人類永遠の一大罪
「鼠小僧くらい最近じゃあ有名だろ」
「そうなの?」
少女が純粋な瞳を俺に向ける
「……まあ、それはいいとしてだな何故こんなところにいるんだ?」
「鼠小僧は自分から後ろ向きに落ちるから」
驚いた、この少女は鼠小僧をよく知っている
それより、と少女はまた純粋な瞳を向けてくる
「お兄さんは鼠小僧を知ってるの?」
「ああ、追いかけてる……お前は何故鼠小僧を追いかけているんだ?」
「私のお父さんの大切な物をくれたから……それがお父さんの唯一の手がかりだから」
少女の話を聞くに少女は行方不明の父親を探しているという。
「……やめておけ、あいつは簡単には捕まらない」
「でも……」
少女は真剣な面持ちで俺に訴えかける。 この少女は……真剣に鼠小僧を探しているのだろう。
この少女と俺はなんだか似た境遇のようだ、しかし中学生くらいであろうこの少女が鼠小僧を探すために生きているのには納得がいかない。
あいつ……鼠小僧は泥棒なのだから。
鼠小僧を探す為の人生、それがどれほどまでに無意味で過酷な事か……俺は知っている。
しかしだ、少女は鼠小僧が父親の手がかりを持っているはずだと、そのような事を言っていた。
そして鼠小僧がここらへんでは有名な事を少女は知らなかった。
だとすれば……
「お前……テレビとか見ないのか?」
「見ないよ、見る所ないし」
「……お前、何処で生活している」
「その日によるかな」
思った通りだった、少女は鼠小僧を探す為に昔この町にもいた浮浪者のような生活をしているのだ。
いくら機械によって清掃が行き届いている場所でも、それは過酷だろう。
俺の中にある感情が現れた。
それは少女に対する同情では無い、少女が選んだ道なのだから。
俺の中に現れた感情、それは怒りだ。
鼠小僧は俺ばかりでなく、こんな少女の人生も狂わせたのだ。
少女に対する同情や親切心では無い、鼠小僧に対する怒りや反抗持って俺は少女に言った。
「鼠小僧を探しているなら……協力しないか?」