第十話
どーも、A-reaです。
いつも私の小説を読みに来て頂きまして、ありがとうございます。
弓比べの前夜、三郎は寝床にてこれから自分はどうすべきかを考えていた。
結局の処、自分には前世にて巷に出回っていた歴史二次創作モノの主人公の様に、戦国時代に蔓延る魑魅魍魎化け物共と互角に渡り合ったり、諸葛孔明のように他人を掌の上で転がすなんて真似出来る気がしないし、出来なかった。
正直、ゲーム上では能力値最大スキルオールマックスでも、中身はただの歴史好きの中学生な自分には、この身体は使いこなせる訳がない。
上田原の一件、夢に見た景色を描いたと言って誤魔化し、場所についてあれやこれやと補足説明をして武田家の敗北を阻止したものの、その後の軟禁生活から鑑みて結局失敗だった。
だったらどうするか?三郎が出した結論は、バカになろう!という事だ。
必要以上に、大げさなまでにリアクションし、周りからうつけと思わせる。多くの傑物がやって来た使い古された一手。駆け引きのやり方を知らない、けど歴史好きな自分にピッタリな方針だと言える、筈だ…、多分。
まずは明日の弓比べの場で義信兄上を必要以上に褒めるのだ、褒めて褒めて褒めまくる。
んでもって、自分は不器用な振りして過ごす。…最後に一本くらい的に当たればいいじゃないかな~…、とわりかしユル軽な思考のまま三郎は眠りについたのだった。
その頃、別室では三郎の今後について、館の主とその軍配者が議論していたのを、この時の三郎は知るよしもなかったのである。
※※※※※※
甲斐の国甲府に居を構える武田家が本拠地、躑躅ヶ崎館の一室で、武田家当代の当主【武田晴信】は自身の腹心、【山本勘助】と今後の戦略について議論していた。
「【海野家の再興】か…」
「打っておくべき一手です。元々彼の家を滅ぼした首謀者は村上義清であり、先の戦にて奴を事実上信濃から追放した殿が再興を謳う事は筋が通りますし、我等の信濃経営においての更なる正当性の担保になりましょう」
勘助は先日三郎が描いた信濃全域の地図と数枚の書状を広げ示していく。
「武田家は一昨年、四郎様がご生誕され諏訪大祝※に対する正当性を得て、南信濃を領地科が出来もうした。幸いにも【海野平の戦い】で敗死した【海野幸義】には幼い姫がいるとか。此処で海野家を御一門として再興が出来たならば、現状面従腹背を続ける北信濃在郷の国人衆達や諸国へと流れた者達も当家への帰参を願い出てきましょう。現に、望月や上野の真田などからは再興がなれば当家に服従しても構わないとの誓紙も得ております。そうなれば我等の信濃政略は大いに…」
再興こそ最善の策だという勘助の言に対して、晴信は手を挙げてそれを止めさせた。
「…それは分かっておる。問題は誰を据えるか、だ」
その晴信の言葉に勘助は居住いを正して問に答える。
「ご子息の次郎竜芳様が宜しいかと…」
室内の空気が一瞬で重くなったのを勘助は感じ、背筋に冷たい汗が流れる。
「………次郎を、だと」
晴信の言葉に勘助は即座に頭を下げて言葉を繋いだ。
「太郎様は武田家の跡取り、四郎様は諏訪家大祝の跡取り、そして三郎様は先頃までご病弱であられました。その事は広く知られており、国人衆は納得致しますまい。この策は、国人領主らが心の底から御館様への忠誠を感じさせる事こそが胆にございます。此方が本気である事を見せねば、彼等が此方に靡く事など有り得ませぬ。なればこそ、その様な御子息に我等の大計を託すには能いませぬ!」
力強くそう断じた勘助に、晴信は一言
「……で、あるか…」
と呟き、この策は可決されたのであった。
先日、自分でもあんまり上手く出来てないなぁ~でももう一年もupしてないしした方がいいよね、等と思いつつもupしたキャラ紹介で、沢山の方が私の小説にアクセス頂いたのを改めて見て、自分がとても恥ずかしくなりました。
ある種自虐的な思考をしがちな私は、どーせもう誰も見に来る訳ないよね。と思っていただけに、アクセス頂いた数に衝撃を受け、このままじゃいけない、頑張ろうと今日続きをupさせて頂きました。
まだまだ拙く、設定や時代背景など上手く扱いきれてはいませんが、これからもなるべく定期的にup出来る様に頑張りますので、これからもご愛読頂けたら幸いです。
これからも宜しくお願いします。