表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/27

悪は絶対に許さないという奴は正義の味方じゃない。

1980年代後半から1990年代にかけて、自身を「正義の味方」と名乗る者は多くいた。

数え切れないぐらい多くのヒーローがそう名乗っていた。


本物の正義の味方がどういうスタンスでそう名乗っていたかなんて子供に伝わらないぐらい横暴なことをやっていた。

後に「正義の味方」についてクレームが入るようになったのか、次第にこの言葉は使われなくなる。


筆者がこの言葉を知ったときは本当に衝撃を受けたものだ。

これほど深い理由があって始めて名乗れる肩書きを、あんなわけのわからない信念ではなく逆恨みに近いような感情で戦っていたヒーローが名乗っていたなんて……


正義の味方。

それは至上初めて日本に生まれた特撮ヒーローが名乗った肩書きだ。

そのヒーローの名を「月光仮面」という。


私が月光仮面という男の本質を知ったのは、月光仮面の制作関係者が「今の時代のヒーローに正義の味方など名乗らせるな!」と激昂していたのを雑誌で目撃した時だ。


10代もすぎて中学時代の頃だったので何の雑誌だったか覚えていないが、その制作関係者は現在のヒーローのスタンスが「正義の味方ではない」ことに怒り心頭だった。


そもそも正義の味方とは何なのか、その時点では知らなかったのでそこで初めて知ったのだ。


正義の味方とは、東洋的な仏教や儒教的な思想の下、「太陽を絶対正義(人は太陽によって生かされているから)」とし、自身は「太陽に照らされた月からさらに地上に照らされた光に照らされた本来は暗闇に潜むような存在」であることを一言で表した言葉である。


月光仮面は、太陽でもなければ太陽光に照らされた明るい存在なわけでもない。

太陽光が反射し、月が照らされ、その月が地球に光を降り注いだその光の中に潜み、太陽という正義の象徴に味方しようとする者なのだ。


そのため、「憎むな、殺すな、赦しましょう」の信念を持ち、不殺をかかげて戦う男である。

全ての者は「落ちるべくして悪に落ちたが、それには理由がある」と考えており、アニメ版などを見てもらえばわかるが敵は悲壮な過去を持っている者が多く、全くもって救われない。


そういう者を中心に「最期の防波堤」として活動する者が月光仮面であり、ある意味で彼は「最後の救い」とみることもできる。

基本的に彼が相手にするのはそういう者達だ。


しかもただの不殺ではない。

彼はそもそも自分自身の存在に否定的だ。


「人が手を結び合って、もしくは助け合うことが出来れば、今目の前にいる悪道に堕ちた者は存在しなかったはずである」「正しい世の中ならば自分自身は存在してはいけないのだ」という考えが基本理念として存在し、


それでも「誰かがこの行動を止めねばならない」「だからこそ月光仮面はそこにいる」として葛藤しながらも戦い続ける者なのだ。


真の正義がこの世に存在するなら「自分自身は必要が無い」というのが月光仮面の持つ思想。

だからこそ彼は「正義の味方」なのであり、「真の正義が生まれるために正義に味方し続ける者」として活動をしているわけだ。


しかもアニメ版を見ればわかるが「この状況において戦いを選択する自分は悪に落ちたの同義である」と考えてもいる。つまり彼は「正義に味方したいだけの悪」として捉えることもできる。


こういった部分があるからこそ月光仮面は名作なのであり、真の正義の味方なのだ。

それと同時に「現代におけるヒーロー的思想においては間違いなく合わない」人間なので、いつまで経ってもリメイクされないのである。


今リメイクしても間違いなく彼のスタンスは理解されない。

人によっては「新興宗教の教祖か何かか?」と思われるだろう。

だが、アニメ版を見れば彼が他のヒーローとはやや違うポジションにいる上で、


「ヒーローとして十分確立した存在」であることがよくわかると思う。

敵も月光仮面も全くもって救いがないが、それでも抗い続けるからこそ月光仮面には説得力がある。


なのでこのイメージを踏襲したまま実写などでリメイクしてほしいなと思う。

現代には様々な闇が存在するわけだが、そんな中で奮闘する等身大のヒーローがいてもいいんじゃないかな。


1つ前の話でも説明したが、日本人のクリエイターはどうしても「表面上だけを掬い取って模倣する」という癖がある。


不殺ヒーローは1990年代になるとなぜか一気に大量に増えた。

2000年代前半にはガンダムの主人公すらそんなわけのわからない奴らが出てくる始末だ。


でも彼らには月光仮面ほどの信念は無く、なんというか私からすると「人殺しという肩書きを否定したいだけで人殺しには寛容に思える」のだ。


それは例え名作とされている不殺の主人公でも変わらない。

どうしてもそう見える。


殺したくないと叫ぶが、どうしたらそうならなくていいかの方法が完全に間違っている。

変に月光仮面を模倣するせいで余計に陳腐に見える。


なんで戦争状態の戦場において月光仮面の基本戦法のような敵の武器を落としたり敵を拘束したりするものが通用すると思ってるのか?


他の人間が殺すだけだろう。

本物の正義の味方はこういう時、どちらかの組織の連中をあらかじめ全て行動不能にして戦場から人を遠ざけるんだよ。


それが出来るから「正義の味方」なの。

真の正義は「暴力などの争いなどが存在しない空間なのだから」「そうなるために味方する男」はちゃんとしている。


月光仮面のストーリーをよく知ってほしいものだ。

まあ本人も認めているが「それってあの世のことなんだけどね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ