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焼けくそレーシック  作者: あまやま 想
第3章 決着
66/150

3月2日(金)  ※2※

 夕方、どうにかマニュアルが作成できたので、定時で上がろうとした時であった。久々に東京で過ごす週末である。福岡出張の疲れだけでなく、人生の苦悩から逃げたいと紫は思った。


 もう、家から一歩も出ずに、ひたすら引きこもろうか…とさえ考えていた。それなのに、奴からメールが来た。


「福岡出張、お疲れ様でした。もう、帰ってきてからいろいろと聞いていると思うけど、改めて話したいことがあります。今夜七時、ルーナバルで待っていますので、もしよかったら来て下さいね。  武下」


 武下定秋から突然のメールが来た。このような中で奴は何を話すつもりでいるのだろうか。まさか、水戸あおいにふられたから、やり直さないかとか言い出すのではないだろうか…。そんなことをされたら、紫はもっと惨めになる。


 もし、そうだとしたらなめられたものである。まだ、気持ちが完全に吹っ切れたとは言い切れない…。だが、福岡出張で新しい世界を見たことで紫の気持ちは少しずつ変わりつつ合った。さらに水戸あおいの結婚騒動である。


 紫は、これでようやく全ての決着がつけられると思い、嫌々ながらも誘いに乗ることにする。


「桜田さん、お待ちしておりましたよ」


「ちょっと止めてよ…。そんな他人行儀な話し方をするなら私帰るよ…」


 七時前にルーナバルへ行くと、既に武下定秋が待っていた。ルーナバルは二人がかつて付き合っていた頃、よく行っていたお店である。付き合っていた頃は、紫がいつも待たされていたけど…。


 あの頃、どうしてあんなに一途に待てたのか、不思議でならない。それにしても、男って、どうしてこんなにも現金なんだろうか…。


「まあまあ、せっかく来たんだしさ…。とりあえず一杯ぐらい飲んだら…」


「結構です。マスター、ウーロン茶を一つ!」


「はい、かしこまりました」


「知っていると思うけど、俺…」


「水戸あおいに見捨てられたんでしょう。かわいそうにね…。」


 さすがに、『ふん、いい気味ね。自業自得よ!』とまでは言えなかったが…。ここまで来たのに、なぜか中途半端で煮えたぎらない態度を取り続ける紫…。

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