ああ愛しのサイボーグ Cパート
ミサイルの煙が部屋に立ち込め、元々ボロ屋だった探偵事務所(自宅)はミサイルにより崩壊間近だった
「はぁ…やり過ぎだぞヴェイパー」
サービアが足元に転がった壁だった筈のコンクリート片を蹴る。
「でも、野郎まだ死んでないぜ」
煙の向こう、確かにラベンダーの影が見える
「…なんだ?」
煙の中でパチパチと青い光が点滅している。
煙が晴れてくるとソレは現れた。
「驚いたな…人間じゃ無かったのか」
そこには左腕が千切れ、ショートしつつ傷だらけのラベンダーが居たが、血が一滴も出ていない事が彼女を人間では無いと語っている
「う……る…さい!!」
刀を床に突き立てラベンダーは身体を震わせて二人を睨んだ
「お前ら…サイボーグに…私の気持ちが分かるか!!」
バチッ!と千切れた左腕が激しくショートする。
「心はあるのに…アンドロイドというだけでそこらへんの機械と同じように粗暴に扱われ!アンドロイドだからと!訳の分からない物の実験台にされて、見ろ…挙句はこの様だ!」
ラベンダーが服を破り胸を晒す。そこには血のような色をした楕円形の物体が埋め込まれていた。
「セドロイダ爆弾…!」
サービアが目を見開き、顔をしかめた。
セドロイダ爆弾とは「酸素分子高圧縮」という技術により爆炎や衝撃波ではなく空間の圧縮、縮小による一撃多殺を目的としたブラックホール爆弾である直径10cmのセドロイダ爆弾が爆発した場合の被害は数十キロに及ぶとされている。
「こんな物を身体に埋め込まれて、いる私の気持ちが分かるか!?」
「下らん問答だな」
サービアが言い切る。
「俺らもサイボーグだ、いやそれ以上の化け物だ…自分が何者なのかも怪しいが、今は生きるのが精一杯だ」
ハチの羽音の様な音が響き空間が歪むと空中にサーベルが現れた。
「わりぃけど、俺は暫く動けねぇぞ…」
ガクッ、とヴェイパーが膝をついた。
「無茶をするからだ、ここは私がやる」 空中に浮かぶサーベルをサービアが取り、ラベンダーに向けた。
ラベンダーは右手の刀を口に咥え、姿勢を低くした。
「フィナーレにしよう、レディ」
「いいわよ、サイボーグ」
ジリジリと2人の間合いが近づいて行く。
「おおおぉぉ!」
ラベンダーが一気に距離を詰める。
「ハッ!」
サービアが剣を振ったときにはラベンダーの姿はなく、ラベンダーは天井に右手でしがみつき反動をつけ再び飛びかかって来た。
「甘い!!」
しかしサービアはそれに合わせて、サーベルを突き入れラベンダーの刀を弾き、ラベンダーは刀を離した。
「くそ!」
ラベンダーが刀を取り戻そうと振った首の元にサーベルが添えられた。
「終わりだ、哀れなアンドロイド」
サービアはラベンダーを蹴り上げた。
「なっ!?」
不意な蹴りを食らったラベンダーは胸を向ける様に浮き上がった。サービアはラベンダーの胸に光るセドロイダ爆弾だけをサーベルで突いた。
「キメラシステム!『絶対零度』発動!」
サービアはセドロイダ爆弾内部の装置のみを凍らせることにより機能を止め、爆発を防いだ。ラベンダーは衝撃で壁に叩きつけられて、床に倒れた。
「随分お優しいのな、サービアさん」
ヴェイパーがよろよろとやって来てサービアの肩を掴んだ。
「無理をするからそんなになるんだ」
「へいへい、反省しやすよ」
ヴェイパーが苦笑いをして、壁にもたれかかった。すると、ラベンダーが立ち上がってきた。
「クソッ!情けをかけたつもり!?」
「情けではない、選択肢を与えた」
「何…?」
「お前の自由を妨げる、枷を一つ外してやっただけだ…体は生きて行くのに必要不可欠だから取り替えたり、新しい体をあげたりは出来ないが、アンドロイドだと言わなければ十分に生きていけるはずだ」
サービアはラベンダーに背を向けた。
「ここから先はお前が決めて、自由に生きて行け」
「自由……」
ラベンダーは考えた。自由について、自分のこれからについて
「好きに生きていいのね?」
ラベンダーがサービアに問う。
「ああ、それが自由だ」
「じゃあ、私はあんたらの仲間になるよ」
突然かつ急な答えにサービアとヴェイパーは目を丸くした。
「好きに生きていいんでしょ?だったらあんたらの仲間になってやるわ」
「何で満身創痍なのに偉そうなんだよこの女は!」
ヴェイパーがサービアに叫ぶと、サービアはあっさりと
「いいだろう、歓迎する」
と言いのけた
「おい!聞いてんのかグラサンオタク!」
「仲間は一人でも多い方が良いだろう、それにこのボロボロになった家を直すのにも金と人が欲しいからな」
痛いところを突かれたヴェイパーは黙り込んで、うなだれた。
「では、ラベンダー・ブルー…歓迎する」
「よろしくね、サイボーグ」
「サービアだ」
サービアがラベンダーの肩を担ぎ上げる。
「じゃあ『サー』ね、私もブルーでいいわ」
「よろしく、ブルー」
「よろしく…まず体を治したいわ、この辺に良いお医者さんある?」
ブルーが皮肉な笑顔でサーを見る。
「俺らを作ってくれた博士が居る、そこで直してくれるだろう、おい!ヴェイパー、お前も来い!」
言われるとヴェイパーが弱々しく立った。
「よろしくね『ヴェン』」
ブルーがヴェンにウインクをして手招きをする。
「俺にも肩貸せ」
ヴェンがサーに寄りかかり、サーが2人を抱える形になる。
「重いが、悪くない」
「なにそれ」
「なんだそりゃ」
三人の姿がボロボロになった家を出ていった
ああ愛しのサイボーグ END
次回に続く→




