表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム機片手に、戦国乱世?!  作者: A-rea
甲斐の章
9/11

第九話 ~渡る世間は碌でもない~ その四

ようやく書き上げました。

目が覚めたら暗闇の中、1人で騒ぎまくって、1人でクールダウンする事で漸く気持ちが冷静にする事が出来た。


『なんて言うかさ、芳輝ってそういうキャラなの?』


爽やかな笑みを浮かべて問いかけてきたのは、オレがゲームの新武将登録機能で作った美少年、武田三郎信之だった。


6才の子供の姿なのに、その身からは今まで感じた事のない何とも云い知れない雰囲気(オーラ)が満ち溢れれていた。


「………自分でももっと落ち着いた性格をしてると思ってたよ」


オレの答えに、彼は誰もを魅了しそうな笑顔を浮かべて笑った。


『自己評価なんて、自分で自覚できるその一部分しか表現できないし理解できないモノさ』


まぁいい、そう呟くと笑みを消して改めてオレの方を向き直った。


『時間もないし本題に移ろう、とその前にまず質問に答えよう、ここはお前とオレの境界とでもいったとこかな』


…厨二臭くね?と思うと信之は苦い顔を見せた。


『真面目に聞け、…オレも思ったけどそんな事はどうでもいい』


『本題でありお前をここに呼び込んだ理由は、お前のこれからの事だよ』


『現状のお前は父親である武田晴信から監視され命を狙われている、お前を守ろうとしていた母親の三条の方は父親の甲斐下向出迎えの準備で前みたいにお前の周囲に張り付く事も、侍女を張りつかせる事も叶わない、傅役の高白斎は晴信には逆らえん腹芸も得意ではないしなぁ、快川紹喜はこの状況をお前がどんな風に乗り切るのかそれを楽しみに見ているから奴は能動的には動かん、武田家中にお前の味方になる奇特な奴はいない誰も名将の誉れ高い当主に嫌われたくないだろうし、お前の親戚筋といえば武田家か三条家になる訳だが前者はさっき言った様に誰も動かんし後者は京在住の上に貧乏貴族だ手の出しようもない、八方いや七方塞がりだな…(笑)』


『今のままだとお前は十中八九殺される、前の離れに居た頃だったならまだいくつか打てる手があったが、お前が偽善的に作ってしまった地形図がそれを許さなくした、子供のお前がお前なりに考えて(・・・)打った一手だったのは認めるがあれは悪手だ、それも最上のな』


『あれをお前が作ったという事実が晴信の警戒を最大限にまで引き上げた、故に薄くされていた監視の目を厳重にされた挙げ句に他家の間者が接触が出来るようにされた、合法的に粛清されても仕方ない状況を作り出されたんだよ、………これで少しは自分が置かれた、自分から陥った状況を理解出来たな?』


一遍に多くの事を信之から聞かされて、頭がこんがらがりそうになったが今はそんな事どうでもよかった。


粛清されかけていた、合法的に。この事実がオレの背筋を凍らせた。


…あぁそうか、オレを出汁に北信濃で影響力のある望月氏を討つ口実を得る為に、態と彼女の接触を…。


『………その脅えた顔が見れた、それだけでも成長したかな?』


彼は恐怖から顔を強張らせていたオレに笑いかけてくる。


『安心しろ、その件についてはオレが手を打っておいた。それも頼りになる伝説的な軍配者にな』


信之がキラーン!と光る歯を見せながらサムズアップしてウインクした。


…なんていうか、オレの代わりに対処してくれた事はとてつもなく有難い事なんだけど、イケメンのウインクって絵になり過ぎてて腹が立つな、爆ぜろとは言えない、タナトスの扉に飲み込まれろ。


『帰ればこの顔はお前の物になるんだ、そう怒るなよ』


『でだ、お前の代わりにオレがどんな手を打ったかというとだな―――』





※※※※※※





つまり、オレが武田と望月との橋渡しに裏から協力した形を取った訳か…。


『まぁそういう事だな、賢い奴は助かるんだよな、こっちの意図を勝手に読み取ったつもりで損得勘定が出来るから、しかも自分の理が大きければ下手に相手の足許を見ないから』


…その代わり納得出来るまでは、絶対に味方にならないし下手な反応を見せないんだけど(汗)。


『それぐらいお前の知識で何とかなるだろう、先に起こる事のメリットとデメリットを上手く伝えれば』


信之はさも簡単に言ってくれるが、そんなの出来ねえよ!


『なら出来るように学習しろ是が非でも、お前の周りにはそれを学べるだけの環境がある、使えるかは別としても、お前の命だお前が守らなくてどうする』


…あーうー、また助けて貰う訳には………。


『無駄にネタを挟むな、あと無理だ、甘えんな』


ですよねー…(笑)


『それにオレはただの保険でしかない』


保険?


『そう、お前をこの世界に遣った奴が「始まって直ぐ死んじゃったら糞ゲー過ぎて面白くないじゃん?」って理由で一回限りの保険だ、だからお前を助ける為に一回の命を与えられて、今回がその一回だ』


じゃあ、…信之はもう…


『ああ、今はまだ時間があるけどそれが過ぎれば死ぬ、いやお前の中から消えると言った方が正しいな』


「…なんで、なんでなんだよ!?そんなのおかしいだろッ!」


この時、自分でも驚くくらいにオレは激昂した。


多分、今まで誰にも言えずに溜め込んでいた不満や憤りが爆発したのかもしれない。


「訳も分からないこんな世界に連れて来られて、その上殺されそうになるし、オレが間違ったから信之が消えるなんておかしい、絶対に!!」


『落ち着け、それは仕方がない事なんだ、そういう世界なんだよここは』


落ち着きの払った、諦めてしまったように話す信之の声に、オレは更に憤った。


「だってオレが失敗した所為なんだろ?だったらオレがッ…」


『それ以上は言うなッ!!!』



『それ以上は絶対に言うな、言わないでくれ』


怒りを露わにして大声でオレを怒鳴り上げた後、信之は優しい顔でオレに笑いかけた。


『オレはな、お前が来てくれなかったら死んでたんだよ、あの日に』


『母上が泣きながらオレに死なないで、と呼びかけてくれていたのに、オレは生きられなかったんだ』


信之の記憶から流れてきたあの人の、母親の泣き顔を知って何も言えなくなる。


言葉に詰まりうなだれるオレの頭を、信之は優しく撫でてくれる。


『来てくれてありがとう、芳輝』


『そして、母上と父上を、武田家を頼む』


そう言い残すと、信之はオレの目の前から消えてなくなった。





※※※※※※





「やぁ、お話しは済んだかな?」


『…あぁ、お前が望むようにアイツは生き残る為に全力を出すだろう』


「それは良かった。このまま死んでもらったら、折角の娯楽が只の茶番に成り下がる所だったからね(笑)」


『…娯楽、茶番、だと?』


「ああ、ボクらにとったら退屈凌ぎの娯楽だよ。キミらの生き死になんてね、意義を与えなければ吐息程の価値もない、詰まらないね」


「おいおい、睨むのはやめてくれよ。不愉快で条件反射に潰してしまいそうだからね」


「消えるキミにはもう興味はない。」


「出番を終えた役者(ピエロ)は舞台から早く降りたまえ」





※※※※※※





目を覚ますと、気を失った頃よりも夕焼けが濃くなっていた。



状況を確認しようと起き上がろうとしたら、身体が動かない。



どうやら誰かに抱き付かれている為、身動きが取れないようだ。



「…三郎?三郎、起きたのですね!」



聞き慣れた声、母上の声だ。



母上がオレの身体を抱いたまま横になっていたらしい。



「ああ良かった、侍女からアナタが気を失ったと聞いた時、母は心の臓が止まるかと思った程です!」



母上が腕の拘束を解いたので起き上がると、母上は改めて正面からオレを胸元で抱き締めた。



「母上、心配をお掛けして申し訳ありません」



母上に謝罪して“少し疲れてしまったようです”と言い訳を口にすれば、彼女は笑って許してくれた。



「いいえ、悪いのは母です。いくら武家の子だからと御館様の言う儘に、病み上がりのアナタを無理に1人立ちさせようとしたのですから」



逆に母上から謝罪を貰ってしまったので、おあいこですね、と笑いかければ彼女も笑ってまた優しくオレを抱き締めて頭を撫でてくれた。



それから、あの後の事を少しだけ話してくれた。



勘助との面談の後で倒れるように気を失ったらしく、その場にいた千代女は勿論の事、あの山本勘助も泡を食ったとか。



何とか気を取り直した勘助は、千代女に母上を呼びに行かせる事で、半包囲状態だったオレの部屋から脱出させたみたいだ。



流石は軍配者、気が利く。



…その代わり、慌てて駆け付けた母上に、オレが倒れた件について、かなりお叱りと詰問を受けたとか、…ケケケ、いい気味だ。



其の後すぐオレは母上の居室へと運び込まれ、完全な看護体制が執られて今に至る…。



「やはり三郎には、まだ1人立ちは早かったのです。旦那様に直訴して…」



と夫婦関係を危ぶませる発言を呟く母上を宥めながら、共に夕餉を楽しみ、また彼女と共に床に就いたのだった。





※※※※※※





翌朝、母上には再三辞めるよう涙ながらに懇願されたのだが、武家の子故に、と苦しい言い訳でそれを取り下げて貰い、迎えに来た高白斎と清虎を引き連れて弓道場にやってきた。



視線だけで周囲を見渡せば、外野にはなかなか面倒なギャラリーが揃っていた。



武田家当主から始まり、御一門衆、譜代家老・家臣衆、その他一部の他国衆といった武田家を支える御歴々だ。



2・3年後に元服を控える義信兄上と、病弱と言われながら家中で高い教育を受けているオレこと三郎を一目見ようと集まったのだと隣に控えていた高白斎が耳打ちで教えてくれた。



いや、それだけではないのだろう…、旧海野家家臣団の懐柔策と信濃に跋扈する群雄に対しての大評定が明日にでも行われるのだろう、正に“疾きこと…”である。



まぁそんな事は今のオレには関係のない事だ、歴史に名を残した彼の名君ならば最良の策を見出せるだろう。



そう、だからオレは今やらなければならない事をしよう。



この完全なる肉体と前世の知識を用いて、この乱世に己の居場所を作り上げ、西保信之の名を歴史に刻む。



今日はその、第一歩なのだ。

いつも御読み頂き有難うございます。

これで一章が終わります。次話から二章が始まります。

いやー三郎くんが吹っ切れました。書いてて思ったんですよねー。

どうやって吹っ切れさせようか、て…。

行き当たりばったりにも程がある!と自分でも思いますが、そこは割愛頂ければと思っております。…そういう風にしか書けないのです。

それではまた次話も宜しくお願いします。

遅ればせながら、お気に入り登録&ブックマークありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ