表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/460

64:海中探索

 冴内一族全滅消滅社会的抹殺地獄の恐怖はすぐに杞憂におわった。


 特に接触禁止にしているわけじゃないので、少し触る程度ぐらいのことなら観光でやってきた外国人シーカーは普通に触って動画にとって配信しているくらいだ。余程目に余るいたずらや悪意でもあれば咎められるが今回の場合そもそも全く触れることすら出来ていないので咎めようがない。


 そういうわけで一族消滅の危機をまぬがれた冴内は一安心したのだが、冴内以外のメンバーはとても安心とはいえない失意のどん底にも近しい心境であった。


 そんな失意のアビスに沈んだメンバーの心境など全くもって存じ上げない冴内はその夜の食事を大いに楽しんだ。冴内に同行していたメンバーはシーラ嬢を残して全員研修センターに用事があるということで退席していた。


 ストーンヘンジ・ゲート村にも富士山麓ゲートと同じように野外食堂があり、メニューに書かれている英語は読めないが、多くのシーカーが食べている魚貝類の料理からとても美味しそうな匂いがしてくるので、あの料理はなんですか?とたずねるとストーンヘンジ・ゲートのすぐ目の前の海でとれた新鮮な魚や貝などを食材にした料理だと説明されて、早速食してみたところこれが実に美味だったのだ。


 ゲート内にある海というものが果たしてどんなものなのか、そしてそこに生息する魚介類というのがどんなものなのか大変興味があると、冴内にしてはめずらしく積極的に海に行ってみたいとリクエストした。


 賢明なる読者諸兄ならばお分かりかと思うが冴内はワンチャン、シーラ嬢の水着姿を拝謁出来るかもしれない可能性に賭けていたのだ。


 そのリクエストは受け入れられ、冴内は念願かなって翌日の海中探索の機会を得たのであった。


キャッホウ!やった!明日はシーラ嬢の水着姿を見られるぞ!


 ・・・残念ながら翌日のシーラ嬢の姿は全身ウェットスーツを着込みアクアラングを背負った完全なるスキューバダイビング姿であった。


 冴内はスキューバダイビングのライセンスは持っていない。初心者が海に潜れるようになるまでのライセンス取得には最低でも4日程かかる。体験ダイビングツアーという初心者向けツアー旅行もあるが、座学やプール練習などを経てからインストラクターと一緒に潜ることになる。


 今回はスケジュールの日程的にその余裕がなかったので、冴内は最新式の潜水服を着込んで潜ることになった。頭部が透明のヘルメットのようになっており、身体のラインがシュッとした宇宙服のようない出で立ちだった。


 冴内はせいぜい胸までの水深の浅瀬でシーラ嬢と水着でキャッキャッウフフを思い描いていたが、ガチなダイバーと最新宇宙服のような潜水服という二人の姿で、キャッキャッウフフの楽しそうな肉声会話もなく、あるのはハンドシグナルでの会話ということで心は完全に意気消沈撃沈沈没しかけていた。


 そんな沈没寸前の冴内の下心ではあったが、海の中に入った途端その沈んだ気持ちは一変した。まるで南国の海のような極彩色に彩られた景色でカラフルな魚やクラゲ、サンゴのようなものや漂う海藻の類も華を添えている。大きな貝の殻も虹色に光り輝いている。カニやエビもほとんど地球に住むものと変わりがないが大きさがまるで違って身もタップリ詰まっていそうだ。


 久しくカニなど食べていなかったので割と近くにいるカニに向かって水平チョップを放ってみると見事に斬撃がヒットしてカニは消滅し、カニの身と思しきものが漂っていた。自分は潜水服なので素早い身動きがとれないのでシーラ嬢がサッと泳いで取ってきてくれた。


 さらにカニの身をゲットするべくカニを探しては水平チョップを放つ。ついでに伊勢海老やロブスターの数倍の大きさもあろうかと思われる威勢のいい伊勢海老のような大きなエビに向けて水平チョップ斬撃をお見舞いし、みるからに旨そうなエビの身もゲットした。ところで威勢のいい伊勢海老ってどないやねん。


 シーラ嬢もハンドサインでやったね!みたいに喜んで・・・くれなかった。


 理由は巨大なサメがいたからだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ