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指名手配犯の俺とアミル  作者: ひひ
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グリーンフィールド(4)

クロウに連れてこられた酒場はグリーンフィールドの中心にありとても繁盛している。建物はとても大きくジャイアントベアーが100匹入っても大丈夫なくらい広くテーブルに空きがないほど人がたくさんいる。そんな大きな酒場にきたのには理由がある。'影の群れ'のもう一人のメンバーと顔合わせをするためだ。クロウが突然俺の前で立ち止ったことによって俺はクロウにぶつかってしまった。


「クロウ急に止まるなよ!」

「お前が前見て歩いてないのが悪いんだろ?さあコイツが'影の群れ'の副隊長フーナだ!」


俺はクロウが立ち止った周りのテーブルを見渡すが副隊長のような雰囲気の人は見当たらない。酒場には人が多いからクロウがテーブルの場所を間違ってしまったのだろう。このおじさんはこういう天然なところがあるのか?頼りにならないな。


「クロウ。副隊長は本当にここにいるのか?そんな感じの人ここにはいないぞ」

「いや、そこの方だ...」

「そこって、そこにいるのは幼い女の子だぞ?アミルと同じくらいの年齢じゃないか?冗談はいいよクロウ」


クロウは赤髪の幼い女の子を指さしてメンバーの一人と言っているが絶対違うだろ。クロウ間違えたからってそんな言い訳しなくてもいいんだぞ。誰にだって間違いはあるし素直に連れてくるテーブル間違っていっても俺は怒らないぞ。そんなことを思いつつクロウの顔を見ると何か顔色が悪い。クロウの顔をみて後ろを振り返るとさっきクロウが指をさした女の子が立っている。嘘だろ?


「おいそこの男。わしのことを幼い女の子とは面白いのう」

「クロウ冗談だろ?こんな幼い子が副隊長なのか?」

「おい、あんまり幼いとかいうのはやめとけ...」


クロウに文句を言おうとクロウのもとへ歩いていくがどんどんクロウが大きくなっている気がする。クロウは元から俺よりも高かったがこんなに高かったっけ?


「フーナそんなに怒らなくてもいいだろ」

「おっさんは黙っとれ!チビになった気分はどうじゃ?」


誰がチビになったんだよ。そう思ってフーナの方を見ると目が合った。目が合うのはおかしくないか。


「俺なんで小さくなってんだ!?おいお前がやったのか!」

「わしがやったぞ。なにか不満か?」

「不満に決まってんだろ!」


そう言いフーナに掴みかかろうとする俺をクロウが止める。


「まあ落ち着けトリス。幼い子といったお前も悪い」

「それだけの理由で小さくするなら沸点低すぎだろ!」

「そんなこと言ってると...」


クロウの話を聞いているとクロウがさらに大きくなっていく。また小さくされたのか。


「わしより小さくて幼くみえるのうトリス」

「なんで俺の名前知ってんだよ!」

「クロウからお前のことは聞いとる。'影の群れ'に入隊したんじゃろう?隊員の名前を覚えるのは副隊長として当然のことじゃ」

「ということだトリス。フーナが隊員だっていうのは分かっただろう。ちなみにフーナは俺とおなじくらいだ」

「あんまりいらんこというなおっさん」


フーナがそういうとクロウも小さくなりアミルくらいの身長と幼い顔つきになった。ここから俺とクロウの身体を元に戻してもらうまで1時間はフーナに頼んだ。


フーナに元に戻してもらった俺とクロウはフーナのいたテーブルに座り今後について話し合いをすることになった。


「あらためて、俺が影の群れアグリッカヴァル支部隊長のクロウだ。そしてこちらの女性が」

「わしがフーナ、天才すぎて王国から追われている科学者じゃ」


フーナの自己紹介を聞いて俺は不思議に思い質問をした。


「科学者ってこんな格好なのにか?科学者って白衣とかきて眼鏡かけて良く分からないことをしてるイメージなんだが」

「わしくらいの天才になると見た目など気にせん。無能な科学者たちが威張るためにそのような格好をしておるのじゃろう」

「科学者ってそんなもんなのか。もっとかっこいいものだと思ってたよ」


科学者が思ってたよりかっこよくないと知り落ち込みながら俺も自己紹介をする。


「俺の名前はトリスだ。訳あって指名手配されてる」


自己紹介をするとフーナが呆れた顔をしてこっちを見る。


「お前は指名手配以外わしたちに教えることはないのか?わしもおっさんも指名手配犯じゃぞ」

「え!?クロウが指名手配されているとは聞いたけどお前もなのか!?」

「お前というな!わしのことは副長とよべ!それはそうと...」


フーナはそういいながら2枚の紙を取り出して俺だけに見えるよう見せてきた。


「こっちがわしでこっちがクロウじゃ」


フーナが見せてくれた紙にはWANTEDと大きな文字が書かれそこには今よりも少し髭が少ないクロウとスタイルのいいお姉さんが描かれている。


「もしかしてこのスタイルのいいお姉さんって」

「そうじゃわしじゃ」

「なんでこの格好でいないんだ?」

「男に言い寄られてうざいからじゃ」

「そこらへんでこの話は終わりだ」


そんな今後についての話し合いをしないで話をしているとクロウに止められてしまった。


「今後についてだが、今まで俺とフーナはいつ騎士団がこの街に定期観察に来るのか調べておりこの街にずっと滞在していたので外についての情報を詳しく知らない。そこでトリス。お前に外の情報を調べてほしい」

「外について調べるってどんなことを調べればいいんだ?」

「俺たちは自分の罪が冤罪であることを証明しなければならない。しかし、ただ証拠を見つけても上流貴族たちに証拠をもみ消され終わるだろう。そこで民衆の力が必要になる。だから簡単に言うとトリスはみんなの困っていることを聞いてきてほしい」

「わしが悩みを解決するための方法は考えてやるから安心しろ!」


心強い言葉を言うフーナだが俺が人から情報を教えてもらうことができるのだろうか?そう思い考え込んでいるとクロウが俺の肩に手を置き


「お前にはアミル君とレイラ君がいる。その二人と協力していってこい。仲間なんだろ?助けてもらえ」

「そうだけどもしもあいつらがまた攫われてしまったら...今回クロウに攫われたのは怪我をしていなかったからよかったがクロウみたいに俺を仲間に引き込むために二人をさらうやつなんて他にはいないだろう」

「あそこやこの街にいるよりお前と一緒にいる方が絶対安全だ。この街は定期的にコク野盗という盗賊の集団に襲われていて毎回死人もでている」


コク野盗ってなんだ?あのグリーンウッドを襲った盗賊の集団なのか?そんなのが襲ってくるならアミルとレイラも連れて行った方がいいな。そう考えた俺は外での情報収集をすること、アミルとレイラもそれについてきてもらうということをクロウに伝えた。クロウは思った通りに事が進んでいるのがうれしいのか終始笑顔で俺の話を聞いていた。

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