その男達がキメラ
続くかも怪しいですけど
こういうノリが好きです
快晴の空に飛行機雲がくっきりと1本だけ引かれていた。湾岸沿いのだだ広い敷地に真っ赤なオープンカー、二人の男が乗っていた。
「はぁ〜、暇だねぇ…よいしょっと」
アフロ頭の男は目をつぶりながら車の運転席を倒して新しい煙草に火をつけた。
「すぅ〜、ふーー…」
煙が青空にユルユルと流れて行く。
「おい、呑気に煙草なんか吸ってる場合じゃないぞ」
助手席の男がアフロ頭を「ボスッ」と掴み言葉を続ける。
「指定の時間はもう15分も過ぎてるのに依頼人が現れない、つまり俺たちは何かの罠にハマったんじゃないのか?」
助手席の男はアフロ頭を左右に揺らした。
「 やめろ!セットが乱れるだろっ!1時間半かけてるんだぞ、この美しいセットに!」
揺らされたおかげて前と比べて1.5倍ほど大きくなったアフロを庇い、アフロ頭はアフロを押さえつけてアフロを縮めた。
「あー、もう美しいセットがモサモサだぜ、ったく…それに、罠って何だよ、罠って…道が混んでるとか、その辺で迷ってるとかじゃないの?あっー、ったく」
右押さえたアフロは左から膨張し、左を押さえたアフロは右から膨張し、ひどく悪いバランスとなっていた。
「しかし妙だな、依頼主は此方には時間厳守を要求して来たのに本人が時間を遅れているじゃないか、しかも待ち合わせの場所来てみれば、再開発も見込まれない埋立地と来た。どうみても怪しいだろう」
助手席の男は辺りを見回し長々とアフロ頭に丁寧に意見を述べた。
すると、遠くから人影か近付いてきた。
「お、アレじゃねぇのか?依頼主って」
直ったアフロを丁寧に撫でながらアフロ頭はその方向を指差す。
「女性…の様だが、どうする?」
「そりゃあ、女の子なら男が迎えに行ってやらにゃいきませんね!」
アフロ頭はイキイキとエンジンをかけて人影に向かった。
「女性じゃなくてロン毛の男かもしれんぞ?」
助手席の男は半笑いでアフロ頭に言う。
「だったらこの距離の分のガソリン代を請求するさ」
そんな下らない会話を終えると同時に人影の横に車を付けた。人影は長い金髪の女性だった。
「お綺麗なお姉さん!あんたが今回の依頼人のレイラ・パーリナスさんかい?」
先ほどとは打って変わって元気にアフロ頭は自分の一番イケてる顔でレイラであろう女性に声をかける。女性は走って来たらしく息が上がっていた。
「おい、イキナリそんなアフロ頭で挨拶するんじゃない、美女が怖がるだろ」
助手席の男はアフロ頭のアフロを手で隠し、アフロは手をどけて再びキメ顔、というくだらないやり取りが2回くらい続くと女性は息も絶え絶えに
「助けて下さい!ギャングに追われてるんです!!」
と叫んだ
「は?」
「何?」
二人は手を止めレイラを見た。すると黒塗りのイカにも怪しい車がこちらに向かって来た。
「お嬢さん!乗るんだ!」
助手席の男がレイラの手を引き後部座席に乗せる。
「なーんだか知らんが、面白いじゃない!」
アフロ頭は車を勢いよく発進させ怪しい車の横を抜けると、その車も急ターンをして追って来た。
「追って来たぞ!」
助手席の男はアフロ頭に叫んだ。
「見りゃわかるよ!」
埋立地を抜けて国道に出るとそこは高層ビル群だ。いかに再開発から見放されたといえども、ここは首都ベルエルダ。
碁盤の目の様な道が五万とあるが、真っ赤なオープンカーはハイウェイへと乗った。もちろん怪しい車も付いてくる。
「お姉さん!あいつは話して分かってくれるようなギャング連中かい!?」
アフロ頭は後部座席でしゃがんでるレイラに尋ねた。
「無理です!私もさっき説得をしてみようとしたのですが…」
「ならば、情け無用だ!」
「おう!」
助手席の男は椅子の下から銃を取り出しアフロ頭に渡した。そしてアフロ頭は車を走ったまま反転させ、怪しい車のタイヤ、左の前後輪に一発づつ銃弾を放った。
「きゃー!!何してるんです!?」
レイラが叫ぶ。
「ん?ちょっと運転自慢したくなっちゃって」
アフロ頭は車を戻してハイウェイを加速した。
ハイウェイを降り、アフロ頭達は自身達の事務所へと向かいそこでレイラの話を聞くことにした。レイラは暫く騒いでいたがアフロ頭と助手席の男の下らないジョークで冷静さを取り戻した。
「で、お嬢さんは何であんなギャングに追われていたのかね?」
先の助手席の男「OF・サービア」は冷たい緑茶をレイラの前に出した。
「そりゃこんなにお美しいお姉さんならギャングの一組や二組に追われててもおかしくないでしょ、ねぇ?」
先のアフロ頭「デウス・ザ・ヴェイパー」はニコニコとレイラを見た。
「あ、いえ実は…父がギャングのドン…なんです」
一旦の静寂。
「なぁーー!?てことはあんたはドンの娘!?」
ヴェイパーはソファーから飛び跳ね、落ちた。
「マズイな…つまりいま俺たちはギャングのドンのお嬢さんを誘拐した事に当たるんじゃないのか?」
サービアは冷静に手を組んで机に置く。
「もう、嫌なんです!ギャングなんて!父なんて、だから私、彼方達にお願いしたんです!私をこの街から連れ出して下さい!」
レイラは涙ながらに声を上げ、そして俯いた。
「……どうしましょ」
ヴェイパーは困った顔でサービアを見た。
「……しかたあるまい、手伝おうじゃないか、もう前金の50万ジルバは振り込んで貰ったしな、やめれんだろ」
「あーあ、サービアは美人に弱いんだからもー」
サービアは席を立ち頭を掻いた。
「よし来た!ギャング相手とあっちゃ、俺の体も唸るってもんだぜ!」
ヴェイパーは「グッ」と右の拳を握り締めた。
「ところで、あんなに多額の依頼金は何処から?」
サービアがレイラに尋ねる。
「父のカードから借りました」
ニコッとレイラが笑う。




