その男達がキメラ Cパート(完結)
銃声が響いた後の空港内はパニックに陥っていたが、レイラは自分が驚くほど冷静だった。
「 テリー…」
テリーは死んだのだ、と諦めにも似た何かがレイラにはあった。ふと、周りを見渡し、皆が慌ただしく逃げ惑っている方がレイラには訳がわからなかった。
それでもレイラは露ほどの希望をもってテリーの背中をさする。
「テリー…起きてよ」
しかしテリーは目を見開いたままで、血の池に浸されている。
「死んだんだよ、そいつは」
レイラがハッと顔を上げると無表情でレイラとテリーの死体を見下ろす男がいた。ドン・ネオンズであった
一方サービアとヴェイパーはネオンズの部下達からの足止めを受けていた。
2人は看板の影から銃で応戦していたが人数の差もあり状況としては芳しくなかった。
「くそっ!ネオンズにレイラが連れてかれちまう!サービア、やるしかねぇか?」
するとサービアが銃弾の舞う看板前に躍り出た。
「ああ、奥の手を使うしかあるまい!」
ヴェイパーも遅れて飛び出す。
「おうよ!」
「キメラシステム、起動!」
2人がそう叫ぶと、銃弾の雨は止んだ。銃を撃っていたネオンズの部下達が動かなくなった。
「動けんだろうが暫く我慢してくれたまえ、時期にその体も要らなくなる」
サービアが動かなくなったネオンズの部下達を見ることもなく横を通り過ぎていく。
「そういうこったから、あばよ」
ヴェイパーが手の指をを突き出すと、指の先が開き火を吹いた。爆音を響かせ動かなくなった人形達をバラバラにしていくヴェイパー、その作業が終わるのには3秒も使わなかった。
「ちっ!早くしねぇとレイラが!」
「急ぐぞ!ヴェイパー!」
2人は凄惨な空港を走り抜けレイラを追う
レイラはネオンズに連れられ空港を歩いている時に考えていた。
『テリーが死んだのに何故、私はこんなにも冷静なのか?』と、しかし今だに理由はわからない。
「レイラ、どうした?うかない顔をして、ボーイフレンドならパパがちゃんとした奴を見つけてやるさ、あんな野郎が死んだって大丈夫さ、良い男は五万といる」
「…うん」
ネオンズの言葉にも何も感じない。怒りも、悲しみも、うっとおしさも、何も感じない。
レイラの心は壊れたのだ
「レイラ!」
サービアとヴェイパーが2人に追いついた。
「二人とも…なんで」
「はっはっ!こいつはいい、どうやって200人の部下を撒いたか知らんが2人とも無事か!余興の礼として俺が殺してやる!」
ネオンズが懐から銃を取り出しヴェイパーを狙い引き金を引いた。しかし逆にネオンズの銃が吹き飛び、肩に風穴が空いた。
「うわぁぁぁぁ!?」
ネオンズは悲鳴を上げながら後ろに転んだ。
「薄汚ねぇギャングの下っ端なんかもう死んでるぜ、親分さんよ」
ヴェイパーは銃と手からの攻撃より銃を弾き、肩を抉ったのだ。
サービアがヴェイパーの後ろからゆっくりと歩いてくる。
「ドン・ネオンズ、娘の自由を!そして愛をも奪った、その罪!断じて許しておけん!」
サービアはネオンズを見下し持ち前のサブマシンガンを構えた。
「わ、わかった!娘も自由する!あんたらに金も払う!だから許してくれぇ!」
ネオンズはサービアの足にすがりつく。しかしサービアはネオンズを蹴り飛ばし悪魔よりも死神よりと無慈悲にこう言った。
「情け無用だ」
サービアのサブマシンガンが引き金を引いた瞬間、何かが2人の間に割って入った。
「なっ!?」
しかし引き金を引く手は止まらずサービアはネオンズとその間のモノを撃ち抜いた。
「レイラ!」
2人の間に入ったのはレイラだった。
「な、何故こんな事を…」
ヴェイパーが駆け寄り、血だらけのレイラを抱き起こす。ネオンズは銃弾が頭に当たり即死だった。
「だって、だって…私の…私のパパだ…も…ん」
そう言ってレイラは目を閉じた。そしてその目はもう開かなかった。
傾いた日が空港を照らし、より一掃辺りを赤く染めた。
2人は何も言わずに立ち尽くした。
いくら文明が進んでも測りきれない人の心、父と娘の間には一方通行の愛があった。確かにそこには愛があった。




