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接吻
凶弾は、感覚の外から来た。弾着音が後から響く、迂闊といえば迂闊、夜の彼女達の超感覚すら及ばぬ長距離からの精密狙撃、それが彼らの最近の手法だった。
彼の熱い|凶弾(想い)をその身に抱き、彼女は屋上から身を投げ出す。同時に自分の影を別方向へと飛ばす。飛ばされた影は忠実に彼女の姿を模倣し、それを視界の端に確認すると、自由落下の間に中断された行動を再開した。
すなわち、携帯ゲーム機の音をOFFにし、やりかけのステージの攻略を、…好きな時に好きなように、それが彼女の生き方だ。
しかし、彼女にとって不都合な事に時刻は、もうすぐ夜明けだった。
*
男は短く舌打ちした。奴らの感覚の外からの長距離狙撃の失敗、これで獲物に狩人の存在を感づかれてしまった。
「気は進まんが…」男は一つため息をつくとポケットから煙草をとり出し、それに火をつける。男にとって幸いな事に、夜明はもうすぐだった。




