吸血鬼という名の聖獣 Bパート
次の日、4人はジョニーの情報を元に現場を見に行き、改めて聞き込みなどを行なった。しかし
「そのグリフォンとやらは被害者と接触してたというが、接触していたと言うには余りに…」
情報を整理していたサーが眉間にシワを寄せ唸りながら考え込んでいた。接触というには余りにも些細な接触だったのだ。
「1人目は駅のホームで落とした物を拾った。2人目は本屋で手がぶつかった…」
「3、4人目も同じように些細…いや、気にも止まらない様な感じだよな」
ヴェンもサーの真似をして低く唸ってみた。2人を見かねたブルーは面倒だったが、自分でも知恵を絞ることにした。
「犯人じゃなくて被害者の方に共通点は?」
「そうそう、探偵なんだからさー?もっと、柔かーい視点でモノ見ないとね?」
ゼラが色白の頬を横に引っ張りグニグニとてを動かした。面目まるつぶれの2人であった。
「あのなぁ、わざわざ言われなくても今からー」
ヴェンが言い返そうと後ろを見るとゼラが爪の手入れをしていた。
「爪…手…手か!」
ヴェンは何かに気づいたらしく、事件現場の防犯カメラからコピーして来た4つの映像を同時再生で付けた。サーを含む3人が不思議そうにヴェンを見つめていた。
「急にどしたの?」
「手だ、グリフォンは被害者全員の手に触れてる」
ヴェンは手が触れたタイミングで4つの映像を一時停止した。ゼラが横から口を挟む。
「物を渡したなら、手なんて触れても不思議じゃなくない?」
「いや、見てみろ」
映像をみていたサーが被害者とグリフォンの手が近づいた所をズームした。
「ん、なに…コレ?」
ゼラが目を細めた。サーはさらに映像を拡大して解像度を上げた。たしかにグリフォンの手が被害者の手の甲に触れた後に一瞬だけだが不可解な光を発した。周りの人や被害者本人も気づいていないようだった。
「この光は一種のマーキング、刻印、ロックオンの合図なのかもね」
ゼラの言葉に一同も異論は無かった。するとサーが、なんとも言えない表情をして皆を見回した。
「どしたの?オロオロして」
ゼラが不思議そうに尋ねた。
「いや、どこにグリフォンが現れるのか…分からなくないか?」
「そこはご都合でなんとかしましょ」
日は既に暮れ、サー達は町外れの廃病院に来ていた。この病院は惑星開拓の頃に建てられたが利用者の減少により閉鎖されており、近くには民家も無く月の光がより不気味に病院内を照らしていた。
「うぉらぁ!」
ヴェンの蹴りで閉じられていた扉が反対側の壁まで飛んで行き、壁に扉が刺さり、砕けて埃が舞った。
「なっ!?」
驚いて女が後ろを振り向くと、男が2人と女が1人、少女が1人立っていた。サー、ヴェン、ブルー、ゼラである。
「何者だ…」
女は身構えて慎重に言葉を発した。
「キメラチーム!参上!」
4人が統一性のないポーズを取っていた。
ジョニーの写真にあった女、グリフォンは突如現れた怪しい4人から距離を取り戦闘態勢になる。サーが一歩前に出て来た。
「…お前がグリフォンだな」
ポーズに触れられなかったサーは、何事も無かった様に切り出した。しかしグリフォンは答えない。サーが続ける。
「死んだのは偽装だったようだな。その方が動き易いし警察や俺達のようなモノも欺けるからな…問題は居場所だ、いや、探すのには苦労しなかったがな?」
サーがグリフォンとの距離を詰めながら、取り出した高周波サーベルを構えた。
「お前らが、キメラか」
思い出した様にグリフォンは口を開いた。
「それじゃあ…手加減はしてられないなぁ」
グリフォンの発する雰囲気が変わり、4人も戦闘態勢に入る。すると、生温い風が闇を掬うように集めていく。闇が風を巻く様にグリフォンに吸い寄せられて行く。
「何する気だ?」
サーの隣に寄ってきたヴェンは腰から抜いたマグナムをグリフォンに向けて構えた。
「これは…!」
「私たちは知ってる!」
ブルーとゼラの記憶回路にフラッシュバックする有るはずのない映像は2人の目の前で再び姿を現した。そして4人を嘲笑う様にグリフォンの口角が上がり、グリフォンが叫んだ。
「悪鬼転身」
Cパートに続く→




