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焼けくそレーシック  作者: あまやま 想
第1部 東京編  第1章 発端
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30/150

1月29日(日) ◆1

 木曜の夜、盗まれた自転車が戻って来ると言う信じられないことが起きた。もう既に新しい自転車を買っていたので、古い自転車は相手に引き取ってもらう。しかも、加害者とのやり取りの末に五万円をもらうと言うおまけ付きである。


 新しい自転車には一万円足らずしかかかっていない。いかにも安物にしか見えない安物の青い自転車。こんなにもらってもいい物だろうかとも思ったけど、あの会話の流れでは断れないだろう。まあ、このところ、全くついていなかったので、たまにはいいだろう。やっぱり、おはらいの効果だろうか…。それとも、ただの偶然だろうか…。


 この日、紫は三二回目の誕生日を迎えた。本当だったら、武下定秋と一緒に過ごしていただろうに…。たまには一人っきりの誕生日も悪くないと強がってみるものの、やっぱり無理だ…。まだ、ふられてから十一日しか経っていないのだから…。


 金曜…、土曜…、と平凡な日々がただ過ぎていく。武下定秋と付き合っていた頃のような平凡な日々が戻って来たようである。これまでの十日間であまりにもいろいろありすぎたのだ。何もないと言うことが、ただ素晴らしく感じられる。


 休みの日はFMラジオに限る。テレビと違って音楽がたくさん流れるので、聞いているだけで何となく優雅な気分になる。近頃、テレビは仕事帰りに少しニュースを見るぐらいで、ほとんどテレビをつけていない。


 いつもの休日と同じようにコーヒーメーカーでコーヒーをいれる。天気がいいので洗濯もする。朝風呂にもゆったりと入る。レーシックをしてから、風呂場で物が見えなくて困ることが無くなったので嬉しい。


 食パンにスライスチーズを乗せてから焼く。いい具合に焼けたら、イチゴジャムをその上につける。見た目は悪いけど、チーズとイチゴジャムの絶妙な組み合わせは意外とうまい。いれたてのコーヒーもおいしい。ラジオから最新の週間ランキングが流れている。このゆったりとした感じ…。実にいい!

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