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ゲーム機片手に、戦国乱世?!  作者: A-rea
甲斐の章
5/11

第五話 ~進退極める~

アー長かった。

天文17年(1548)3月10日、


甲斐の守護大名【武田晴信】は、自ら五千の兵を率いて躑躅ヶ崎館から小県領主【村上義清】が居る北信濃へ出陣する。道中の上原城にて諏訪郡代【板垣信方】と、その麾下にある諏訪衆や郡内衆とも合流。大門峠を越えて北信濃の小県郡南部に侵攻した。




※※※※※※




1548年2月28日


「高白斎、話しがある。オレの部屋周囲の人払いが済んだら私の部屋まで来てくれ」


オレは高白斎に【上田原の戦い】について話をする事を決めたのだが、彼は父上の命を受けて家臣達に父上の軍令を伝える為に領内を飛び回っていたので、期せずして今日(前世のオレの誕生日)捕まえる事ができた。


オレの言葉に初めは怪訝な顔を見せた彼だったが、オレの真剣な眼差しを受けて真剣な面持ちで肯いてくれた。


そんな彼を見送り、オレは彼が居ない間にオレ付きの侍女達経由で母上に強請り手に入れた物を用意する為、ひと足早く自分の部屋に向かった。




※※※※※※




「半紙より大きな紙が欲しい、でございますか?」


今より2週間前、オレはその日オレの世話役だった侍女の1人である【(とめ)】にお願い事をした。


「ああ、…もちろんできれば、でいいんだけれども」


「…そうでございますねぇ、一度奥方様にお伺いを立てませんと何とも言えませんが、それでもよろしゅうございますか?」


「それで構わない」


分かりました、と応えオレの部屋を出ていこうとしていた富に再度声を掛けた。


「富、宜しく頼んだよ」


とびきりの笑顔を添えて…。




※※※※※※




このようにしてオレのささやかなおねだりは成就し(イケメンって凄ッ!!!)、その翌日手に入れた紙へオレは地形図を描き始めた。


場所は北信濃の千曲川北岸に展開する段丘平野【上田原】とその周辺。


つかなんでお前がそんな事知ってるのかって?…そら、ヲタク神から与えられし【第三眼】で、だな…。


そんな奴が目の前に現れたら、オレ即110番するわー。


ゲーム機で地図を出して上田原周辺に視点を指定したら出てきたんだよ。


それを見ながら大小2本の筆をそれぞれ使い別けて、平原、平地、川岸、山間、山道などを詳細に描き込んでいく。


製作に1週間、和尚の講義と清虎の稽古、母上との読書と日々何かしらの大人に囲まれながらも彼らに見つからないようにこそこそと描き続け本日早朝に完成した。


徹夜だよ、馬鹿野郎…。


つまり前半のテンションは空元気。


高白斎を待ってる間に、ドンドン心が冷静になって…なんか滅茶苦茶気だるくなってきた。


テンションが下がる魔法の言葉【メンドクサイ】が喉の所までやって来た時、彼がオレの部屋にやって来た。


「三郎様、高白斎参りました」


「ああ、入ってくれ」


さてと、気を取り直して今後の人生の為の布石を打っていきますか。




※※※※※※




「さ、三郎様!何故この様な地図をお持ちなのですか!?」


オレの部屋にやって来た高白斎は、部屋の中心に置いた地図を一目見るや懸想を変えてオレに問い掛けてきた。


「…流石は武田家の、いや父上の譜代家臣だな」


地図を見ただけでこれが何処を描いたのかを理解するとは、自作の将ながら凄えスペックだよ。


「お前の考えている所のだよ」


「なれば尚更にそれは余りにも危険なモノです!」


むさ苦しい顔を一層にむさ苦しくして近寄るな、なんだか怖い。


分かってるさ、十分に分かってる、ちょっと前に天井裏で聞き耳を立てていた透波の1人が驚きの速さで父上の所に向かって行ったようだし。


大変だよね、天井裏での監視は無しになってたのにオレが突然高白斎を呼び出したりしたから、慌てて天井裏に忍び込んで次は父上の部屋まで急いで行かないといけないなんて…、ってオレの所為か?


まぁいいや、それも織り込み済みで行動なんだけど。


「だが、次の戦には役立つだろ?」


そんな事は置いといて、オレは自信があるように笑みを浮かべてそう言い放つ。


むさ苦しい顔をしてオレににじり寄っていた高白斎が、うっと呻いて少し後ろに下がる。


さっきから顔に出過ぎじゃね?お前うちの外交を担ってるんだよな…、大丈夫か???


「で、ですが三郎様………はっ!?」


難しい顔をして唸っていた高白斎が部屋の外からの足音に驚き、顔面蒼白になってそちらの方を見やる。


足音の数は、…四つ、いや一つは戸惑っていて音が鈍いから高白斎の部下かな。


オレはともかく何も知らない高白斎は部屋に近寄って大きくなる足音に、どんどんと顔を青ざめさせていく。


そして足音は部屋の前で止まり、バン!っと障子戸が開けられてそこに立つのは武田家当主の武田晴信と山本勘助、甘利虎泰に困惑した表情の吹武清虎の四人。


目の前で戦々恐々としている高白斎には悪いけど、余りに全ては予定通りだったのでニヤリと笑みを浮かべると、武田晴信にギラリと睨みつけられた。…うわっちょー怖い。


でもこれからこの戦国時代で生きていくんだ、ここでビビって失敗できるか。


戦をしよう【甲斐の虎】。

感想があれば宜しくお願いします。

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