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9:黒帯

 収穫はイノシシ肉が一つと牙が3本だった。換金所で全て換金するとちょうど1万円だった。肉は6千円で牙一つが千円、残り千円は薬草採取の分だ。換金は現金で支払われたのではなく携帯端末にチャージされた。昼食後のおよそ3時間半程度でこの稼ぎなので、これは良い稼ぎだと思った。


 換金所から出ると他のシーカーの方々が初日に入ったプレハブ小屋に向かっていくのを見て、そういえば探索後は定期的にステータス更新登録をするように鈴森さんに言われたのを思い出したので、自分もプレハブ小屋へと向かった。


 初日に会った愛想のよいおばさんの目の前で、他のシーカーが手をかざして、それをおばさんが端末に登録していた。数値を手入力しているのではなくカメラのようなものでスキャンするだけのようで1秒足らずで終了する。コンビニのレジのような感じだ。皆大体一言二言の会話をおばさんとして離れていった。


 さして時間も経たず自分の番がやってきた。

「あら、チョップの冴内君お疲れ様!今日はどこで?」

「はい、草原でイノシシ狩りをしてました」

「あらまぁ、一人で?」

「はい、昨日は力堂さんと良野さんと鈴森さんがいてくれましたが今日は一人で狩りしていました」

「あら!2日目で独りでイノシシ狩りは凄いわね! 力堂君でも確か半月くらいかかったわよ」

「えっ、本当ですか?」

「そうよ、普通は訓練所で練習して、その後は川沿いのスライムとかを狩るのよ」

「そうなんですね」

 と話しながら自然に左手をかざしてステータスを開示した。おばさんもそうなのよと答えつつスキャンした。そこで今頃ようやくレベルアップしていることに気が付いた。


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冴内さえない よう

20歳男性

★スキル:チョップLv5⇒Lv10

★称号:茶帯チョップ⇒黒帯チョップ

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「あら、冴内君黒帯になったのねウフフフ」

「ホントだ!黒帯だ!レベルも随分上がってる!」

「あら、気づかなかったの?レベルアップすると手が光って自動的に表示されるのだけど、もしかして出てこなかった?」

「いや多分イノシシ狩りに夢中で気づかなかったのかもしれません」

「あらあら、でもまだ2日目で初めてたった独りでイノシシを相手にしたんだから気付かなかったのも分かるわね」

「はい、次からは確認するようにします」

 と、話していると別のシーカーの方が入ってきたので、おばさんとの話を切り上げてプレハブ小屋を出ることにした。


 その後道具屋に行ってリュックを返却しに行ったが、道具屋の人に明日以後も使うんだったらそのまま持っていても良いと言われ、使わなくなったときか破れたりしたときに返してくれればよいと言われたので、お礼を述べた後でそのまま借り続けることにした。


 他にも色んな道具を眺めたり一言二言会話していたら、時刻は午後6時くらいになったので野外食堂に向かうことにした。

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