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426:宇宙最強の糸

 冴内は虹色粒子でレインボーカラーに染まった防護服に向かって前回同様チョップをしてみたが、今度は優の防護服が裂けることはなく、サービスお色気シーンはなかった。


 といっても前回優と美衣が普通にその場で下着ごと着替えているので既にサービスお色気シーンは存在していたわけだが。


「やっ!今度はなんともないぞ!父ちゃんのレインボーで強くなったんだ!」

「やった!さすがお父ちゃん!」

「おとうたん、さすがでしゅ!」

「どれくらい強くなったのか試してみたい!私のブラックホールパンチでも多分大丈夫そう!」


 ジメンが再度トレーニング空間を出現させたので、冴内以外の優と美衣と良子と初と正子はまったく躊躇することなく冴内が「えっ!みんな何をするの?」と言う間もなく全員普通に入っていった。


 入ったそばから、母ちゃん全力でいくぞ!と、極めて聞き捨てならないセリフが出たかと思うと、すぐにトレーニング空間内部は暴風砂漠嵐状態になった。


 強烈な爆発音まで聞こえて、冴内は慌ててトレーニング空間に入っていった。


 トレーニング空間内部は常人ならば当然何も見えない程にパステルカラーの粒子が砂嵐のように巻き上がっており、凄まじい風で木の葉のように吹き飛ばされていたことだろう。


 美衣達は大型肉食獣を狩る時とは比較にならない程に殺る気マンマンの技を優に繰り出していたが、優は魔法バリヤを張ることなく仁王立ちして真正面からまともに美衣達の攻撃を食らっていた。


 美衣達の心に殺意はないが、その動作は殺意剥き出しで凶悪な攻撃のオンパレードで普通は目を覆いたくなるような光景なのだが、攻撃している側が皆すごく可愛い子供達という極めてアンバランスな異様な光景だった。


「全然なんともないわよ!皆それでも全力なの!もっと本気を出しなさい!宇宙をぶっ壊すくらいの力を出してみて!」


「分かった!ようし!やるぞ・・・」


キュゥゥゥーーー・・・ン・・・


「わっ!美衣!待った!待った!ストップ!ストップ!ストォーーーップ!」

『わぁ!美衣さんお待ちください!ストップ!ストップ!ストォーップ!です!』(ジ)


 美衣は目を見開き身体中に凄まじいオーラを纏いかなりヤバイ状態になろうとしていたので、慌てて冴内とジメンが止めた。


 宇宙崩壊の危機をとめるためにこれまでやってきたのに、それを防ぐ側が危うく宇宙を崩壊させてしまうところだった。


 とりあえず何とか場を静めて、優の防護服を見てみたところまったく無傷だったので、検証としてはこれで十分だとなんとか皆に納得してもらおうと冴内とジメンは懸命に皆に訴えた。


 美衣達はまだもっとやれるぞという表情を見せたものの、一応分かったと言ってくれたので、皆でトレーニング空間を出て、この方法でバトルスーツを作るという方針は定まった。


 方針としては冴内達の防護服と追加の素材をベルトコンベヤー式工作機械に乗せて、一度分子還元して再構築して繊維を作り出すとのことだった。


「素材は何を使うの?隕石かい?」(冴内)

「隕石でもいいが、炭素繊維素材により適した素材があった方が良いものが作れる」

「というと?」

「そうだな、冴内 洋の生まれ育ったニッポンにある竹が良いだろう」

「えっ、竹でいいの?・・・分かった。竹ならそこら中にあるし、島根の叔父さんとこの裏庭に沢山あったからもらってこよう」


 そうして冴内達はいったんさいしょのほしへと戻り、個人用スマホで島根にいる叔父に連絡し、裏庭に沢山生えている竹をもらいたいと頼んでみたところ、二つ返事で幾らでも持っていってくれという返事だったので、早速冴内達は島根の叔父の家の庭へと瞬間移動した。


 叔父夫婦はすぐに縁側からやってきて、冴内ではなく冴内の子供達に会えることを大いに喜んだ。


 冴内は美衣から宇宙ポケットを借りて、美衣達は叔父夫婦とくつろいでていいよと言って、さいごのひとロボ4号機と一緒に裏庭の竹藪へと向かったが優も一緒について来てくれた。


 ちなみに叔父にどれくらい持って行ってもいいかと尋ねたところ、全部持って行ってもいいと答えてくれたのだが、完全に心ここにあらずで上の空の答えだった。


 裏庭に生えてる大量の竹を見て、さいごのひとロボ4号機は「まぁ半分も持っていけば十分すぎる量が確保出来るだろう」と冴内に言った。


 冴内が大きく育って結構邪魔に見える竹を範囲ごとスパッと物理法則を無視した一振りで刈り取ると優が重力制御で宙に浮かせて、突っ立った姿勢の冴内のお腹の宇宙ポケットへとどんどん格納した。


 5分もかからず鬱蒼と生い茂って日当たりが悪かった竹藪はスッキリした。後で叔父夫婦が見たら相当驚くことだろうが、今は恐らく美衣達の相手で忙しいので見に来ることはないだろう。


 冴内と優が叔父の家に戻ると、美衣が竹はもう取ってきたのか父ちゃんと聞いてきたので、十分な量を取ったと答えたところ、叔父と叔母の顔が一気に暗くなり寂しい表情になったので、もう少しゆっくりしておいでと美衣達に言ったところ、叔父と叔母の表情はまるで分厚い曇り空模様から一気に明るい太陽が出て快晴になったかのようだった。


 冴内達は先に丈夫な繊維を作っておくと言い、皆でバトルスーツのデザインでも考えておくといいよと冴内にしては上出来の上手い理由を口にしたので、美衣達ははりきってデザインを考えることにした。叔父と叔母は楽しそうな美衣達の姿を見るだけで心も体も癒されて寿命が延びる思いだった。


 突然の二人きりになれた優もご機嫌で、さいしょのほしに戻ると、ベルトコンベヤー式工作機械のある建屋に入り、冴内と美衣の防護服と取ってきた竹を全て取り出して、さいごのひとロボ4号機と花子に繊維素材の製作をまかせた。


 虹色粒子をふりかけるのは繊維素材が一通り出来た後にやるといって、冴内の手を引っ張ってログハウスの2階の寝室へとはりきって向かって行った。


 島根の叔父夫婦の家の客間では正子と美衣がバトルスーツのデザインをしており、美衣の方は極めて写実的な写真のような絵を描き、正子の絵は今回はまるで一流ファッションデザイナーのようなデザイン画を描いていた。


 二人が描くスケッチのあまりの凄さと素晴らしさに叔父夫婦は驚愕驚嘆感激し、ボツになった絵は捨てずに全て大事に家宝として取っておくことにした。途中で画用紙が足りなくなりそうだったので、叔父は速攻で車を出して高級画用紙やスケッチブックを大量に買い出しに行って戻ってきた。


 お礼に美衣や正子に抱き着かれ、叔父夫婦は何度も天国の階段に足をかけた。


 冴内と優は寝室で2時間程もハッスルした後、ベルトコンベヤー式工作機械の建屋に行ってみると、とっくのとうに超強力炭素繊維素材は完成しており、見た目にはつや消し黒の色の毛糸玉に見えた。


 冴内は結構消耗していたので、例のサクランボではなく、ヤバイ桃の方を4分の1程度にカットして食べ、若干感電したかのようになったが、すぐにスッキリ回復して虹色粒子を放出した。


 愛する美衣達の身体を防護する役割を担うので、多めに虹色粒子をふりかけることにして、疲れを感じたら桃を少しかじりつつ、まんべんなく虹色粒子を何度もふりかけた。


 冴内が何度も丹念に愛情を降り注ぐかのように虹色粒子をふりかけると、素の状態でも相当に丈夫で頑丈なつや消し黒の超々高分子量繊維は美しく光り輝く虹色の毛糸玉に変容していった。


 途中で量産型花子がやってきて、美衣達から叔父夫婦から良質の画用紙やスケッチブックを沢山買ってもらったので、お礼に夕食をご馳走したいという連絡がきたと伝えてきた。


 冴内は了承し、優がリビングに行って通信機能付き大型ディスプレイで美衣達と連絡をとり、もう少しで糸が完成するのでその後私達もそちらに行くと伝えた。


 こうして夕方前には宇宙最強の糸が完成したのだが、その翌日大問題が発生するのであった。

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