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眼球

作者: ある

夢の中で、私はベットに横たわっていた。少しの間ぼんやりしていたが、時計が目に入り、起きるべき時間を2時間も過ぎていることに気づいて、跳ね起きた。とても大事な研修がある日で、遅刻は絶対に許されなかったが、手遅れだった。とにかく連絡をしなければと、腕を伸ばし携帯電話を掴んだとき、自分の体がまったく見えていないことに気づいた。布団に触れている感触や、携帯電話を握っている手の感覚は確かにあるのに、手足はおろか、鼻の側面や目の下の頬も視界に入らない。視点は自分の意思とは関係なしに、ゆっくりと流れるように漂い、上下左右、ランダムに移ろっていた。手に握る携帯電話をなんとか視界に入れて、電話を架けることさえ出来れば、感覚で電話を耳にあて、話すことは出来るだろうと、視界が携帯電話を捉えるのを待ったが、視点は徒に移動し続け、私の体のほんの一部すら捉える事はなかった。見逃さないように集中しているうちに、だんだん気分が悪くなってきた。携帯電話を握る手を目の前に持っていこうと、腕を動かしてみたが無駄だった。視点の動きに耐えきれなくなって目を閉じようとしたとき、目を閉じる事も出来ないことに気づき、もしかしたら、私は眼球だけになってしまったのかもしれないと思い、恐ろしくなった。体がガタガタと震えるのを感じたが、震える体を見ることは、もちろん出来なかった。私は泣いていて、手の甲に涙の感触があった。はたと、涙腺は瞼にあるはずなのに、眼球だけになってしまった私が、どうして泣く事が出来るのだろうかと不思議に思った。そう思った途端、私は意識を失った。


そこで目が覚めた


起床後、鮮明に覚えていた夢を文章にしたもの。

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