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その男達がキメラ Bパート

一方ここはレイラの父の「ドン・ネオンズ」のアジトだ。アジトといっても並の豪邸よりは大きく、プールとBARが完備されている。

「レイラには困ったものだ…」

ネオンズは独り言の様に呟いた。

「はっ、お嬢様は我々が全力で捜索しておりまので…」

部下は冷汗を流しながら頭を下げ続けた。

「ハッ、レイラの家出はいつもの事だ…直ぐに帰って来るだろう」

ネオンズは特に何事もないように手元にある葉巻を手に取る。

「いえ、今回は少し違う様でして…」

部下が思い出したようにネオンズを見た

「なんでもお嬢様は用心棒を雇ったらしいのです…」

「用心棒!?あいつが!ハッーハッハッハ!!ギャングの娘が用心棒か!ハッハハハハハ!」

ネオンズは葉巻を手に持ったまま天井を仰ぎ大笑いした。

「笑い事じゃありませんよ、旦那!しかもその用心棒ってのは、あの探偵キメラですよ!キメラ!最近じゃあ、たった2人でベスカ組を潰したってもっぱらの噂ですよ!ウチだってどうなるか…」

するとネオンズが「ドン!」と机を叩いた。葉巻が何処かに飛んでいく。

「ガタガタ言うんじゃねぇ!!何がキメラだ!伝説や噂には尾ヒレが付くもんだ!相手は2人、こっちゃあ200人!100倍の差をどうやって埋めるんだ!」

ネオンズは部下の襟首を掴むと、怒鳴りに怒鳴った。

部下は涙目で「はい、はい、すいません…」と小声で謝り続けた。

日は傾きだし、レイラが家出をして半日が経とうとしていた。


時を同じくヴェイパーとサービア達。

「で、レイラ嬢は一体誰とこの星をでるのかな?」

カーマトン国際惑星間空港に向かう途中の車内でサービアはレイラに尋ねた。

30年前に発明された亜高速前量子加速理論(光よりも遅いがほぼ光の速さまでの加速を可能にした、量子変化により原子レベルでの物質分解と合成が可能になった理論)により太陽系の1惑星間の移動はスムーズになり、惑星間空港させつかえば一般人でも別惑星への旅行や移住が可能となった。ちなみに今まで住むことが困難だった惑星の環境改変もその理論の応用である。

「あら?レイラちゃん誰かと一緒に高飛びするの?いやー隅に置けないねぇー」

ヴェイパーがニヤニヤとして、レイラに振り向く。

「あっ!前向を向いて下さい!危ないですから!」

後部座席のレイラはヴェイパーの首を「グキッ」と前に向かす。レイラは暫く黙っていたが、口を開いた。

「…私、恋人がいるんです」

レイラは顔を赤くして下を向き小声でそう言った。

「ヒュー!世の中には幸せな奴がいるんだな、レイラちゃんがお嫁さんだなんてなぁ」

「こら、薄汚いアフロはチャチャを入れるんじゃない!レイラ嬢、続けて」

こくり、とレイラ

「彼はテリー・ワカザといって普通の会社員です。ハイスクール時代の同級生でしたが、彼はまだ私がネオンズの娘…ギャングの娘だとは知らないんです。父の目が届くところでは普通に暮らして行けるなんて思えません…だから決めたんです。街を、カーマトンを出るって」

最初は弱々しく話していたレイラだったが話しが進むに連れその表情には決意がみなぎって行った。

「…彼はこの星を出て行くことになんと?」

サービアが前を向いたまま問う。

「『君がそう言うなら、そうしよう』って…詳しい事は何も聞いて来ませんでした」

「男としては100点の答えだな、愛する彼女の頼みなら、深い詮索するだけ無用…ってか」

ヴェイパーは微笑んで空港に向けアクセルを踏み込んだ。


カーマトン惑星間国際空港

「テリー!」

レイラが駆け出す。

「レイラ!」

テリーと呼ばれた青年は駆けて来たレイラを受け止め、抱きしめた。

「やれやれ、一件落着かな?」

ヴェイパーは笑って、サービアに肩をすくめてみせる。しかしサービアの表情はまだ硬く、影があった。

「どしたよサービア、何かあんのか?」

「いや、何も『無さ過ぎる』」

サービアは辺りを見回し始める。

「追手が無かっただろう、ここに来るまでの間に…一人もな」

「そういや、そうだな」

ヴェイパーもジャケットの内ポケットに手を入れ辺りを見回す。

「ヴェイパーさん!サービアさん!」

レイラがテリーを連れてくる。

「ありがとうございました!テリーと2人でこの星を出て幸せに暮らします。短い間ですが、お世話になりました!」

テリーも頭を下げ、ゲートへと向かって行った。サービア達は不安であったが2人の門出を祝うため精一杯の笑顔で2人を見送る。

「気をつけてなー!」

「幸せに!」

その時、銃声が空港内に響いた。

「なっ!?」

ヴェイパーが銃声のした方を見ると、銃を持った男が立っていた。

テリーの体がゲートの目の前でゆっくりと倒れていった。




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