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98:美衣、りゅう君に会いに行く

 翌朝美衣は初めて研修センターの食堂で朝食を食べた。直視できない程ありえない程この世のものとは思えない程美しい銀髪の少女が普通に和食の朝食セットを注文し納豆ご飯を何杯もおかわりした。食後スライムゼリー(梨味)を食べながら今日は何をしたいと話していると美衣は「りゅう君に会いに行きたい!」とスプーンを高らかにかかげた。さすが英雄なだけあっていちいち英雄っぽく決まってる。


「えっ?りゅう君のこと知ってるの?」

「ウン、寝てる時にお話ししたよ、また干し柿食べたいって言ってた。あと私にも会いたいって言ってた」そんなわけで冴内達はりゅう君に会いに行くことにした。っていうか寝てる時にりゅう君と話しをした件についてはスルーですか冴内先生・・・


 食休みした後早速厩に行き、それぞれアリオンと一夜明けてペガサスになったユーマに乗って空を駆けた。新しい馬具はさらに使い勝手が良くなり、アリオンの両サイドには取り外し可能な丈夫で質の良さそうな革で作られた鞄が取り付けられており、3人の下着やお弁当など色々なものを入れてもまだまだ余裕があった。


 そうして飛び立ち1日目の夕暮れには例の田畑のある集落に到着した。もちろん大歓迎を受けてその夜は大宴会となった。美衣は初めて食べる精米したての米に大感激して、うまいうまいともりもり食べていきまたしても妊婦のようなお腹になった。最高にうまい米を腹一杯食べて大満足して、そのままグッスリと眠りについた。お約束の「もう食べられないよ~」という寝言付きで。


 翌日大量の干し柿をお土産にもらって集落を後にした。もちろん米、味噌、干し肉、欲し魚、干し沢庵もたっぷりもらった。前回よりもさらに改良された丈夫な干草で編まれた簡易馬具がユーマに装着され、もらったお土産はそちらに吊るした。


 飛行途中で美衣はまるでユーマにぴったりくっついているかのように一体となって、インメルマンターンやスプリットSやバレルロール、プガチョフコブラにフックにクルビットという超高機動スーパーハイマニューバーをして見せた。まるで最新鋭戦闘機とトップガンパイロットのようだった。翼に空対空ミサイルを搭載したくなる程だ。当然その模様もガッチリ録画配信され世界に配信された。


 その日の夕方には以前訪れた温泉が混じる泉についた。皆で入浴して汗を流し、もらった米を全部食べ尽してしまわないように美衣にはセーブしてもらって炊き立てのご飯を食べた。おかずには干し魚を火で炙り、沢庵と味噌汁で食べた。米はセーブしたが、干し魚は全て美衣が食べ尽してしまった。もしも食料が切れたら現地調達しないといけないなと冴内は思った。そんなに寒くないので久しぶりに3人川の字になって毛布をかけて寝た。


 続く2日も特に問題なく移動した。アリオンもユーマも身体が大きいので首から上にかけて騎手の身体を空気抵抗から守ってくれるので、風をまともに受けることがなく疲労度は少なかった。


 途中、どこまで速度をあげられるか試してみたところ時速200キロまでは普通に連続飛行可能であることが分かった。さすがにこの時は空気抵抗を減らすため人馬共に前傾姿勢をとった。その際アリオンとユーマが熱くなって互いに負けてなるものかと全速力を出した。300キロぐらいのスピードになり、さすがにこうなると乗ってる人間としては色んな面でかなりキツイので冴内の方が先にギブした。


 そうして4日目にはりゅう君のいる山の麓についてしまった。以前力堂達がいたベースキャンプはまだ残っていたが力堂チームメンバーはおらず、その代わりに追加増援でやってきた研究職員シーカーがいた。人数は以前よりも倍以上いる。さらに早乙女達が設置した中継アンテナのおかげでゲート村とのネットワーク通信も可能になっていた。おかげで携帯端末は圏外になってない。


 いったん降りて挨拶し、りゅう君に会いに行くと告げると、防寒用具を用意すると言ってきたが前回登ったときにその必要はないと分かったので不要だと説明しても、せめて美衣の方は命綱などが必要だろうというので美衣はまたしても驚異的なアクロバット飛行技術を披露してみせた。追い打ちをかけて優が「地球がぶっ壊れても死なないくらい頑丈だから心配無用」と言ったので、全員が「あーそうだった、この方々は神だったんだ」みたいな顔になって納得してくれた。


 しかし冴内だけでもヘルメットとアクションカメラを搭載して一部始終を撮影して欲しいと頼まれたので装着すると「それカッコイイ!」と言って美衣にとられたが、ブカブカでサイズが合わないので泣く泣く美衣は断念した。しきりに「くやしいのう、くやしいのう」と言って残念がっていた。


 そんなけでベースキャンプに到着早々すぐに離陸してりゅう君に会いに山頂へと飛び立った。

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