普通にビームシールドを貫通している。(ビームも緑色になっている)
1年戦争の頃のビームなんて大したことがないとされる時代なので、主機関も大幅に強化されているに違いない。
この頃、コイツは地球圏にて史上最強とされるジャンヌ・ダルク艦隊に所属。
ちなみにこのジャンヌ・ダルク艦隊の旗艦はこれまた古いタイプラー・カイラム級だったりするが、色が同じなのでそもそも私は「なんでラー・カイラムそのものにしなかったのかな?」と未だに思ってたりする。
まあ劇中轟沈してしまったのでアレなのだが。
ちなみに旗艦は轟沈したが、ラスト付近を見るとコイツが普通に生きているので、この一連のザンスカール戦争すら生き残ったわけだ。
少なくてもコイツは1年戦争、0083の星の屑、0087のグリプス戦役を生き残り、ザンスカール戦争終盤を見事生き残った。
運のよさは99ないし999ないし9999といったカンスト数値を軽く超えているだろう。
そんなサラミス改だが、面白い裏設定もある。
「Vガンダムの時代に至り、史上初めてガンダムタイプを搭載した」
地球連邦軍にガンダムはいなかったが、リガ・ミリティアとの混成部隊となった際にVガンダムを搭載したため、実に半世紀以上経過してようやく搭載できた。
まあサイズ的に0087以降は搭載できないからね。
仕方ないね。
F91の頃になってようやく時代が回ってきたわけだから。
ボールかジムぐらいしか搭載できなかったサラミス改は1年戦争を経て、最終的にガンダムタイプを乗せる。
そういう意味ではこれほどスピンオフに向いた戦艦もいないだろう。
どうせならコイツをもっと外伝的作品で出してあげればよかったのに。
……ここまで書いたけどマゼランって本当になんだったのだろう。
ジージェネなどのシミュレーションゲーム系では最初の戦力としては非常に強力なのですが…
それと同時に、サラミスが許されるならムサイがいてもいいんじゃないの!?




