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73:竜を探せ

 全世界ゲート機関局長会議で最もヤルキマンマンだったのが(なんでカタカナやねん)やはり英国ストーンヘンジ・ゲート局長サー・アーサー・ウィリアム3世で、その理由は英雄剣の素材が「竜の涙」だったからである。彼の主張ではこの80年に及ぶゲートの歴史の中でも「竜」に関するものはこれ以外に一切何も発見されてない上に、冴内が海割りチョップで神になった場所も、そして神の中の神が最初に現われた場所も我が英国であるということから、このストーンヘンジ・ゲートにこそ全てを解き明かすカギがあるのだと強く発言したのであった。


 確かに異論はないのだが、それでもここに集まっているのは全世界を代表するゲート局長達である。まともに考えればあまりにも荒唐無稽過ぎる内容にはいそうですかと素直に頷くはずもない。


 正直なところ一連の冴内報道については懐疑的な局長もいる。第三者による映像証拠、証言内容、物的証拠があるので確かにデタラメではないのであろう。今回の全世界同一システム介入についてもだ。だがそれにしてもこのデタラメさ加減ときたらどうだ?冴内の出現以降次から次へともたされる報告のデタラメさ加減にいくら状況証拠があるとはいえ、もはやついていけないと内心思う局長もいるのだ。


 もちろん積極的に機関として行動したい国はそうすればいい。ただ全世界の機関に対してこの意味不明の特別緊急依頼に対して最優先で行動しろというのであればそれはさすがに反対する。なので結局のところ落としどころとしては、そうしたあまり積極的ではない国の機関は現場のシーカー達の行動と判断に任せることにしたのである。


 ともあれ積極的な国もそうでない国もまずは竜を探せという自称「神の中の神」からの特別緊急依頼を受諾することにした。積極的な国はすかさず自国の最高クラスのシーカー達にスペシャルチームを編成するよう動き始めた・・・のだが・・・


 絶妙なタイミングで衝撃的な一報がもたらされたのだった。


 曰く、日本のトップランクシーカーのミスター、リキドウ率いる長期遠征探索チームが「竜」を目撃した、と。


 力堂は冴内が研修期間を終了して実家に帰宅した数日後に、以前より綿密に計画を立てていた第7次長期遠征探索を開始した。その主たる目的はこのゲート内世界の果てがどうなっているのか、ずっと有力な説として存在する他のゲート内世界同士はつながっていて一つの世界なのではないかという説の解明が目的であり、世界各国と長年に渡り共同で行っている調査活動だった。


 80年も長きに渡って世界各国のシーカーが探索しても他の国同士のシーカーがかち合ったことがこれまで一度もないのである。


 シーカーの身体能力は、移動に特化した場合は驚異的で、まったく障害物がない平坦路の場合1日約5百キロは走破する。単純計算すると100日で5万キロであり、地球だと一周してもお釣りがくる。それを80年も、しかも移動特化のシーカーは世界にたった一人しかいないわけではなく複数人いるわけである。そんな人数が80年もかかってまったく出会わないというのはおかしな話しである。だから実はゲート内の世界はつながりのない別々バラバラの世界なのではないかという説も有力なのだ。


 それを立証するために、それぞれのゲートを起点にして、

Aのゲートの探索チームは東に

Bのゲートの探索チームは西に

Cのゲートの探索チームは南に

Dのゲートの探索チームは北に

というように互いに協力し合い、いつか他国のシーカーと出会うことがあるか、長年にわたって実施してきたのである。


 だが当然80年かけても、沢山の人数をかけてもその困難さは熾烈を極めた。一つは生活インフラの確保、二つには行く手を遮る踏破不可能な障害物の存在である。そしてわずか1度でも角度がそれると超長距離になれば決して交わらないことである。


 上記理由で例え100日かけて地球1周を超える距離を走破したとしても、その結果仮に他の国のゲートの世界に入っていたとしても、そのエリアに誰もいなければどこにいるのか分からないのである。


 そうした過酷で途方もなく長い調査に80年に渡って多くのシーカー達が挑んできたのだが、まだ他のシーカー同士の発見には至っていない。


 そうした調査に力堂は挑んでいたのだが、今回7度目の挑戦で、出発からおよそ20日後に遠征先で竜の姿を見たのである。

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