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焼けくそレーシック  作者: あまやま 想
第1部 東京編  第1章 発端
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22/150

1月24日(火) ☆1

 昨日とうって変わって、いつもと変わらぬ日常が戻って来た。先週の水曜日からずっと慌ただしかったので、穏やかな日々にほっとさせられる。この日は総務三班の山畑さんがおはらい有休を取ったが、それすらも全く話題にならない、昨日はあれほど雄弁に語っていた大芝課長はいつもの寡黙な窓際課長に戻っている。あの騒ぎは一体何だったと言うのか? あれをきっかけにご乱心ぶりがヒートアップすると思っていたのに…。


「紫、今日の仕事帰りにラーメン食べに行かない?」


「何? おいしい店でも見つけたの?」


「そうそう、会社の近くにみそとんこつのお店ができたのよ。相方と行って来たんだけど、すごくおいしかったぁ」


「それはいいね。ぜひ、行きましょう」


 社員食堂で昼食を食べているときに、夕食の話をするとは…。そうは言っても食べることは生きる活力である。食べることがつまらなくなったら、生きる楽しみの大半が奪われてしまうだろう。


「陽美の彼氏さんって、この近くにお勤めなの?」


「そうなのよ。だから、最近、仕事上がりが同じ時は一緒に食事したり、帰ったりするの…」


「相方さんがいる人はいいですね…」


 陽美がのろけ出したので、紫は皮肉っぽくつぶやいて、思いっきりいすにもたれた。外は木枯らしが強く吹いている。朝はこの冬一番の冷え込みだった。


「ああ、ごめんって…。ところで紫、目の調子はどう?」


「もう、クリアな視界に感動…。ただ、今は目が乾いて仕方ない。おかげで二時間に一回は点眼しないと…」


「ねっ、レーシックやってよかったでしょう。まあ、しばらくは点眼液が手放せないけど、それもせいぜい一ヶ月の辛抱よ。目のかすみだって、三日ぐらいでとれるはず…」


 陽美の言う通りであった。目のかすみは大分とれてきている。目のかすみさえとれれば、視力に関する問題は完全に解決する。さすが、半年前にレーシックをしているだけある。

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