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焼けくそレーシック  作者: あまやま 想
第1部 東京編  第1章 発端
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1月19日(木) ⑤

 盗難届を書く前に、またしても受付の警官に免許証の提示を求められた。そこまで免許証にこだわると、逆に足下をすくわれるのではないかと思ったが、昨日のこともあるので下手なことは言えない。紫は腹に一物抱えながらも、運転免許証を見せた。それから言われるがままに盗難届を書く。昨日探し出した自転車の防犯登録証を見せる。


警官から


「やたらと手際がいいですね。普通は防犯登録番号の確認だけで十分ぐらいかかるのに…」


なんて言われた。そこは知り合いの警官に教えてもらったからとごまかしておいた。紫はYー89380と自分の防犯登録番号を書き込んだ。全部書き込んでから、受付の警官に提出する。受付はそれを一通り眺めてから、


「はい、確かに受理致しました」


と、うやうやしく受け取った。


「なるべく、早く自転車が見つかるように我々も努力しますが、最近はこの手の犯罪が多くて、我々の力でもすぐに見つけられないことが多々あります。あまり、期待はなさらないでくださいね」


 別れ際、受付は紫に精一杯の責任逃れの言葉を言ってから送り出した。紫は最初から期待などしていない。ただ、万が一、昨夜の紫のように犯人が捕まった際に盗難届が出ていなかったせいで、犯人が野放しにされてはかなわないと思ったからである。昨夜の警官は確かにいった。「届が出ていないので、書類送検はしない」と…。逆に言えば、届けが出ていれば、例外無しに書類送検されるのだろう。真夜中に警官から注意をされた体験をした身としては、どうなるのか是非気になる所である。


 交番から出た紫はそのまま駅前商店街に入って行き、まっすぐドン・キホーテへと向かった。それから迷うことなく、一番安い一万円の青い自転車と千円のチューブ式の鍵を買った。チューブ式の鍵は二重ロック用である。もちろん、五百円を払って、防犯登録もする。それから、いつもよりも時間をかけて、三十分間、家まで新しい自転車をゆっくりこいだ。


 家に着くと、レトルトのカレーと冷凍したごはんをレンジでチンして、簡単に夕食をすませて、風呂にさっさと入ってから、そのまま布団に入った。昨夜の疲れもあったせいか、紫はすぐに眠りについた。

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