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出会い

 夜道を歩き、コンビニで最後に残っていた牛乳を買った美穂は、家へと帰る為テクテクと帰り道を歩いていた。

(あれ? 誰か寝ている)

 彼女の視線の先、電柱の陰で一人の男が倒れている。  

 酔っぱらい? それとも病気で倒れたのかな?

 少し気になった美穂は、男に近付いた。 

 男は、スースーと寝息を吐いている。

 どうやら男は寝ているようだった。

 このまま放置していては彼は風邪を引くかも知れないし、命の危険だってある。 

 美穂は男を起こすか悩んでいた。

 男の顔をじっと見つめる美穂。その顔に見覚えがあった。

(え? ルーカス王子!?)

 男の顔はルーカスにそっくり、というよりルーカスそのものだった。

 何故、こんな所でルーカス王子が寝ているのだろう?

 一瞬疑問に思った彼女だが、直ぐに警察に連絡しないとと思い立ち、スマホを手にする。

「大変、警察に連絡しないと」

 美穂は警察に連絡する為、スマホの電話アプリを押した。

「む、警察は駄目だぞ〜」

 その時、声が聞こえて一瞬、起きたのかルーカスが声を上げた。

「え? ルーカス王子、起きてるんですか?」「勿論、起きている。起きているとも〜」

 完全に寝ぼけている。声がうにゃむにゃで、なんと言っているか聞き取りづらい状況だ。

「ルーカス王子、起きて下さい。このままだと風邪引きますよ」

「むにゃ、東京観光だ〜」

 こちらの声は聞こえているのか、聞こえていないのか良く分から無い状況だ。

 さて、彼の事をどうしよう?

 このまま放って置いては彼は、このまま寝てしまう恐れがある。

 そうなれば、命の危険だってあるだろう。

 しかし、警察に連絡しようにも本人が嫌がっている。

 一体、どうすれば……。

(そうだ! お屋敷の庭に小屋があったはず)

 美穂はお屋敷の庭に荷物置き用の小屋があったのを思い出した。

 その小屋にはベッドが置いてあったはず。

 その小屋なら人、一人位寝かせる事が出来るだろう。

 明日、朝、起きたら事情を説明すれば、理解はしてくれるだろう。

 このまま電柱の陰で寝かせているよりは、ずっと良いはず美穂は、そう思った。

「ルーカス王子、ちょっと起こしますよ」

「むにゃ?」

 美穂はルーカスを持ち上げる為、肩を貸した。

 幸いにもルーカスは自力で立ち上がる力は残っている。 

 これなら小屋までは運べそうだ。

「明日は東京観光だ〜」

 ルーカスは寝ぼけながら何かを言っている。

 一体、何故、こんな所で寝ていたのだろうか。


「なに~、王子がいないだと!?」

 翌朝、ビッシュは朝早くから衝撃の事実を聞かされた。

 ルーカスが部屋から居なくなった。

 これは不味い。不味いぞ。

「だ、誰か王子を見たものはいないのか?」

 ビッシュは周りの護衛達に尋ねるが、ルーカスの事を見たものは誰も居なかった。

「ビッシュさん。これ見て下さい」

 護衛の一人が窓を見ている。

「どうした?」

「窓が開いています。恐らく王子は、この窓からにげたのでしょう」

 確かに窓の外にはルーカスが丁度逃げるのに使えそうな枯れ木が一本立っていた。

「しまった。見落としていた。王子、この木を使って逃げ出したのか!」

 窓から枯れ木まで、そこそこの距離があるが、ルーカスなら、この距離を飛び越えられる。

 ビッシュは、そう確信していた。

「ビッシュさん。どうしましょう?」

「と、取り敢えず、王子は急病って事にしよう。その間に儂らが王子の事を見つけ出す」

 ルーカスは睡眠薬を飲んでいる。眠気があって、そう遠くへは行けないはずだ。

「行くぞ。トーマス。なんとしても王子の事を見つけ出すのだ!」

「はっ!」

 ビッシュはトーマスと共にホテルを出て行った。


「う、ううん」

 ルーカスは眠たい瞼を擦り、目を開く。

 確か昨日は東京観光に出る為、ホテルを抜け出したはず。

 その途中で強烈な眠気に襲われて以降、記憶が無い。

 一体、私は何処で眠ったのだ? 

 何故か自分がベッドに寝かされているのに気づいたルーカス。 

 何故、私はベッドで寝ている? というか、ここはどこだ?

 ルーカスは周りを見渡した。

 ルーカスの周りには脚立やらベビーカーやら色々な物が積み上がっていた。

 ここは小さな小屋か何かか?  

 ルーカスは思う。

 眠たくなった自分はどこか、どこか変な場所にでも入ってしまったのだろうか?

 そう思い、中を見学していたルーカス。

「あ、起きましたか?」

 その時、小屋の扉が開いた。

 扉からロングワンピースを着た美しい女性が中に入ってくる。

 顔は童顔で年は自分と同じ位か、それ以下に見えた。  

 日本には桜という綺麗な花があるが、まるで、その花のように美しい。

 後、胸が大きい。それは素晴らしい事ではあるが。

 一体、誰なのだろう?

「む? 誰だ?」

「あ、私、美穂って言います。ルーカス王子」

「美穂? ここはどこだ?」

「実は……」

 ルーカスは美穂から昨日あった事の説明を受ける。

「なるほど、私は電柱の陰で寝ていたのか……」

「はい。なので、私が、ここに、お連れしました」

「それは、すまない。迷惑をかけた。本当に有り難う」

 ルーカスは美穂に頭を下げる。

「いえいえ、大丈夫です。後、これ朝ご飯です」

 ルーカスは美穂からトーストの乗った皿を受け取った。

「ふむ。何から何まで済まないな」

「いえいえ、で? 王子、なんで、あんな所で寝ていたんです?」

「ふむ。ホテルから逃げ出したのだ」

「え? 逃げ出した!?」

「私は日本観光がしたいのに、その予定が全然無くてな。嫌になったのだ」

「大丈夫なんですか?」

「一日、二日、抜け出した所でビッシュが何とかしてくれる。それより私は東京観光に出発するぞ!」

「え?戻らないんですか!?」 

「折角抜け出したのに、何故戻るのだ?」

「い、いや、えぇ?」

「心配するな。君達に迷惑はかけない。さぁ、東京観光に出発だ!」

 いよいよ楽しみにしていた東京観光。   

 ルーカスは意気揚々と立ち上がり、小屋を出ようとする。

「わ、わぁ、待って下さい!」

「む? なんだ?」

「あの、私も行きます!」

「む? なんだ。美穂も一緒に来てくれるのか?」

「迷惑でしょうか?」

「とんでもない。日本に詳しい美穂が来てくれるのは、私も助かるぞ」

 こうして、ルーカスと美穂は東京観光へと出かけようとする。

「あの、王子、どこへ向かうんです?」

「勿論、最初は決まっている」

 ルーカスはメルベールに居た時から最初の観光地には目星をつけていた。

「浅草だ」


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