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78:力堂チーム

 ベースキャンプに残った力堂達は竜発見の日以来毎日ドローンの限界ギリギリまで飛ばして調査を継続しているが今の所進展はなく、他に分かったことがあるとすればこの目の前の山を登るにはロッククライミングを得意とするシーカーがそれこそ命をかけて挑まねばならないくらい断崖絶壁登山不可能危険地帯だということが分かったくらいだった。それは絶望的なまでに人間を拒絶しているかのような山だった。


 気球や大型ドローンを分解してゲート内に運んで組み立てればなんとかなるかもしれないが、ゲート村からここまで5千キロもある上にこの山も標高がいったいどれだけあるのか分からない。この山と竜に関する調査を本格的に行うとしたら少なくとも数年がかりのプロジェクトになるかもしれないということが分かったくらいだった。


 そして力堂のいる最前線からゲート村までのバケツリレー式の簡易通信回線が確保されてからようやく力堂は冴内を中心とした様々な世界的大発見や衝撃的ニュースを知ることが出来たのだが、そのあまりの破壊力全開の馬鹿げた内容に立ち眩みしてしまう程だった。


 冴内君が研修でゲートにやってきて最初に自分と一緒にイノシシ狩りをしてからわずかひと月程度の期間でこの状況の変化は一体なんだ?と、自分だけが彼と彼を取り巻くこの状況、言い換えれば今の世界の状況を全く知らなかったような気になり、まるで自分が浦島太郎になってしまったかのように感じてしまった。


 しかもなんだこの・・・海を割るというとんでもないチョップは・・・そして英国機関のこの・・・とても笑えないジョークのような・・・神の中の神だと?一体今、世界で何が起きているというんだ?まさかこの竜の発見も神によってもたらされた必然なのではないか?


 ともあれだ・・・ともあれまずはこの「特別緊急依頼」とやらだ。これには竜を探せ、そして竜と冴内君を引き合わせろとある。つまりやはり今回も冴内君と何らかの関連があるのは間違いない。もしかしたら冴内君がくれば何か事態に進展があるかもしれない。当然神代のことだから支援要請した追加増援チームの中に冴内君が入っているのはまず間違いないだろう。


 とはいえ彼らが到着するのはどんなに早くとも2ヶ月はかかると見た方がいいだろう。我々のように長距離探索を専門に長年やってきた少数精鋭選別隊とは違うし、そもそも出発前に入念な計画と準備もして万全の体勢でくるはずだ。可能な限り急いで来てくれるとは思うがそれでもやはり2ヶ月以上はかかるだろう。


 慌てるな・・・慌てる必要はないぞ、こういう時こそじっくり冷静にだ。冷静に考えろ。


 力堂はこれから追加増援チームが来るまでの間何をすべきか信頼するメンバー達からも意見を聞き、全員で最適解を導き出すべく話し合うことにした。


 打合せは白熱して長引き夜になり、本来なら無理やりにでも身体を休ませなければならないのだが、皆これまでにない程興奮していてとてもじゃないが眠れたものじゃない。


 というのもここにいる全員がこれまでの冴内の活動報告を今日初めて目の当たりにしたのである。先人のシーカー達の偉業は多大なものがあることは重々承知していて敬意の念は揺るがないが、それでも失礼を敢えて言えば80年間それほど劇的な発見や進展はなかった。ところが冴内の登場と共に次々に短期間に世界は劇的な進展をしているのだ。


 知的生命体の存在、神の存在、竜の存在、世界が繋がっている可能性、この80年でそんな破壊力満載の発見など果たしてあっただろうか。英雄剣の「竜の涙」でかろうじて竜という言葉が出てきたが、それでもこのわずかひと月程度の短い期間でのこの発見ときたらどうだ。80年感まるで止まっていたかのような時間が急に動き始めたかのようではないか。これは下手したら世界がひっくり返るぞ。くそっこんな精神状況で睡眠など出来るか!


 これまでどんなに気分が高揚する程愉快なことがあっても、逆に非常に厳しい過酷な状況にあってもリーダーとしての責任感と鋼のような強靭な精神力で常に沈着冷静さを保っていた力堂であったが今回ばかりはそうはいかなかった。純粋にただただワクワクが抑えきれないのである。世界に何が起きているのか、これから世界がどうなるのか、最高に面白い物語の続きを知りたくて知りたくてたまらない一人の少年のようになっているのだ。


 そして一緒にいるメンバーを見回しても皆一様に同じ気持ちらしくいかにも興奮が抑えられない顔をしている。もうこうなったら仕方がない・・・力堂は諦めてこう言った。


「朝まで飲むか!」


 その一言でベースキャンプのテント内はオーッ!という掛け声が響き渡った。


 あの日、彼のチョップを我が盾で受け止めてから一体彼は今どんな探索者になったのだろうか。くそう!早くても2ヶ月か!早く彼に会いたいぞ!


 と思っていたら次の日の朝、冴内はやってきた。




空から

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